「誰にも言えない秘密」
誰にも言えない秘密、だったんだけどね、
君には、隠せなかった。
…名探偵なんて、本当にいるものなんだね。
褒めてる訳じゃないよw …何、照れてんのさ。
でも、ぼくの完全犯罪を、未然に止めてくれて、
ありがとう。
いや…完全犯罪なんてものでもなかったのかな?
結局、君には、全部、暴かれてしまったわけだしね…
まるっきりぼくは、ぼくの名探偵のための、記念すべき最初の犯人になるために、
いろいろ無駄な計画をしていたみたいだよね。
まるでヒーローのために悪役が、存在する世界みたいにね。
…穿った考えだって?ぼくもそう思うよ。でもね、
名探偵のためのぼく。
ヒーローのための悪役なら、
ちょっと切なくて、バカみたいで可愛いんじゃないかな?自分でいうなって?w
でも、ぼくの「誰にも言えない秘密」は、
よくある、ただのありふれた復讐譚に過ぎないよ…
君のためのぼくであることのほうが、本当は誰にも言えない秘密なのかもね…
あぁ、何だか本当に、そんな氣がしてきたよ…
ぼくたちはさ、両極に分かたれていたから、求め合ってしまった半身なんだよ…詩的な言い方をするなら。
w…不服そうだね?まぁ、そうだろうね、
ぼくだって不服だよ。
さっきまで復讐心に燃えていたのに、もう、すーっかり冷めてしまった!
でも、両極に別れていたものが、融合してゼロになる。
そんな話の方が、ロマンティックでいいじゃない?
夢があるし、第一、殺伐としていない。
そういうのはもう、いいからさ……それに、
ゼロになってしまえば、完全犯罪が成立するしね……
🌓そんなことを言いながら、君は疲れたように、いや実際疲れ切って…微笑みながらそっと…目を閉じた。
君が嘘つきな事を、私は知っている。
でも、きれいな夢に沈み込んでしまいたいくらい深く、君が悲しんでいるなら…
その偽りの配役を割り振られてもいいよ。
私は「私の半分」の、やりきれない悲しみを知っている。
笑いに紛らわせてしまったその心を、これから少しずつ、
君の半分である、私に見せてね…?
6/5/2024, 1:59:22 PM