ライ麦粉

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 「遊びに、行きませんか」
 週末、もしよかったら……だけど。貧弱な声で、うわずってもいて、それでも人生で一番、強気な僕が、やっと発した言葉だった。
 それなりに仲良くなった。自負があった。でも、僕の好きな君は、僕の事なんてきっと、眼中にないんだと、なんとなく思ってた。
 決めつけるなよ、やる前から。それも君の言葉だった。だからチキンな自分を、精一杯にぶっ叩いて、挨拶をして通りすぎる君の背中に声をかけた。
 「となり街に…かっ、買い物…とか……」
 君は返事をしなかったけど、ヒラヒラと軽く手を振った。

 それが、五日前の昼休みの出来事だった。

 週末は雨になるでしょう。そんな予報が出たのが、三日前。待ち合わせ場所だけ一方的にラインで送って、返事が着たかも確認しなかった。

 季節外れの土砂降りの雨の中、君はついに、来なかった。

【街へ】

1/28/2023, 2:24:11 PM