自転車に乗って
いつかの映画みたいに
風を切って
この瞳に映る醜悪も
この胸の中の憂鬱も
この手の中の焦燥も
何もかも
その風が攫って行ってくれるなら
辿り着く先が見えなくても
漕ぎ続けよう
チカラノカギリ
そして
いつか羽根が生えて
自転車ごと空へ飛び立って
いつか見たアニメみたいに
夢を追って
自分の進む道が
見える時が来るから
力を込めて
僕の足元が揺らがないように。
例え、誰かが僕を罵ったとしても。
例え、誰かが僕の心を壊そうとしても。
僕自身が崩れ落ちそうになっても。
「だいじょうぶ、だいじょうぶ。」の魔法が、かからなくなっても。
零れ落ちた感情を、拾い上げて。見つめ直して。
温かな部分を掻き集めて。
僕と「誰か」を一緒にしないように。
僕は「僕」で在れるように。
この揺らぎそうになるつま先に、最大限の勇気を込めて。震える指先に目を瞑りながら。
この場所に立ち続けるんだ。
恋物語
ある時 恋に焦がれて
ある時 恋に落ちた
そう、その時。
恋に、恋をしていた。
そしてある時、恋を失った。
恋は「寂しい」に変わった。
寂しさは僕を惑わせた。
恋に恋したあの時の事を忘れられない僕の心は、考えることを放棄した。
「恋は盲目」
全ての陰りを隠すように、僕は恋に落ちていった。
そこに心が、愛があるかさえ、知り得ないのに。
何も知らない僕は愚かだった。
愚かに恋に落ち、愛に迷い続けている。
まだ、物語の途中。
そう、恋に恋をしているから。
あの時の、僕がまだここに居る。
後悔
数えればきりがない。
後悔のない人生なんて、あり得ない。
あの時ああすればよかった。
こうしていれば今頃こうなっていたかも…。
そんな事ばかり。
でも悔やんでも仕方ない。過去は過去。
変えられないものに執着する時間があるなら、今を大切に生きた方がいい。
僕は、過去ばかり見ていた自分を捨てた。
今と未来のために生きていくことにしたんだ。
そうするようになってから、不思議と自分の足で前に進んでいる感覚がするようになった。
そして、変わらない「まいにち」が少しずつ変わり始めた。
自分の未来を変えられるのは自分だけ。
さぁ、これから、何をしようか?
モンシロチョウ
僕の幸せな情景の隣には、いつも君が居た。
真っ白な春を告げる君。
「あ、チョウチョだ!」
僕はいつも君を見つけると嬉しくなる。
お花に留まるかな?
どこへ行くんだろう?
また来てくれるかな?
そんな想いを全部攫うようにして、君は空へと消えてしまった。
君を風景として見るようになった時、僕の心は寒い寒い冬のように凍ってしまう。
「まだ、春が来る。大丈夫、大丈夫。」
僕は「大丈夫の魔法」を唱えながら、君が見えなくなった空を見上げる。
もう少しで雨が降り始める。
虹がたくさん出て、夏が来る。
季節が巡っても、君のこと忘れないよ。
また、春に遊びに来て?
きっと、待ってるからさ。