君と笑い合えるだけでよかった
君と喧嘩できるだけでよかった
君と抱き合えるだけでよかった
本当にそれだけでよかった
そんな些細なことでも幸せだと今気づいたんだ
そう、今気づいたんだ
だけど気づくにはとてもとても遅すぎた
氷のように冷たくなった君を見てから気づくなんて
本当に僕は、愚かで馬鹿な男だ
49.『些細なことでも』
毎日仕事に追われ、休む間もなく家事をして、気絶したように眠りにつく。
大人になるとはこういう事だと、あの頃の僕は知らなかった。大人になったらたくさん好きなことができると思って夢を見ていたけれど、その好きなことをするために働かなければならない。
それでもあの日、無邪気に笑えていた幼い僕が夢を見続けていられるように生きていく。
幼子が抱く、夢という心の灯火が消えぬように。
48.『心の灯火』
気弱な私だから、一つだって君に話しかけることはできない。隣の席で君ばかりが僕に話しかけてくれる。僕はそれに答えるだけで、そんな僕と過ごす時間はきっとつまらないだろうって思ってた。
人見知りでコミュ障な私だから、誰ともグループを組めない。それでも君は僕に一番に声をかけてくれた。何もうまく伝えられないのに君は笑っていてくれる。
そして突然君からLINE交換の申し出をされた。焦りでうまくLINEを開けないでいたら、君が愛おしそうに私を見て笑うものだから、変に期待しちゃいそうで怖くて怖くて泣きそうになっちゃって。それでも君は待っていてくれる。
なんでそんなに優しいの。ふいに口から飛び出た。
君だからだよ。間髪入れずに答えが返ってくる。
気弱で人見知りでコミュ障な私でも、貴方に期待してみてもいいですか。聞くまでもないように君は私の頭を撫でる。
嫌だな、青春なんて私にはできっこないって思っていたのに!
46.『開けないLINE』
2023/9/1 ♥400over ありがとうございます
人より仕事ができない僕
下手くそだっていつも叱られて怒られて
周りより周回遅れで生きている僕
のろまだっていじめられて責められて
人より不器用な僕
簡単なこともできなくて自己嫌悪
そんな不完全な僕を愛してくれている君
完璧な人はどこにもいないと抱きしめてくれる君
だから君のために生きてみたいって思ったよ
不完全な僕のままで
45.『不完全な僕』
相変わらず君は甘ったるい香りをさせているね。男を誘うように媚びてるみたいな香り。そのためにつけてるわけじゃないって言うけどそうにしか思えないくらいなんだよね。
量をつけすぎてるとかそんな感じ。もう少し薄くてもいいと思う。
そう言うと君はそうかなぁ…と悩みだす。別につけすぎてるとかそんなわけじゃなくて、私がただ君が変わっていくのが許せないだけだった。
甘ったるいのは私の方だ。君を取られたくなくてこんなことして。私に押し倒されてまんざらでもない顔をしてる君を見て調子に乗ったりなんかしてる私は、本当に醜い。
香水の代わりに私の匂いをつけておけばいいんだ。
そうして私は君の首筋に噛み付く。上ずった声を上げる君を好き勝手するために。
44.『香水』