『街』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
街全体を見下ろせるこの高台が好きだ。
春は桃色
夏は緑
秋は赤
冬は白色
色んな色に染まるこの街が大好きだ。
そんな景色を残したくて私は
今日もカメラを構える
─────『街』
どうかこの先もお幸せに
僕は嘘をつきすぎたから
君はただひとつの約束を守れなかったから
泣こうが喚こうがこれっきり
それでも人生は続いていくから
どうか幸せに 幸せに
幸せに(3/31お題)
街…
この字から私が連想するのは東京だ。
高校を卒業して初めて東京に行ったときのことだ。
ハンバーガーショップに人が並んでいて、私も並んだ。
少し遅いランチの時間だった。
私の番になった。
にっこり笑顔の店員さんが何か言った。
早口で聞き取れなかった。
聞きなおすと、イラッとした笑顔で繰り返してくれた。
何を言っているかわからなかった。
3回めはさすがに聞き直せず、私は列を離れた。
結局、近くのパン屋さんに移動し、好きなパンを買った。
東京とは、時間が速く流れる場所だと思った。
田舎のネズミはパンを持ってバスに乗り、田舎に帰った。
人それぞれに住みやすい場所はあるだろう。
でも、心が疲れたなら、田舎でぼーっとしたらいい…
と、日記には書いておこう。(笑)
《街》
立ち並ぶ堅牢な建物。舗装された広い道。
あちこちに据え付けられた金属が呼吸するかのように吐く煙。
他国よりも圧倒的に発達した機械技術の粋が、太陽の光を受け黄金色に煌めく。
富と繁栄が凝縮された風景。
ここが、僕の生まれ故郷。
しかし、この繁栄の裏には、労働階級達への凄惨な圧政がある。
機械技術を支えるために、彼らに過剰な労働を強いた。
そんな犠牲の元に立つこの街は、僕の目には悲しく空虚な物に映る。
それでも、ここは大切な場所。
歪んだ選民思想に染まった中にも、優しき人も住んでいる。
闇の存在に占拠され、蹂躙されたこの街。この国。
今、僕はここの復興に励んでいる。
傷跡はあまりにも大きい。まだまだ先は長いだろう。
その上、圧政時代の政権が以前の体制に戻そうと妨害を仕掛けてくる。
しかし、苦しんでいる人々のためにも負けるわけにはいかない。
開けた箱から厄災が放たれた後に残された小さな希望のような存在を見つめつつ、全てを立て直す為に全力を注ごう。
皆が等しく笑顔で暮らせる国になれるように。
ここの夜の街はいつも閑散としている。
今日は月が満月で一段と綺麗に見える。その綺麗さにいてもたってもいられなくなり愛用のカメラのファインダーを覗いた。ファインダーから見える景色はまるで自分だけが切り取られたよう不思議な気持ちになった。
賑やかな街
静かな街
騒がしい街
穏やかな街
誰も居ない街
この街とも明後日でお別れだと思うと、つい感慨にふけってしまう。
毎朝1時間半、ラッシュアワーの電車との戦いの末たどり着くこの会社で、定年を迎えるのだ。
終身雇用という言葉がまだ生きていた時代に就職した。家のローンや子供たちの学費を考え、転職に踏み切ることなく我ながらよく頑張ってきたと思う。
退職後に自分の半生を自費出版する人たちを小ばかにしていた己を反省する。今ならその気持ちがわかる。何か偉大なことをなし遂げたわけではないが、困難を乗り越え完走した達成感が自負になっているのだ。
流行病に関しての外出制限がなくなったとはいえ、まさか部署の何人かで「ささやかな送別会」を開いてくれると聞かされた時は驚いた。俺なんかのために。
…嬉しいじゃないか。
最終日に妻をねぎらう花束の手配もしたし、このデスクの私物もあらかた持ち帰った。
明日の会議には俺は出ないと言ってある。これからの諸君にかかっている。頑張れよ。
この街の減ってしまったネオンともおさらばだ。
俺は今夜の送別会で、とことん飲むことにした。
お題「街」
街…
正常な 清浄な地は 街となる
脈絡のない 光はきらい
街
帰り道
キリが悪いと立ち止まり
駅の灯りで本を読む姿
レンギョウと雪柳の坂道で
腰掛けこちらに微笑む姿
だだっ広い緑の公園を
家族でゆるりと散歩した想い出
あちらこちらで目に浮かぶ
もう今は亡き父の姿
まだ見ていたい
この街で
街
実家は田舎だ。山に住んでいる。子供の頃、レジャーや大きな買い物の時は、車で街まで行っていた。
今は新しくバイパス道路ができたおかげで、街までだいぶ早く行けるようになったが、子供の頃はほぼ決まった道を行くしかなかった。
その古い道路が都市部に入ろうかという辺りに、橋がある。そしてそれを渡ったところに精肉工場があるのだが、ここがちょっとした関門だった。
匂いだ。橋を渡り始めてすぐ、猛烈な生臭い匂いが漂ってきていた。血と肉の匂い、というのだろうか、通り過ぎるまで息を止めようと思うほどの生々しい匂い。匂いだけでも子供の僕には苦悶だったのだが、それに輪をかけて、視覚からも責められた。
橋には、5メートルほどの間隔でアーチ状の街灯が並んでいたのだが、そこにカラスの群れが止まっていたのだ。匂いにつられて来たのだろう、と両親が話すのを聞いて、カラスは怖い鳥だ、と子どもの僕は思い込んだ。
匂いとカラスの恐怖に耐え、街での楽しい時間を過ごす。食事してカラオケをして買い物をして。
あ、でも帰りも通るのだ、とふと思い出しては憂鬱になる。そんな子ども時代の思い出。
街
街は明るい。
夜になっても電灯があるから明るい。
夜も好きになる。
元々は小さな町だった。私はその小さな町で町長をしていた。
住民は「いつもありがとう」と、作った米や野菜を差し入れてくれたりしていた。とてもいい町だった。
でも、人が少なかった。若者はどんどん都会へ出てしまう。このままではこの町がなくなってしまうかもしれない……。
私は手始めに大型商業施設を建設した。有名なお店や映画館も入っている。
若者はそこに集まって遊ぶようになり、大人達もみんなそこで買い物をするようになった。
次に新しく観光地を作った。多くの人が楽しめるような、次世代型の施設。観光客も増えてきた。
そんな形で、いろいろな物を作り、新しくしていくと、少しずつ外からも人が入るようになった。これで町はなくならないだろう。
ただ、昔からあった商店街は、新しいものに客を奪われ、廃れていった。
気付けば、小さな町は大きな街になっていた。私の懐も潤っていた。
でも、もう誰も自分のところで作った米や野菜を差し入れたりはしない。
私が好きだった小さな町は、もうなくなっていたのだ。
『街』
街
新しい街にいても、実家の方が街って言われたら思い浮かぶかもしれない。もっと新しい街にいたら、街って言われてもしっくり来るのかな?
_街
夕暮れ時から歩けば
空っぽな心を埋めてくれる気がしたんだ。
今夜も街を彷徨いて
ネオンにでも染まってしまおうか。
久々に生まれ育った古里に帰ってきたら街並みがすっかり変わっていた。見慣れていたはずの街並み。物足りなさを感じて離れようと決心したはずの街並み。戸惑っている私とは裏腹に周りは皆飄々としている。街に忘れられてしまったみたいで、妙に悲しい気持ちになった。いや、今まで忘れていたのは私の方だったのかもしれない。
ごめんね。ただいま。
街といっても僕にとってそれは都会じゃない。
東京は区切れなく続いている。
どこからどこが街という個性かわからない。
僕にとって街とは、
子供の時ママと暮らした場所、
初めて彼女とセックスできた時、住んでた場所、
出かけて思いでに残った場所、
そういう場所を街として思い出に格納している。
街
久しぶりに目を覚ました。
変わり果てたそれは、跡形がなかった。
僕は崩れ始めた。
呼吸が上手く出来なくなった。
この街の空気は僕には合わない。
涅色のような空気は肺を痛めた。
空気が行き漂わないこの世界は臭い。
いや、臭いのは外の世界では無い。
臭いのは僕自身なのかもしれない。
1枚、また1枚と鱗が崩れていく。
最期は鉄臭く、僕の肺を痛めるものと良い相性になる。
誰か救ってはくれないだろうか。
僕を救う聖水をこの鱗に一滴垂らしてはくれないだろうか。
街は僕がいなければ完成しなかった。
#05
街
各務原市に住んでもう、40年近く経つ
すっかり、この街に根を生やしたね
住めば都と言うけれど、本当だ
たまに不動産を見る、良い物件があるけれどいざ引っ越しと考えると悩むね
この家売って迄、代われないな
街中だけれど、ご近所さんが少ない
周りはアパートに空き地、前は草ぼうぼうだけれど、緑一杯ですね
この土地はたかし君達に面倒見てもらおう 東西に長いので、家2軒も建つことも
可能ね 少しずつ、手を加えて行こう
新しく、西に車庫も出来たね
知らない街で知らない視線だらけに嫌気がさし
睨み返したのが
僕のほんの少しの勇気
街に訪れ
人が多い
めまいがする
まだ無理だ