『街へ』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
街へ
体調は万全とは言えない。
寝惚けた頭でどの服にしようか、考える。
迷路みたいな地下をたくさん歩くようだから、スニーカーだな。ヒールを履きたいところだけど、また今度。
前はフェミニンな感じだったから、今度はクールな感じにしよう。タイトなジーンズ、ざっくりニットに長めのシャツを合わせよう。ニット帽を被りたい…けど、子供っぽいか。やめておこう。
小さい鞄に色々と詰め込んで、忘れ物がないか確認。
鏡の前で最終チェック。
「まぁいいや」がお決まりの台詞。
ちょっと砂埃で汚れたスニーカーで地面を鳴らして、走り出す。電車は待ってくれない。
クールに決めそこねた僕を君は「かっこいいね」と言ってくれるだろうか?
君と一緒に歌ったあの曲を聴きながら、流れる風景をぼんやりと眺める。
ドアが開く度、見知らぬ人が忙しなく、でも慣れた様子で座る場所を探す。新参者の僕は、不安と期待、緊張に目を瞑り、騒がしくなっていくゆりかごに揺られて進む。
あと、もう少しだ。
君の待つ街へ。
街へ
いつもより早起きして、午前中にやるべきことを済ましておく。
クローゼットの少し奥の方に置いたワンピースを取り出して、鏡の前であてて見る。
淡い色合いで、その色によく合う柔らかい素材は肌触りがよくて、思わず一目惚れして買ったものだった。
控えめだけど、丁寧なレースがあしらわれていて、とても自分好みだった。きちんと手入れしていたため、悪くなっているところはどこもない。
うん、と頷いて、決まった服装にテンションが上がる。
実際に着てみれば、ふわっと広がる裾が可愛らしくて、自然と笑みがこぼれた。
胸元のレースが髪の毛で隠れてしまうので、結い上げて、顔回りがすっきりとする。
靴はいつも履くような疲れないものは一旦おやすみさせて、石畳の上をコツコツといい音を鳴らすかかとの高いものを選んだ。
全身を鏡で見直して、いつもと雰囲気の違う自分に笑顔を向けて、いってきます、と呟いた。
ただ街へ出掛けるだけだと言うのに、そんなにおしゃれにしていくものか、なんて言われてしまうかもしれないけれど、私はこの服を着て街を歩きたいのだ。
誰が何と言おうとも、お気に入りの服を着て、大好きな場所へと行きたいのだ。
「街へ」
生まれも育ちも都会の親友
うちの町へ来たとき
「今晩は停電なの?」と。
私もかつては
街の住人だった
今では
その風景さえも忘れるくらい
電気の止まった風な場所に
根をおろし
生きてる
ここにしかない幸せは
必ずある
テーマ:街へ #77
真とシャドウは弟の勝瑠を探しに勝瑠家を出た。
そして『人外のハッカー』と呼ばれる者の家へーー
『ケッ、着いちまったよ』
シャドウが隣で肩を落とす。
「向かっていたからね。当たり前さ」
『そうだけどよ…。日をおいても良かったんじゃねぇか?』
「それじゃあ、勝瑠はどうでもいいってことか?」
僕の眉がピクリと上がる。
『いや、そういうことを言っているわけではないが…。というか、真がそこまで気にする相手なんてそうそういないからいいんだがな? いいんだが…な?』
シャドウは顔を下に向ける。
分かってる。シャドウがヤツのことを嫌っていると。
僕もわからない。なぜ自分がそんなにも勝瑠のことを救いたいと思っているかなんて。
僕たちの目の前には、一見の不気味な家が立っている。いわゆるホラーハウス。そう言っても過言ではないだろう。
「いくぞ、シャドウ」
傍から見たら、肝試しにでも入っているように見えるかもしれないが、ここにヤツは住んでいる。
「ララキ、いるか」
僕はそのホラーハウスに入ると言った。空が暗いため、家内も当然暗い。
『わー!!』
その時、子供のような高い声が聞こえる。
『久しぶりだね! 真!!』
そう言って棺桶から出てきたのはヤツ…ララキだ。
『あ!! シャドウいるじゃん!!』
後ろでゲ…という声が聞こえた。きっとうわ、見つかっちまった。とでも思っているのだろう。
『どうしたの? 真もシャドウも』
ララキはシャドウに抱きつくと言った。
「急ぎの用なんだ、ララキ」
ララキはシャドウに頬をスリスリとしている。シャドウは嫌そうに体をよじっている。
「ララキ」
『はいはい、わかったよ。まぁ、一回なにか聞いてからだよ』
ララキは渋々シャドウから体を話すと僕と向き合う。
『なんだい?』
「人探しをしているんだ」
『人探しぃ…?』
「あぁ」
僕が頷くとララキは、僕の顔をじぃっと見つめる。
『真が人探しねぇ…』
「なにか問題でも?」
『いいや、別に? 珍しいなと思っただけ』
そう言うとララキは棺桶に座る。
『僕がすればいいことは?』
「『ミッドナイト組織』という組織についての情報を人外たちから聞き出してほしい」
僕が組織の名前を口にすると
『なんだか、聞いたことある名前だなぁ』
そう言いながら顎に手を当てている。
『ねぇ、真』
考えている途中、ララキは僕を呼んだ。
『真、変なことに首を突っ込んでいないよな?』
ララキは真剣な顔をしている。
「わからない」
『わからないって…。それじゃあ、僕は依頼を放棄するよ?』
「それは困る」
『だって危険かどうかわからない組織のこと調べて、真に情報を教えたら、真は絶対に突っ込んでいくじゃない』
そりゃあ、当たり前だ。
『なんでその人探してるのさ』
「…弟かもしれないんだ」
『弟って真、一人っ子じゃないのかい?』
「それを確認するために探しているんだ。勝手に死なれちゃ困る」
僕がそう言うとララキは、何も言わずにまた顎に手を当てた。そして数分後
『わかったよ。真の依頼、引き受ける。しかし、すぐには集まらないよ』
「あぁ、分かっている」
『こっちも最善を尽くすけど、真もシャドウも情報集めて。そんなに大切な人なんだったら協力して』
「あぁ、もちろんだ」
『後、依頼の手数料だけど、帰ってきたら真実を教えてよ。今回はそれでチャラにしてあげる。僕の退屈しのぎくらいにはなるだろ?』
ララキはそう言うといたずらっぽく笑う。
「あぁ…。分かった」
『約束だぞ』
そう言って小指を折る。
『じゃあ、早速街へ行くか』
『街ぃ?』
『情報源が街には多いの、シャドウ』
そう言ってまたララキはシャドウに絡みつく。
嫌そうな雰囲気を醸し出しているにも関わらず、平気なふりしてくっついているララキと僕とシャドウは外へ出た。
街へ
君の住む街に行ってみたい。
行ったところでどうせ君には会えないか…
会えないならわざわざ遠出する必要もない。
君はきっと私に会うことを望んでいない。
私が一方的に君のことを想ってるだけ。
…私の想いを知ったら君はどう思うかな。
そう考えるだけで私は、怖いな
やっぱりこの街に留まっていよう。
この想いと一緒に。
―街へ―
バスに乗っていた。
私は次のバス停のアナウンスがなる前にボタンを押した。降りるバス停が近づいて来てアナウンスが鳴った。
すると、こんな会話が聞こえてきた。
「次で降りるよ」
「僕ボタン押す……あれ?ママ押したでしょ!」
ごめんね……。
「遊びに、行きませんか」
週末、もしよかったら……だけど。貧弱な声で、うわずってもいて、それでも人生で一番、強気な僕が、やっと発した言葉だった。
それなりに仲良くなった。自負があった。でも、僕の好きな君は、僕の事なんてきっと、眼中にないんだと、なんとなく思ってた。
決めつけるなよ、やる前から。それも君の言葉だった。だからチキンな自分を、精一杯にぶっ叩いて、挨拶をして通りすぎる君の背中に声をかけた。
「となり街に…かっ、買い物…とか……」
君は返事をしなかったけど、ヒラヒラと軽く手を振った。
それが、五日前の昼休みの出来事だった。
週末は雨になるでしょう。そんな予報が出たのが、三日前。待ち合わせ場所だけ一方的にラインで送って、返事が着たかも確認しなかった。
季節外れの土砂降りの雨の中、君はついに、来なかった。
【街へ】
ふんふんと鼻歌を歌いながら夜の明るい街を闊歩する。
この街には仕事、締切、寒さ、不安感…様々な理由で今日も眠れない人が沢山いる。
俺の隣をとぼとぼと歩く少女も理由あって眠れない子。
ウロウロと視線を彷徨わせ、不安そうな瞳には街の灯りが反射する。
その煌めきに目を奪われていると彼女が口を開く。
「眠ったら死んでしまうの。」
俺の目を見て今にも泣き出してしまいそうに顔を歪ませ、小さく消え入りそうな声で話す。
「おじいちゃんもおばあちゃんも…お母さんだって、おやすみって言って死んじゃった。」
彼女の目線に合わすようにしゃがみこむ。
ぎゅっと結ばれた両手を優しく解き安心させるように手を握る。
ここは夢の街。俺は案内人で君は迷い子。
朝になったらお別れだ。それまでは手を繋いでいてあげよう。君が安心して眠れる日まで。
『街へ』
私の場合は
町へ行こうとなる
街へとなると
一張羅の服を着て緊張する場所
いつもよりもおしゃれをして、君と出かける。
街で二人で歩いた日を絶対に忘れない。
まだ薄暗い街へと繰り出す。
少しずつ明るくなっていく美しい街に、私は目を細める。
こんなときに貴方を思うの。
明けの明星が、綺麗ですね。
『街へ』
君の香りをうつしたいんです
君は街のうつくしいウィンドウに君自身がうつることに嫌悪していました
君の囁きを触りたいんです
君は街ゆく人のとぎれとぎれの会話を聞いていました
君のはにかんだ顔を汚したいんです
君は街のネオンの光に目を細めていました
君の幸せを知りたかったです
君は今もあの寂しい街に生きているんです
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#街へ 2023/01/28
「このまま歩いてこ」
街へたどり着こうとする雲と
静かな街並みを行こうとする雲
二つの雲はどう違うのだろう?
街の方が賑やかで楽しそうだけど
静かな街の方が私には似合うかな
でもその雲に乗れたとしても
私は貴方に出会えますか?
今日の風はでも
少し強めで
思っていない所にたどり着きそう
だから人生はでも楽しいのかな
何が起こるか分からなくてね
いいや 流れのままに
歩いてこ
この街へ
私の想いのまま
歩いてこ
2023年 14
街へ
商店街、かつて栄えていたその場所は、僕を吸い寄せる。
1月、週末、受験勉強、図書館の横、昼ごはんを食べに僕は、まっすぐに商店街を歩く。
今ではシャッターがしまっている、この店、古びたこの壁もにぎやかな声を聴きながら、沢山の人を見てきたと思うと、少し寂しく思われる、
盛者必衰、僕がおじいさんになっているときは、何が残っているのだろう。
だが、たとえ、商店街の街並みがなくなったとしても、僕だけは今日食べた肉うどんの味を忘れないでおこう。
繰り出すのもいいよね。けれど、お家でゆっくり、ひとり時間も大切……なはず( ◜ᴗ◝)…
‹街へ›
自分を変えたい
世界を変えたい
そう思って何年が過ぎただろうか
自分は変えれず
世界は変わらず
それなら一体何ができるだろうか
すがる思いで飛び乗った列車で
発車5分前に目を瞑った
奇劇の開幕か、はたまた終焉か
さあ行こう
あの街へ
『街へ』
足を踏み出してみた
そこに広がるのは赤青黄緑に紫、橙
カラフルな世界だった
僕の住んでいた町は白かった
僕の見た街は彩やかだった
黒い僕が混ざっても何も違和感がなかった
誰も僕を見なかった
#個性#街へ
普段は着けない大人っぽい下着を身につけ
トレンドを押さえつつ自分の好きな服を着て
髪はゆるく巻いて
清潔感のあるメイクをして
普段はコンタクトなのに眼鏡に変えたり
マスクは控えめベージュ
いつもと違う甘めの香水をワンプッシュ
いつもの場所でもお洒落一つでこんなにワクワクする
「街へ」
私はきっと箱入り娘だ
しかも過保護な環境で育ってしまったタイプだ
そして今
家から逃げてきて、見知らぬ街へ行く道中だ
ひとり
有り金はまだ底を尽きていない
家族が見せてくれなかった世界を
今度は私ひとりで独占する番
……街はまだ遠い
突然、そこには誰も知らない街があった。
綺麗に澄んでいる空
古びた色とりどりの建物
ずっと先に続く道
そのまわりに
広がるお花畑や草原
自分にしか見えない街へ。