『誰かのためになるならば』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
じぶんの番が来た
声が震える
いつか貰った優しさの
姿形を思い出す
手に取りやすいように
差し出すのは技術だ
負担にならないくらいだけ
気持ちをのせた指を
恐々 君の前に晒すよ
「あのぅ…夏休み1週間お休みしたいんですけど」
「お店に1人しかいない時間がありますけど、お腹痛くなったらどうすればいいんですか?(怒)」
「連勤は無理です」
「飛び休みはやめて下さい」
「夜遅くまでは勤務できません」
雇われ店長が言われる言葉たち。
無論、現場に理解のない会社は
人員の補充などしてくれない。
自分が犠牲になって
私の働きが誰かのためになるならば
スタッフのお望みをなるべく聞こう。
そう思って
朝早くから夜まで残って
休日返上して
なんて事をやっていたらメンタル壊して
働けなくなった。
誰かのためになるならばなんて言葉は
今の私にはいらない。
自分のために治さなきゃ。
#誰かのためになるならば -25-
お題『誰かのためになるならば』
主様のためになるなら、何でもしたいと思っている。誰かと争うことは好きじゃないけど、それが主様のためなら俺は戦おう。
俺が誰かのためにそう思うのは、もしかしたら初めてのことかもしれない。みんなの手伝いをするのは、自分のためにやっていることだ。承認欲求を満たすために感謝されるようなことをしてきた。
本当の俺はとても身勝手で感情的な、どうしようもない奴なんだ。
そのどうしようもない俺を救ってくださったのは前の主様と今の主様だと思っている。
「主様、ありがとうございます」
水分補給用のハーブ水をグラスに注ぎながら、つい唐突な感謝の言葉が口から溢れてしまった。
「なぁに、フェネス」
「いえ、何でも! 主様のお顔を見ていたら、つい言いたくなってしまって……」
驚いた顔をしていた主様は、ふふ、と笑っている。
「変なの、フェネス。私の方が言わなきゃいけないのに。お水、ありがとう」
ああ、この笑顔のためなら、俺は何だってしよう——そう決意を新たにした。
人に優しくしよう。
誰かのため、 自分のため、
そんな考えはなくたっていい。
優しくされる、 その度に
自分も少し、 優しくなれる。
そんな『優しさ』ってやつは、
自然と 誰かの支えになってるんだから。
#113 君も幸せになっていい
誰かのためになるならば
自分はどうでもいいなんて
かっこよさげで
かっこよくない
君にも幸せになる権利はある
耳触りのいい言葉でカッコつけて
幸せになる権利を捨てないで
「誰かのためになるならば」
誰かのためになるならば、わたしは…
何だってやってやる。
それくらいしないと…
わたしは…
#誰かのためになるならば
私は喜んで命を差し出すだろう。
誰かが、私の命を使って生き延びてくれるのなら、
それほど嬉しいことはない。
私はあなたの中で生きる。
存在意義を失った体は切り分けるかポイされて、
……あ、でも、
自分の心臓がだめなら、
あなたの中でも生きられないじゃないか。
〜誰かのためになるならば〜
「誰かのためになるならこの命くれてやる!」
いやいや、あんたは生きて愛する人のためになることしてくれ。
こういうのは誰にも想われない俺の役目だからよ。俺から最後の意地っ張りすら奪わないでくれ。
完
お題:誰かのためになるならば
誰かのためになるならば
「あっっつぅ〜い…宿題おわんなぁ〜い…」
「まだ始めて5分で何言ってんの」
わけのわからない数学の問題とにらめっこしてはや5分。ヤケになって机につっぷした私に、友人のカナは呆れたように言う。勉強の得意なカナにとってはたったの5分かもしれないが、勉強の不得意な私にとっては地獄のような5分だ…。
「そもそもさ、数学とかやる意味が見出せないよ…。だって、大人になって仕事するときに因数分解なんて使わないしさぁ」
「まぁ確かに、学校で習ったことをそのまま全部使う職業は多くはないだろうね」
「でしょ?!じゃあ今こんなに頑張る意味ないじゃん!」
食いかかるように私が言うと、カナは、んー、と顎に手を当てて少し考えた後に、こう言った。
「じゃあさ、たとえば、1+1がわからない人が総理大臣になったら、ミナはどう思う?」
唐突な例え話に面食らった。カナは時々こうやって、少し回りくどいけれどわかりやすい話から始めることがある。
「えー…それはちょっと、やめてほしいかな、って思うかなぁ」
「なんで?」
にっこりと笑って、再び私に問いかけるカナ。
「え、なんでって…そりゃ、そんな簡単なこともわかんない人に、日本を任せたくないなぁと思うから…?」
「そうだよね。じゃあ、もし弁護士の人に相談するとき、その人が織田信長を知らなかったら、信用できる?」
「うーん…ちょっと不安になるかな、ちゃんとした弁護士さんじゃないのかも、ってなる…」
「だよね、それと一緒なんだよ。別に学校で習うことが全て正しいわけでも、全て必要なわけでもない。でも、学校で習うようなことは、いろいろな学問を学ぶ基礎になることが多くて、それがちゃんとわからない人は、必ずしも信用してもらえないってこと」
「はぇ〜…」
なるほど、納得した。何にも考えてない私と違って、カナはちゃんと自分の意見を持ってるんだなぁ…。
「もっと例え話をするなら、例えばカナが花屋さんになったら、お花にまつわるいろんな話、それこそ古典とか、知ってたらいろいろなお客さんを喜ばせられるよね。だから、今学んでることは、未来の自分のためであり、いつかどこかで出会う誰かのためのことなんだよ」
だからね、と微笑みながら、カナは私のノートの既に解き終わっている問題を指差した。
「こことこことここ、間違えてるから、もっかい解き直そうか。未来の誰かのために、ね?」
「うぇ〜…はぁい…」
誰かのためになるならば
自分は死んだっていいんです
そんなことを本気で言う
キラキラと目を輝かせる若者に
そんなのは誰のためにもならねぇよと
俺は本気で言ってやった
【誰かのためになるならば】
誰かのためにあなたは生涯を終えることを、その決意をできますか?
そう考えると、彼女はすごいですよね。
すごいなんてレベルじゃないじゃないでしょ?
なのになんであの人のこともう忘れてるの?
あれから、一年経ったけどさ
まだ一年しか経ってないんだよ。
彼女は彼を庇って亡くなったんだよね、
でも、その庇った彼のどこかが悪かったわけじゃないじゃん
何があったか覚えてない?
ありえない。
怖いわ
誰かのためになるならば
このお水差し上げましょう
誰かのためになるならば
1切れのパンを差し上げましょう
誰かのためになるならば
このお金を差し上げましょう
誰かのためになるならば
金属片も差し上げましょう
誰かのためになるならば
喜んでこの命差し出しましょう
こうして誰かのためになるならばと
投げ捨てられた命があったことを
僕達は忘れてはならない
遠い昔
僕らはまだ生まれてすらない
戦争時代
『誰かのためになるならば』
誰かのためになるならば、僕は自分の意見なんて必要ないと思っていた。
僕はレオンハルト·モルガダンテ。モルガダンテ伯爵家の三男だ。家は長兄が継ぎ、次兄はその補佐となる。妾腹である僕などこの家に必要ないのだ。だから漠然と僕は大きくなったら市井に下るのだと思っていた。
ある日、父が書斎に僕を呼び出した。いつもは僕なんて呼ばないくせに。重い足取りで僕は書斎に向かった。
「喜べレオンハルト、お前の特殊能力が買われ、王家に献上することになった!」
僕は父の言っている意味がわからなかった。固まったまま動かない僕になど目もくれずに父は続けた。
「妾腹の三男など使い物にならぬと思っておったが、お前の特殊能力は使い勝手がよい。王家に行き、その力、大いに役立ててこい。出発は明朝、今夜のうちに荷物をまとめておけ」
僕の特殊能力は変化だ。自分が望む姿に変身できる。王家に献上されるということは、大方、王様か王太子の替え玉になるためだろう。
「お兄様!」
部屋に戻り荷造りをしていた僕のところに、トテトテと可愛らしい音を立ててやってきたのは妹のアマリリスだ。
「アマリリス、こんな遅い時間にどうしたんだい?もう寝る時間はとっくに過ぎているはずだろう?」
「お兄様が王家に行くと聞いて眠れなかったのです。明日の朝なんて急すぎです…リリ、お兄様と離れるのイヤなのです」
うるうると瞳を潤ませて俯くアマリリスは今にも泣き出しそうだった。
領地経営の手伝いで忙しい兄達や仕事で王都に行く父について行く彼女の母親に代わり、僕が幼いアマリリスの遊び相手をしていた。だからだろうか、アマリリスは僕にとても懐いていた。
「大丈夫だよ、アマリリス。僕はこの家ではずっと役立たずだったけれど、これでやっと父上やこの家の役にたてるんだ。誰かのためになれるならば、誰かの役にたてるなら、それは喜ばしいことさ」
「お兄様!」
アマリリスは僕に抱きつき、僕の服を瞳から溢れる大きな雫で濡らした。
「誰かのためになるのならば‥それならリリの遊び相手で十分じゃないですか!リリ、いつもお兄様に遊んで貰えて嬉しかったのです。リリが嬉しければ、もうリリの役にたっているじゃないですか!」
「アマリリス‥」
「お兄様‥リリは寂しいです。行ってはイヤなのです!」
「ごめん‥ごめんよアマリリス‥でもこれは王様と父上が決めたこと、僕にはどうしようも出来ないんだ。だからせめて、兄は誰かの役に立ちに行ったんだと覚えておいておくれ」
泣きじゃくる妹を部屋まで運び、僕は荷造りの続きをした。
翌朝、泣きすぎて両目を真っ赤にしたアマリリスとアマリリスの付き人に見送られ僕は家を出た。
たとえ、王や王子の影武者として死ぬ運命だとしても、誰かのためになるならば、僕はその運命を喜んで受け入れよう。
だけど、1つだけ僕のわがままが通るなら、僕のかわいい妹から離れたくはない。誰かのためになるならば、自分の意見など必要ないと思っていたのに、幼い妹の涙で僕の思想など簡単に覆ってしまうのだな、とそう思った。
-fin-
【誰かのためになるならば】
いつ見かけても、彼女は誰かの代わりをしている。
掃除当番に日直、花壇の水やりから教材の片づけまで。
「手伝おうか」と声をかけたこともあるけど断られた。
「私が任されたことだから。申し訳ないよ」彼女は笑う。
何を頼んでも快く引き受け、文句の一つも言わない。
そんな彼女は陰で『便利屋』と呼ばれている。
他人のやるべきことを押しつけられても断らない。
それどころか、相手に感謝する姿すら見たことがある。
本の返却のため図書室に行くと、そこには彼女がいた。
珍しく読書していると思えば、先生が彼女に近づく。
図書委員の顧問らしく、分類の手伝いなのだと知った。
自分のために時間を使うことはないのだろうか。
先生が職員室に戻った後も彼女の前には本の山がある。
あれを終わらせるには、今日だけでは時間が足りない。
「一緒にやってもいい?」見かねて、また声をかけた。
「大丈夫。一人でできるから」彼女は笑って、断る。
部活終わりに忘れ物を思い出し、慌てて教室に戻る。
聞き覚えのある声がすると思ったら、彼女を見つけた。
窓の外を見ながら電話中で僕に気づく様子はない。
彼女の沈んだ声も謝る言葉も、僕は初めて耳にした。
「必要としてもらえるのは嬉しいことでしょ?」
なぜ断らないのか聞けば、彼女は平然と答えた。
「お願いだから邪魔しないで」そんなことを笑って言う。
手助けをすることは、彼女にとって迷惑だったらしい。
でも、誰かの都合で彼女に負担がかかるのは許せない。
善意を利用されて無理しないか、心配になる。
つい目で追って、勝手に体が動くことが何度もあった。
彼女のために、僕には何ができるだろう。
【誰かのためになるならば】
たとえどんな犠牲を払っても
守りたいものや変えたいものがある
どんな代償があるとしても
僕は立ち向かうと決めたんだ
初めはどうでも良かった。
生きたいと思えないような地獄にいたから。
でもあなたに出会ってそれは変わった。
貴方は僕に幸せを願ってくれたから。
そして僕もそれを真似た。
貴方のために幸せを願ってみたかったから。
ある日貴方は旅立った。
自分を貫きたいと貴方は言ったから。
幾らか過ぎて、貴方は愛と夢を連れて戻ってきた。
幸せそうに、微笑んで。
…僕は何も、言えなかった。
僕はいつしか変わってしまった。
嘆いていたって変わらないって分かっていたから。
この命の意味などもう分からなかった。
けれどももう一度幸せを願った。
それが、
12.『誰かのためになるならば』
「誰かのためになるならば」
そんな大義名分がいることって
何があるのかな
誰のためにならなくても
例えば困ってる人に声をかけたり
落とし物を交番に届けたり
それは自分が自分にこうありたいと願うから
損得考えずできること
誰かの為なんて考えてするなら
長続きしない
自分のためになるなるならば
続くと思うよ
その素敵なこと
今日のテーマ
《誰かのためになるならば》
誰かのために必死になるなんて馬鹿馬鹿しいと思ってた。
人間なんて結局誰も自分が一番可愛い生き物だ。
その場は感謝して見せたとしても、時間が経てばそんなことすぐ忘れてしまうに決まってる。
だから「誰かのために」なんて頑張るのは、よほどお人好しの馬鹿か、余裕ぶって優越感を味わいたい偽善者に違いない――ずっと、そんな風に思ってた。
彼女と出会ったのは、俺がそんな風にメチャクチャ捻くれまくっていた頃だった。
転んで怪我をした振りを装い、タクシー代を貸してくれと小金を巻き上げようとしている詐欺師(推定)。
そして、見事にそのカモになりかけていたのは、俺と同じ学校の制服を着た女子だった。
リボンタイの色からすると俺の1学年下か。
基本的に他人と関わるのは極力避けたいコミュ障の俺でも、いくら見ず知らずの人間とはいえ、さすがに後輩がこんなあからさまな詐欺に引っかかりかけているのを見て見ぬ振りをするほど外道にはなれなかった。
単に彼女が比較的好みの顔立ちだったというのも、珍しく余計なことをする気になった理由の後押しになったのだが。
「歩けないほどの怪我なら救急車呼びましょうか?」
「えっ、い、いや、そこまでしてもらうほどじゃ……」
「ああ、そもそもタクシーだったら、家まで乗ってけばそこで払えますよね。家にも金がないから一時的に借りたいって言うなら、ちょっと先に交番があるからお巡りさんに相談してみたらどうですか? タクシー乗り場までの通り道だし。いくら借りようとしたか知りませんけど、高校生の女の子に頼むよりそっちの方がよっぽど確実ですよ」
相手は中肉中背の中年の男。
対する俺は、180cm超えの筋肉質でそれなりにガタイがいい。
更に言うなら人相の方はあまりよろしくない。
2人の間に割り込んで、淡々とした口調で提案するのとは裏腹に、ネタは割れてんだぞと言わんばかりに鋭く睨みつけてやる。
すると男は俄に青ざめ、怪我の振りもかなぐり捨てて大慌てで逃げ出した。
「すげえ逃げ足。常習犯かもな」
「え? え? もしかして、怪我したって、嘘……?」
「わりとよく聞く手口だよ。親切なのが悪いとは言わないけど、もう少し危機感持ちな」
男が逃げていった方角と俺とを交互に見ながら困惑頻りでつぶやく彼女に、俺はため息混じりに忠告する。
今日は運良くカモられずに済んだけど、何となく、このおっとりぽんやりしたお嬢ちゃんは、ここで釘を差しておかないとまた同じような被害に遭いそうな危なっかしさがある。
我ながら、非常にらしくないことをしているとは思う。
人助けなんてするガラじゃないし、どちらかと言えばそういうお人好しは煙たく思ってすらいるというのに。
その上、ご丁寧にこんな忠告までしてやるなんて。
俺をよく知る友人が見たら「明日は雪でも降るんじゃね?」とか言い出しそうだ。
「ありがとうございました、先輩!」
「いや、別に大したことじゃねえし」
「何言ってるんですか、めちゃくちゃ大したことじゃないですか! 詐欺から助けてくれたんですから!」
尊敬を宿したキラキラした眼差しで礼を言われ、俺は思いきりたじろいだ。
誰かのために何かするなんて、そんなのお人好しの馬鹿か、優越感を味わいたい偽善者の専売特許で、決して俺の本意じゃない。
だというのに、彼女の目には、まるで俺が正義の味方か何かのように映っているように思えてならない。
「ほんと違うから。たまたま目に入って、さすがに同じ学校の奴がカモられてるの知らん顔するのは寝覚め悪いなって思っただけで、俺はそういう他人に親切したりするようなキャラじゃないから」
勘弁してくれと思いながら言い募るも、彼女の表情を見る限り、ますます誤解を強めている気がする。
このぶんでは、彼女の中で俺は『恩着せがましくならないよう謙虚に振る舞う好青年』になってしまっているんじゃなかろうか。
いや、マジでそういうんじゃないから!!
その後、どれだけ言葉を尽くしても彼女の誤った認識が改められることはなく。
おまけに彼女が教師にその話をしたらしく、話は瞬く間に大きくなり。
気がつけば、俺は校長室に呼び出されて表彰されるという到底理解の及ばない状況に陥る羽目になった。
おかげで俺の性格をよく知る友人らからは大いに笑われ、そこそこ親しい程度の連中からは「普段の少し斜に構えた態度は照れ隠しみたいなものだったのか」などと不本意極まりない誤解をされることとなったのだった。
そして件の彼女からはすっかり懐かれてしまい、知らない間に公認カップルのような扱いになっていた。
ちょっとばかり思い込みが激しくて、底抜けにお人好しなところは玉に瑕だが、顔は文句なく好みだし、素直で可愛い女の子にこんなにまっすぐ好意を寄せられて悪い気などするはずもなく、程なく絆された俺は白旗を掲げてその扱いを受け入れた。
少しばかり捻くれて拗らせていた性格も、彼女とつきあう内にその気質に感化され、今ではだいぶ丸くなったと自負している。
少なくとも、見ず知らずの相手に親切に振る舞うことに抵抗を感じない程度には。
今では、誰かのために躊躇なく手を差し出せる彼女を誇らしく思い、自分も見習わなくてはと日々思う。
「誰かのためになることが、巡り巡って自分に幸せをもたらすこともあるんですよ。情けは人のためならずって言うでしょ」
「例えば?」
「わたしの場合は、あの詐欺師の人に騙されて親切にしようとしたら先輩と巡り会えたことですかね」
衒いなく笑う彼女の笑みと言葉に、思わず二の句が継げなくなる。
とりあえず、俺が誰かのために何かするのはおまえの笑顔が見たいからって動機だったことは、もう暫く黙っておくことにしよう。
「あんたなんていらない。」
初めてその言葉を親に言われた時、とても悲しかった。
そして、私は見捨てられて今を生きている。
もう、必要とされないのは嫌だ。
だったら、どんなに辛くても誰かのために尽くそうとしてやりたくないことを押し付けられても笑った。
こんな私が誰かのためになるなら、とても嬉しいから。
「そんなの、ただの自己犠牲だ。」
あなたが怒ったように言う。どうして? 私はこんなにも
幸せで満たされているのに。
「だってこのままだったら、君は壊れてしまう。
人に何もかも押し付けられて幸せな訳ない。本当に君を必要としている人間がここにいるよ。だから、もうそんなことしなくていい。」
あなたが泣きながら言う。本音が零れ出す。
本当は辛くてやめたかった。でもそんなことを言ったら
見捨てられると思った。ねえ、いいの。やめていいの。
誰かのためならばと生きなくていいの。自分のために
生きていいの。彼が頷く。涙が溢れて止まらない。私には必要としてくれる人がずっといてくれた。
「────ありがとう。」
差し伸べられた手に掴まる。その手は暖かかった。
『誰かのためならば』
【誰かのためになるならば】
誰かのためになるならば、私は言葉を書き続ける。