「あんたなんていらない。」
初めてその言葉を親に言われた時、とても悲しかった。
そして、私は見捨てられて今を生きている。
もう、必要とされないのは嫌だ。
だったら、どんなに辛くても誰かのために尽くそうとしてやりたくないことを押し付けられても笑った。
こんな私が誰かのためになるなら、とても嬉しいから。
「そんなの、ただの自己犠牲だ。」
あなたが怒ったように言う。どうして? 私はこんなにも
幸せで満たされているのに。
「だってこのままだったら、君は壊れてしまう。
人に何もかも押し付けられて幸せな訳ない。本当に君を必要としている人間がここにいるよ。だから、もうそんなことしなくていい。」
あなたが泣きながら言う。本音が零れ出す。
本当は辛くてやめたかった。でもそんなことを言ったら
見捨てられると思った。ねえ、いいの。やめていいの。
誰かのためならばと生きなくていいの。自分のために
生きていいの。彼が頷く。涙が溢れて止まらない。私には必要としてくれる人がずっといてくれた。
「────ありがとう。」
差し伸べられた手に掴まる。その手は暖かかった。
『誰かのためならば』
7/27/2023, 7:48:31 AM