《街》
立ち並ぶ堅牢な建物。舗装された広い道。
あちこちに据え付けられた金属が呼吸するかのように吐く煙。
他国よりも圧倒的に発達した機械技術の粋が、太陽の光を受け黄金色に煌めく。
富と繁栄が凝縮された風景。
ここが、僕の生まれ故郷。
しかし、この繁栄の裏には、労働階級達への凄惨な圧政がある。
機械技術を支えるために、彼らに過剰な労働を強いた。
そんな犠牲の元に立つこの街は、僕の目には悲しく空虚な物に映る。
それでも、ここは大切な場所。
歪んだ選民思想に染まった中にも、優しき人も住んでいる。
闇の存在に占拠され、蹂躙されたこの街。この国。
今、僕はここの復興に励んでいる。
傷跡はあまりにも大きい。まだまだ先は長いだろう。
その上、圧政時代の政権が以前の体制に戻そうと妨害を仕掛けてくる。
しかし、苦しんでいる人々のためにも負けるわけにはいかない。
開けた箱から厄災が放たれた後に残された小さな希望のような存在を見つめつつ、全てを立て直す為に全力を注ごう。
皆が等しく笑顔で暮らせる国になれるように。
6/11/2024, 10:57:42 PM