木弓るん

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落ちていく

とっさに差し伸べた手は届かなかった

「あっ、あー、ああぁ」

間抜けな声を上げながら
見守ることしかできない

崖下に落ちていったペンは
何度か岩にぶつかる音を響かせて
消えていった

「大事にしてたのに…」

這いつくばってうなだれる

「そんなもの、またいくらでも買ってあげるよ。そんなことよりあまり崖に寄らない。君が落ちてしまったら代わりがないんだから」

うなだれる私に声をかけてくれるあなた
まったく

「今度はもっと可愛いやつを買ってね。あとパフェご馳走してよ」
「あはは、了解」

あなたがそんなだから
私はあなたに落ちていくのだ

11/23/2023, 11:19:49 AM