ハイゼ

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ふんふんと鼻歌を歌いながら夜の明るい街を闊歩する。
この街には仕事、締切、寒さ、不安感…様々な理由で今日も眠れない人が沢山いる。
俺の隣をとぼとぼと歩く少女も理由あって眠れない子。
ウロウロと視線を彷徨わせ、不安そうな瞳には街の灯りが反射する。
その煌めきに目を奪われていると彼女が口を開く。

「眠ったら死んでしまうの。」

俺の目を見て今にも泣き出してしまいそうに顔を歪ませ、小さく消え入りそうな声で話す。

「おじいちゃんもおばあちゃんも…お母さんだって、おやすみって言って死んじゃった。」

彼女の目線に合わすようにしゃがみこむ。
ぎゅっと結ばれた両手を優しく解き安心させるように手を握る。
ここは夢の街。俺は案内人で君は迷い子。
朝になったらお別れだ。それまでは手を繋いでいてあげよう。君が安心して眠れる日まで。

1/28/2023, 2:14:38 PM