『誰にも言えない秘密』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
誰にも言えない秘密
それはやっぱり
誰にも言えない。
秘密は誰か一人に話してしまうと
絶対秘密ではなくなるものだと知っている。
「誰にも言わないでね」と言われたら
私は誰にも言わないのに、
その事で友人関係がおかしくなるのは
何故だろう?
秘密、は取扱い注意だ。
がたがた揺れる電車の中で、隣の少女は呟いた。
「みんな、みんないなくなっちゃったよ」
親も兄弟も親友も恋人もペットも、みんなみんな死んでしまった。そんな少女に残った一つの事実を、
少女はまるで、誰にも言えない秘密を打ち明けるように呟いたのだ。
先日知った言葉で「デミロマンチック」というものがある。
私も意味をきちんと理解していないけれど、親しい人にしか恋愛感情を抱かない、というものらしい。一目惚れをせず、全く知らない他人に恋愛感情を抱くことを理解できない、等が当てはまり、なるほどなと思った。
アイドルや俳優にハマることはあっても、恋をしたりする感覚はずっと分かっていなかった。学生時代に友人が、話したこともない男の子のことを「好き!」と言っているのを見て「顔と恋愛するの?」と思っていたし、知らない人からの告白は「どうせ体目当て」と心を閉ざしていた。後者は正直合っているかもしれないけれど、真偽はわからない。ただ、どちらも軽蔑していた。
そんな私でも、恋愛経験がないわけではない……と先日までは思っていた。誰にも言えない秘密というのは、自分から「恋人」を望んだことが一度もないと気が付いてしまったこと。
数年前に結婚した夫とは元々、よく遊びよく話す友人だった。というより、今も友人だと思っている。何年かかけて友人として仲良くなり、告白されたので付き合い、結婚したのだ。しかし、告白された当初は夫に恋はしていなかった。ただ、断ったら大切な友人が離れてしまうと恐ろしくなり、大切な友人なのだから要望は叶えたいと思い、私も好きだった付き合おうとなったのだ。これはとても不誠実だったと思う。
(一つだけ先に言うと、私は夫のことが好きだ。いまから友人に戻ろうと言われたら、そう考えると胸が痛い。)
幸運なことに、付き合う、という行為にそこまで激しい抵抗感はなく、彼ならばいいか、という気持ちで数年付き合った。その中で、どこから芽生えたのかわからない、家族とも友人とも違うような、家族であり友人でも恋人でもあるような情が育った。めでたしと言えるだろう。
しかし先日、デミロマンチックの話を聞いたとき、私のなかの「恋愛」とは友愛や親愛に付属可能なオプションであり、自分から生み出すことは出来ないのでは?と疑念が浮かんだ。
思えば恋人というものがいたとき、全て相手からのアプローチで交際が始まっていた。いつも私の心にあったのは友人を失いたくないという気持ちだけ。永遠に友人でも良かった。そもそも相手は友人としてではなく恋愛の相手として仲良くしてくれていたのでは、と考え泣いたこともあった。
疑念を持ったところで、恋愛感情などという形もなければ定義も曖昧なものに結論は出ない。漠然と、私はそういうタイプの人間だったのかもしれないなあと思うだけである。
これを夫に話すと不安がらせてしまう気がするので、私はこの考えを秘密にしておこうと思う。
私には絶ッ対誰にも言えない趣味がある…それは
アニメオタクということ!!!!
今期シーズンの転〇ラや無〇転生、ゆ〇キャ〇などなどは欠かさず見てるし、
前シーズンだった葬〇のフ〇ーレンや薬〇のひとり〇と、マッ〇ュル、ヒ〇アカ、鬼〇の刃もしっかり見てますとも!
え?これだけじゃオタクじゃない?
ふっふっふっ…ひ〇らしのな〇頃にや涼〇ハ〇ヒの憂〇、鋼の〇金〇師、ジ〇ジョ、ハイ〇ュー、不〇のあなたへ、フ〇コイ、、
まだまだたーっくさん見てるからな!!
でも…最近クラスの陽キャ男子にバレかけてて…
どうしよ……
って、やばい!アニメ始まる!!リアタイするんだった!!!
それじゃ、みんな!推し活頑張ろうねっ!
『アニメ好きのDさん』
#誰にも言えない秘密
誰にも言えない秘密
昔の話
私は自分で言うのもなんだが、
かなり可愛い方だ
当時私にはメル友がいて
何度かやりとりをして
お互いの顔写真を写メールで交換しよう
ということになった
で、相手の男性が先に写メールを送ってくれた
…のだが…私のタイプには程遠い
ましてや自分の写メールを送りたくない
どうしたらいいかと悩んでいた
そして閃いた!
私の友人Bちゃんは、巨漢のブス(でも彼氏はいる)
の写メールを送ってみようと…
相手の男性は初め
見た目だけでは分からない
話して見ないと など言っていたが
『ごめん、やっぱり俺って面食いかも』
と後日ありがたいメールをいただいた
これでこの男性とは終わり
Bちゃん
勝手に写真使ってごめんね
ましてやブスだと思っててごめんね
私の誰にも言えない秘密
読んで下さりありがとうございます
No.20『誰にも言えない秘密』
好きになってはいけない人を好きになってしまった。
この想いは秘匿しなければならない。
あなたにも、他の誰かにも。
その行為はあなたを守る行為だから。
そう、これは、誰にも言えない秘密である。
#誰にも言えない秘密(2024/06/05/Wed)
そんなのないわ(嘘)
「誰にも言えない秘密」
お月様やお日様色の服に劣らない一輪の薔薇の花を。
こころ美しい彼女に、僕が捧げよう。
誰にも言えない秘密
私は本当に惚れっぽい
私にとっては
好きな人なんてあってないようなもの
私にとっては
恋愛なんてCMみたいなもの
すぐ終わってすぐ始まる
一途、一貫、一筋、、、
私には当てはまらない言葉
どうしたらそんな風に生きられるのか
私にはわからない
いつも見かけるあのカップルが
不思議で仕方がない
こんな私の恋が成就しても
きっと幸せな未来はない
私の幸せはお手軽すぎて価値がない
恥ずかしいから秘密にしているけれど
私にぴったりな人をまた探してしまう
誰にも言えない秘密
貴方達には言いたくなかった。
わたしの秘密────
それは日本は敵対している人が多いこと
映画やマンガでは人が(実在系)
あまり考慮されずに
両腕を枕に机に突っ伏した姿。
連日の疲れなのか、よく寝ているようで。
伸びた手のひらにそろりとゆびさきを這わせると、夏でも少しひややかな僕の指にぴくりと反応する。
けれど、起きることはなくて。
少しばかり安堵する。
腕の隙間から見える、伏せられた瞼。
薄い唇。
吸い寄せられるように、ひとつ。
そう、これはあなたにも『誰にも言えない秘密』。
ずさんに管理された制服を着て
今日も俺は登校する
六月にしては暑い今日の気温をスマホで確認しながらバスに乗り、チャットに返答する。
気がついた頃には目的のバス停に着く
バス停と学校は近いので、少し歩いて学校の門を潜りそクラスに向かい自分の机に着席する
何気ない田舎学生の、何気ない生活の一部
そんな代わり映えのしない日常
放課後、そんな日常が崩れていく音がした
「お前、罰ゲームで裏山独りで行けよ。」
そんなことを言われ、俺は独りで幽霊が出るとウワサの裏山に放課後行くことになった
「うぅ〜」
そんなうめき声みたいな声にすら成っていない音の様なものを吐き出しながら奥に向かう
そこには爆破されたコンクリート製の建物の様な跡と
一人の眠った男性のような人影が見えた
そっと近ずいて見ると、何がトリガーとなったかは分からないが目を開ける男性
「はじめましてますたー……システムの準備はできました」
これは俺に『誰にも言えない秘密』ができた瞬間であった
誰にも言えない秘密
私には、誰にも言えない秘密がある。でも、それは、本当に自分にもしか分からない。
なので誰にも言っていない。これは自分にとって大事なこと
【誰にも言えない秘密】
初めてLINEを交換し、初めてやり取りして。
初めて会って、初めて手を繋いで。
初めてキスをして、初めてつながって。
初めてドライブして、初めてご飯食べて。
初めてコンビニ行って、初めて釣りをして。
初めて笑って怒って泣いて喧嘩して仲直りして。
初めてこんなにも人を愛して。
これからもいろんな初めてを2人で積み重ねていきたい。どうぞ、よろしくお願いします。
「誰にも言えない秘密」
誰にも言えない秘密、だったんだけどね、
君には、隠せなかった。
…名探偵なんて、本当にいるものなんだね。
褒めてる訳じゃないよw …何、照れてんのさ。
でも、ぼくの完全犯罪を、未然に止めてくれて、
ありがとう。
いや…完全犯罪なんてものでもなかったのかな?
結局、君には、全部、暴かれてしまったわけだしね…
まるっきりぼくは、ぼくの名探偵のための、記念すべき最初の犯人になるために、
いろいろ無駄な計画をしていたみたいだよね。
まるでヒーローのために悪役が、存在する世界みたいにね。
…穿った考えだって?ぼくもそう思うよ。でもね、
名探偵のためのぼく。
ヒーローのための悪役なら、
ちょっと切なくて、バカみたいで可愛いんじゃないかな?自分でいうなって?w
でも、ぼくの「誰にも言えない秘密」は、
よくある、ただのありふれた復讐譚に過ぎないよ…
君のためのぼくであることのほうが、本当は誰にも言えない秘密なのかもね…
あぁ、何だか本当に、そんな氣がしてきたよ…
ぼくたちはさ、両極に分かたれていたから、求め合ってしまった半身なんだよ…詩的な言い方をするなら。
w…不服そうだね?まぁ、そうだろうね、
ぼくだって不服だよ。
さっきまで復讐心に燃えていたのに、もう、すーっかり冷めてしまった!
でも、両極に別れていたものが、融合してゼロになる。
そんな話の方が、ロマンティックでいいじゃない?
夢があるし、第一、殺伐としていない。
そういうのはもう、いいからさ……それに、
ゼロになってしまえば、完全犯罪が成立するしね……
🌓そんなことを言いながら、君は疲れたように、いや実際疲れ切って…微笑みながらそっと…目を閉じた。
君が嘘つきな事を、私は知っている。
でも、きれいな夢に沈み込んでしまいたいくらい深く、君が悲しんでいるなら…
その偽りの配役を割り振られてもいいよ。
私は「私の半分」の、やりきれない悲しみを知っている。
笑いに紛らわせてしまったその心を、これから少しずつ、
君の半分である、私に見せてね…?
いつでもへらへら笑ってる。
そんなイメージを持たれたオイラ。終わってね?そんな風に思われているとは心外だった。
そうそう、笑うやつって強いって言うだろ?
多分オイラもそれと同じなんだよな。
過去の悲しいこと辛いことを笑い話にできるタイプ。
俺の出身地方で起こった事件。
酷く、残虐なものだった。
オイラ率いる四天王や学園生は、その事件に巻き込まれた被害者であることも多い。
だからこの学園に通う生徒は、その事件について何も言ってはならないという暗黙のルールだってあった。
少なからず、オイラは皆が楽しく生きられればいい、そう思っていた。
それは突然。
「残念だったな。
"元"チャンピオンさま。」
誰にも言えない秘密を隠したまま。
オイラは今日もへらへらと笑って楽しそうに過ごす。
#2024.6.5.「誰にも言えない秘密」
pkmnつばさん。
絶対sgrは言った。言ってなかったらあんな煽りしない。
最近pkmn少なかったですね…。
なーもない!
秘密が何も無い🤫
これは人に言いたくない
でも喋っちゃう!
隠し事が嫌いなのか
それが……
それがぁぁーーー!!
ふーちゃん(( *ˊᗜˋ* )ゞデシ!
「秘密ってある?」
演奏を終え、彼女から拍手を貰ったあとに、突然言われた。
「⋯⋯秘密?」
「うん。誰かに言ったことない、何なら誰にも言えない秘密」
「⋯⋯言ったことないものはないけど、言えないものは無いよ」
「ないの?」
意外、なんて言いそうなトーンで彼女が問うてきたが、もちろんない。
誰にも『言えない』なんて、そんな罪深いことをしたような覚えはないのだ。
「逆にその反応だときみはあるのかい?」
「うん、あるよ。誰にも言えない秘密」
⋯⋯あるのか。でも、誰にも言えないんだから、それを確認する術はない。どんなものか、なんていうことさえも聞けない。なんだか見えないものを見せると言われたような、その秘密自体がシュレディンガーの猫のようなものに見えてきた。
「⋯⋯⋯⋯⋯⋯そうかい」
追求はできないことをよく分かった僕はそう流した。彼女は笑った。
「興味ないのかって感じの返事だけど、さては諦めたな?」
「そうだよ。誰にも言えない秘密、それは僕にも知る権利がないからね」
「まぁそーだね」
そうなら話を広げるな、などと言うつもりはないけれど。文句の代わりに僕は疑問を口にした。
「⋯⋯⋯⋯急に話題にしたのはどうしてだい」
「なんかね、そういうことを急に考えついたから」
「それは、僕の演奏を聴いてて?」
「うん、そう」
そんなことを思いつくようなほど、秘密があるように聴こえる曲だっただろうか。わりと明るめのテンポと音で楽しげに聴こえるような曲にしたつもりだったのに。
「なんかね、ボクにはたくさん持ってる秘密を誰にも明かさないように頑張って隠して取り繕ってるように聴こえちゃったんだ」
「なるほど」
「だから、作った演奏者くんが何か誰にも言えない秘密、持ってるのかなって」
「⋯⋯ないよ。本当にね」
確かにない。『誰にも言えない秘密』は。
ただ『権力者には言いたくない秘密』ならある。
僕はきみのことが好きだとか、どんな手を使っても自分のものにしたいと考えているとか。そんなことを口に出したらきっときみを警戒させてしまうから。
だからきみには言えない秘密を悟られないようにしてるのがバレてしまったのかも、しれないね。
秘密と言うよりは、悩みに近い。
普段なかなか関わらない距離にいる上司から、「少し時間をくれ」と言われたのが先週。
業績の話やら、沢山のお褒めの言葉を頂いた。
まあ全部前置きだったんだけど。
端的に言えば、新店の立ち上げをしてみないかと打診された。そのための1時間だった。
やりたくないわけじゃない。
自信はない。
でも楽しそう。
今のお店が大好き。
新しい環境で変わりたい。
過ごしやすい今を手離したくない。
色んな感情がぐちゃぐちゃになって、何日も何日も考えて、返事をしなくちゃと更に考えて。
結局答えは出ませんでした〜!!
って、伝えたのが一昨日。
条件だけ伝えて、それでも私をご指名いただけるのであれば、喜んで引き受けましょう。
でもね、今の生活水準を下げてまでは、その深い沼には飛び込めないのよ。
どうなるかはまだわからない。わからないことを考えたって仕方ないのはわかってる。
この"やる""やらない"はもうすでに私の手を離れてしまって、決まった方の子だけ私の元に答えとして帰ってくるのかな。
はぁ。
私がここを去るかもしれないと思いながら、でもまだ誰にもいえなくて、いつもよりも大袈裟に、無理な笑顔を作って過ごしている。
みんながハッピーになれるようにしてくれたら、私にとってはそれがハッピーなんだよと思った微睡む22:54
【誰にも言えない秘密】
夜、書き物机に向かって日記を書く。
小学生の時から続けている習慣だが、大人になった今も続いている。
人にその事を言うと「よく続くね」と感嘆されるが、私個人としては日記をつけている時間が好きなだけで特別凄いことをしているつもりはない。
今日起きた事や見たもの、思ったことを文字として残す。そうすることで、頭や心が整理されるような気がするから好きだ。
それに、人には言えない愚痴や誰にも言えない秘密なんかも好き勝手に書ける日記は、今流行りのSNSよりも気楽で安心だ。
そもそも、人に「イイね」なんて言われるような生活はしていないし。
そんな自分だから、日記が丁度いいのかもしれない。
今使っている日記帳は、金の飾り罫が映えるミッドナイトブルー色の三年日記だ。
そこそこ厚みのある日記帳の初めの方を捲ると、研究所に異動したばかりの頃の事が書かれている。
初めての異動で眠れない夜を過ごしたことや、自己紹介早々やらかしたことなど、今となっては笑い話だが当時の猛省した跡が日記帳にはしっかりと残っている。
頁を進めていくと、次第に研究所で育てている花のことや、博士と交わした何気ない会話、博士が起こした失敗など、博士とのエピソードばかりが目立っていくようになる。
どの頁を読んでも楽しかった記憶が蘇ってきて、自然と笑顔になってしまう。
穏やかな気持ちで頁を捲っていると、ある疑問が脳裏を過ぎった。
私は手元の三年日記を閉じると、書き物机の上に並んでいる歴代の日記帳の中から、以前使っていたクリムゾン色の三年日記を引っ張り出した。
この日記帳は、大学と新入社員時代に使っていたものだ。
久しぶりに捲ると、学生時代の自分の文字でバイトや就活のこと、愚痴から願望までごたまぜの雑記が綴られている。
当時のイライラや焦りが字に表れていて、読んでいるだけで当時の感情が蘇ってくる。こころなしか胃がキュッと痛い。
頁を大雑把に飛ばして、日記帳の半ばを開くと今度は新入社員時代のエピソードが出てきた。
学生時代よりマシだろうなんて思ったのは、甘かった。
新社会人として意気込んでは失敗しているという、恥ずかしい内容ばかりが目に飛び込んでくる。
読んでいるだけなのに顔から火が出そうだ。
私は日記を持ちながら、乾いた笑いをもらした。
ああ、そうだった。
日記とはこういう面があるものだった。
日記に書かれた思い出は、楽しいものばかりではない。
当時の未熟な自分の七転八倒している姿を再度思い出して苦しむことにだってなるのだ。現にもう苦しい。
迂闊過ぎる自分を呪いたくなるが、これも自身で沸き起こった疑問を解決するため。
この日記帳を見れば、疑問は解決出来る。
問題は、読むことによって得られてしまう悶絶したくなるほどしんどい羞恥心だ。
過去から襲い来るこの感情を避けるには、極力内容を頭には入れず、単語を拾うことに徹することが唯一の攻略方法だろう。
私は喝を入れると、再びクリムゾン色の日記と向かい合った。
頁を捲るたびに内心ギャーギャー悲鳴を上げ、疲労困憊となった頃。
ようやく最終頁の最後の文字まで辿りついた。
私は、過去のものを葬り去る勢いでクリムゾン色の日記を閉じると、その勢いのまま元あった場所に日記を返した。
どうしてだか、日記帳が手元からなくなっただけで息がしやすい。
深く息を吐くと、ぐるぐる渦巻いていた不快なものが少し消えた。
多少体が軽くなったので、日記帳から得た単語を脳内で仕分け整理する。単語の束が出来た所で今度は分析をしていく。
その間私は、対象を冷静に分析する一介の研究者となっていた。
分析の結果。
新入社員時代でも営業所で起きたエピソードを書いていることはほとんど無く、(同僚とランチや飲み会に行った事などは書いてあったが)同僚と交わした何気ない会話だとか失敗話といった類は見当たらなかった。
日記帳に何十ページに渡り同じ人物のことが書いてあることもなかった。
他の日記帳を調べればもしかしたら、学生時代の友達や初恋の人のエピソードが出てくるかもしれないが、今はもう読む気になれない。
これ以上は危険と分析者の私が、言っている。
再検証は次回に持ち越すことにしよう。
分析を終えると再びどっと疲れが押し寄せてきた。
私は、書き物机にだらしなく頬をつけた。
歴代の日記帳達が視界に入ってくる。
この日記帳の分だけ過去の自分がいて、失敗や喜びがあった。
そう思うと、
「読んでいて楽しい日記なんて」
もしかしたら、今が一番幸せなのかもしれない。
目の端に映るミッドナイトブルーが輝いて見えた。