街へ
体調は万全とは言えない。
寝惚けた頭でどの服にしようか、考える。
迷路みたいな地下をたくさん歩くようだから、スニーカーだな。ヒールを履きたいところだけど、また今度。
前はフェミニンな感じだったから、今度はクールな感じにしよう。タイトなジーンズ、ざっくりニットに長めのシャツを合わせよう。ニット帽を被りたい…けど、子供っぽいか。やめておこう。
小さい鞄に色々と詰め込んで、忘れ物がないか確認。
鏡の前で最終チェック。
「まぁいいや」がお決まりの台詞。
ちょっと砂埃で汚れたスニーカーで地面を鳴らして、走り出す。電車は待ってくれない。
クールに決めそこねた僕を君は「かっこいいね」と言ってくれるだろうか?
君と一緒に歌ったあの曲を聴きながら、流れる風景をぼんやりと眺める。
ドアが開く度、見知らぬ人が忙しなく、でも慣れた様子で座る場所を探す。新参者の僕は、不安と期待、緊張に目を瞑り、騒がしくなっていくゆりかごに揺られて進む。
あと、もう少しだ。
君の待つ街へ。
1/28/2023, 2:51:52 PM