『落ちていく』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
落ちていく
落ちていく
君の仮面が落ちていく
明るくて 素直で 真っ直ぐ
そんな君が堕ちていく
綺麗な綺麗な純白が
綺麗に綺麗に落ちていく
落胆した僕の心を
仮面の欠片で殺しにくる
僕の命も落ちて逝く
お題『落ちていく』
落ちていく
とっさに差し伸べた手は届かなかった
「あっ、あー、ああぁ」
間抜けな声を上げながら
見守ることしかできない
崖下に落ちていったペンは
何度か岩にぶつかる音を響かせて
消えていった
「大事にしてたのに…」
這いつくばってうなだれる
「そんなもの、またいくらでも買ってあげるよ。そんなことよりあまり崖に寄らない。君が落ちてしまったら代わりがないんだから」
うなだれる私に声をかけてくれるあなた
まったく
「今度はもっと可愛いやつを買ってね。あとパフェご馳走してよ」
「あはは、了解」
あなたがそんなだから
私はあなたに落ちていくのだ
落ちていく寸前の小石を拾い上げたのは
万人に向けたあなたの笑顔だった
まだ小石は落ちていない
ふたたび春が来れば
小石は解けて水に変わるだろう
そうして水は
姿を変えるだろう
「落ちていく」
人生どん底に落ちていった
終わりのない暗い道を一人歩く
消えたくなった、存在ごとなくなりたい
ーだまれー
今はどん底 かもしれない
でももう少し耐えれば上がれる かもしれない
ー落ち着けー
大丈夫。私は強い
弱くなんか全然ない
そう言い聞かせて今日も生きる
「かもしれない」って"凄い"言葉だね
∮落ちていく
水が好きだ。水が奏でる音を探すのが好きだ。
泳いでいるとき、水面辺りで耳を澄ますと水が転がるような軽快な音がする
雨の日に、窓辺で勉強しているとき、どことなく心地良いリズムを刻む雨粒の音がする
水溜りの音も、水時計の音も、泡の音も、
たまに、雨の日に消えたくなることがある。
どことなくふらっと、傘もささずに何処かへ行きたくなる
もしくは、水溜りの中に吸い込まれたくなる
なんだっていいんだ。水にとけて消えてみたくなる
自殺願望なんかは持ち合わせちゃいなかったけど
でも、そんなこと考えてたから本当に落ちてしまったんだろう
沈んでいた子どもは助かるといいな
僕が使いすぎてなきゃ酸素はきっと足りるはず
僕自身は間に合わないことが少し情けなくも感じるけど
こうやって、大好きな水に身を任せて意識を手放すなんて
幸せな終わり方だ
どん底の沼に落ちていく。
ああ、真っ暗だ。何も見えない。
怖くなくても地に足がつかない感覚に落ち着けず、消えてしまいたいくらいに投げやりな感情を自分にぶつけた。
私に生きている価値はあるのだろうか。
「指示がないと何もできないんだね」
社会人一年目で覚えるのに必死なんだよ。
「補充した備品が減ってるんだけど?アンタ取ったんじゃない?」
盗んだ証拠もないのに疑うな。
「お前に構ってられる暇はないんだよ」
相談に乗ってほしいだけなのに、突き放さないで。
何もかも上手くいかず、心は黒い感情に蝕むられた。
私には何も失うものがない。
だから、落ちていくんだ。
深く……もっと深く……
浮上でいないとこまで行くんだ。
膝を抱えて無駄な思考回路を止めた時、箱のような物に当たった。
何かと顔を上げれば段差があった。
退かせないかと押してみるとふわっと光り、その少し高い位置に段差が増えた。
それが目障りで身を乗り出して同じことをしようとすると、触れた瞬間に小さな眩さが迸った。
また、その上に段差が現れ、這い上がりの繰り返し。
「登って行けって?私はこの闇の中にいるほうがいいの。 余計なことしないでよ!」
それでも増え続ける段差は天に向かって伸びていき、いつしか私は立ち上がり駆け出していた。
「もう充分に塞ぎ込んだだろうって? ふざけないでよ、暗い中でいたままでいいならそのままでいたいんだよ」
分かっているが階段にやつ当たっても返答なんてない。
途中止まって引き返そうと何度もしたが、体が勝手に上へと進んでいく。
「私はこのまま死にたいと思った。散々嫌なことを言われ、怒られてきて、イライラした。それなのに、私は自分の未来を終わらせたくないんだ」
目元が熱くなりグッと堪えると、長いトンネルの先を目指すように階段を踏み込んだ。
落ちていく╱11月23日 木曜日
好きだよって言うと、俺も好きって返してくれる。
可愛いって言ってくれる。
幸せって言うと、俺も幸せって言ってくれる。
それが当たり前だと思ってしまった。
そのせいで、今とても辛い思いをしてるの。
私からの好きはスルー。
あなたからは言ってくれない。
LINEだってあんまりしてきてくれない。
両想いなのに片想いみたい。
そんなに辛いのにあなたをまだ好きなのは、きっとあなたに魅力がありすぎるから。
期待してしまっているから。
思わせぶりに釣られているから。
どんどんあなたという沼に落ちていく。
落ちて落ちて、抜け出せなくなっていく。
あなたも一緒に落ちてよ。
落ちていく
気づかぬうちにどんどん深く
会いたくて、ただ会いたくて
一目でいいから
気づかれなくてもいいから
ただ会いたい
あなたに会いたい
11/23「落ちていく」
歌に導かれるように、夢に誘われるように、出会ったのはあなた。
もう一度会いたいと思い、もう一度会えた。
何度でも会いたいと願い、以来いまだ会えず。
闇を彷徨う中の一筋の光だった。
砂漠を征く中の一滴の水だった。
どこにいる。あなたは。どこにある。我が救いは。
落ちていく。あなたに。
落ちていく。落ちていく。底なしの恋に。
(所要時間:7分)
11/22「夫婦」
空気みたいなんだよな。
「長年一緒にいれば、そりゃあどんな相手でも飽きる」と言われるけれど。
飽きているのとはちょっと違う。
いるんだかいないんだかわからない。いやまあ、いるんだけど。
「おはよう」
「おはよう」
「行ってきます」
「行ってらっしゃい」
「ただいま」
「おかえり」
空気みたいなんだよな、と思い続けて数十年。ふと、その理由が思い当たる。
自然に必要なものなのかもしれないな。
なんて思って、らしくなく照れる。そんな11月22日、「いい夫婦の日」。
(所要時間:6分)
11/21「どうすればいいの?」
うーん、と首を傾げる。
噂の部屋に閉じ込められた。キスをしなければ出られない部屋というやつだ。
問題は、一緒に閉じ込められた相手だ。
確かに、好きだ。いや、愛してる。私が小さかった頃からずっとずっと、偏愛している。
サボちゃん。
昔は手のひらサイズだったが、今はそれなりによじれつつ伸びて、まあ、30センチぐらい。毎週水をやって大事に育てていた。アロエリーナばりに話をよく聞いてくれた。…だからよじれたのか?
問題は、サボちゃんがサボテンだということですね。
キスしなければならないんですよね。
…どうすればいいの?
(所要時間:4分)
11/20「宝物」
それは、宝物庫の一番奥に眠るもの。
黄金の肌に、翡翠の瞳。唇から覗く真珠の歯、延べた指の先には珊瑚の爪。ビロードを纒い、ダイヤの飾りの靴を履く、まばゆく美しい女性の像。
この国の守り神だったという彼女を、時の王が欲したという。伝説に残るのはそこまでだ。
滅び去ったこの国の最奥に眠る彼女と、その足元に転がる白骨と王冠。国に、彼らに、何があったのか。解き明かす者が現れる日を、彼らは待っているのか、いないのか。
(所要時間:8分)
「落ちていく」
何で読んだかわからないけど
落ちていくのは悪いことじゃない。
落ちるとこまで落ちて、底に着くから
落ち着くのだ
妙に納得した覚えがある
落ちていく。
手を離したから、落ちていく。
深い闇へ落ちていく──
あのまま駆け落ちでも何でもして、二人で逃げればよかったのに。逃げたのは俺一人だけだった。
彼女の胸に突き立てた短刀からじわじわと闇が広がって、体が蝕まれるようだ……
「許さない」
そう、責め立てる声が聞こえた。
「嘘つき」
彼女の泣き顔が脳に焼きついて消えない。
その綺麗な瞳に魅入られて、初めて欲しいと思った人を。まさか己の手で命を散らしてしまう日が来るなんて。
俺の行き先は地獄だろう。もう二度とあの柔らかい日々へ戻れはしない。
春を失って季節は終わりを告げた。吹き荒ぶ風は彼女の泣き声すら消して。
桜の花びらが舞う中、搔き抱いた冷たい春を美しいと思った……あの感情を何と呼ぶのか、俺は今もわからずに落ちていく──
【落ちていく】
本当は片足だけ浸かるつもりだった。
日々のちょっとした癒やしに、
なんて軽い気持ちでもあった。
初めは片足、
そのうち心地よくなって
両足を浸けてみようなんて思ってしまった。
だから、片足を浸けた時と同じ様に
両足を浸けた時も本当に軽い気持ちだった。
でも、それが運の分かれ目
私は転がるように落ちていった。
今の沼に。
世の中、
落ちて幸せになるのは恋や愛ばかりではない。
そんな事を沼に浸かりながら
ゆったりと思う。
ああ、落ちていく
底なしの闇に
誰かこの闇の中を照らして
私を連れ出して。
Theme:落ちていく
瞼が重い。今にも眠りに落ちてしまいそうだ。
でも、彼女はそんな私の手を強く握り身体を揺する。
どうやら眠らせてくれるつもりはないようだ。
私は彼女を宥めるように、頬に触れて優しく撫でる。
彼女はその手を掴んで首を振る。
「いかないで」
ぽたりと温かい雫が私の頬に落ちる。
どうか、泣かないで。
いずれまた逢えるんだから。遠い未来にではあるけれど。
最期は笑顔で見送ってほしいというのは我儘かな。
やがて眠気に抗えなくなった私は瞼を下ろす。
彼女の声、手に感じる彼女の温もりが段々と遠退いていく。
「また会えるよ」
呟いた言葉は、彼女に届いたのだろうか。
やがて私は、深い深い眠りへと落ちていった。
〚落ちていく〛
失敗や過ちを繰り返し
自分の人間としての価値が落ちていく
いつか底につく日が来るだろうか
どうなったら底につくのだろう
底についたときどうなってしまうのだ
ろう
底ってなんなんだろう
落ちていく
白い翼を見た
美しいその人
掴もうと手を伸ばした
呼吸が空回る
人形みたいに瞼が動かない
スルリ、と
頬に
その真っ白い指が
撫でるように
「───────、──」
真っ白な肌に
赤い唇が映える
「──?─────」
間違い無い
やっぱり
僕の
天使だ
「────、──、───────────。」
途端
溢れんばかりの光が
僕等を包む
「────」
息が停まる。
落ちていく
「なんや緊張するわあ」
「あんたでも緊張するんかいな」
「いうてあんな立派な舞台やで?お客様もぎょうさんいてはるし」
「あんたの作ったもんの出来がようて褒められんねん。順番も最後やろ?堂々としとき」
「いや無理やて。わしなんか最後はちょっとおまけでいれたったていう落ちや」
「ちょっとあんた落ちて!行くんや!ほらあんたの出番!」
沼に落ちていく。
沼から抜け出せない。
笑顔で話しかけてくれる君。
君を見る度に目が合って胸が高なる。
君が私の沼に落ちることはあるのかな。
落ちてくれないかな。
私の沼に。
落ちて、堕ちて、墜ちて、おちて。
おちた先に会ったのは、紛れもない私だった。
何十、何百と積み上がったわたし。
虚ろな瞳がこちらを見つめ、こう言った。
「ねぇ、どうすればよかったの?」
その瞬間また墜ちて。
あぁどうしようもなかったんだと気づく。
「どうすれば、好かったんだろう」
落ちていく彼女の手を掴んだらなにか変わったかなと、暗闇に堕ちていく意識の中で微かに思考した。
はら、はら。
風に吹かれて私は舞う。
小さく薄い体でも、少しの命でも。
ほんの数秒間、舞いながら落ちる。
私が舞う様を綺麗だと言う人が居てくれる。
はら、はら。
ああ、落ちていく。