宵街

Open App

 初めはどうでも良かった。
 生きたいと思えないような地獄にいたから。

 でもあなたに出会ってそれは変わった。
 貴方は僕に幸せを願ってくれたから。

 そして僕もそれを真似た。
 貴方のために幸せを願ってみたかったから。

 ある日貴方は旅立った。
 自分を貫きたいと貴方は言ったから。

 幾らか過ぎて、貴方は愛と夢を連れて戻ってきた。
 幸せそうに、微笑んで。


 …僕は何も、言えなかった。


 僕はいつしか変わってしまった。
 嘆いていたって変わらないって分かっていたから。

 この命の意味などもう分からなかった。
 けれどももう一度幸せを願った。
 
 それが、

12.『誰かのためになるならば』

7/27/2023, 8:14:08 AM