きっと明日も
一日が終わろうとしている
ひとつの区切りを迎えようとしている
私の中で何かが変わるのかもしれないし
なんにも変わらないのかもしれない
だけど何を思おうとも
きっと明日も変わらない日常が待っている
長い時の中で
人も物事も変わらずにはいられない
遠い場所では
辛い思いにさらされている人もいる
それは決して他人事ではない
きっと明日も平穏無事とは限らない
人はあたりまえのことはあたりまえに受け取る
きっと明日も変わりないと信じている
だけどそれは本当はあたりまえではない
だからこの日々を有り難く思い大切に生きよう
きっと明日も、変わらない日常でありますように
静寂に包まれた部屋
通された部屋には、何もなかった
机と椅子。調べ物をするためのパソコン
休憩用だろう長ソファー
窓すらなく、背後の分厚い扉を閉めれば
何の音もない、静寂に包まれる
椅子に座り、精神を研ぎ澄ませる
創作活動とは自分との戦いだ
雑念を払うためにこの部屋を用意してもらったが
意外と静かすぎても集中できない
だけど、ここまでしてもらった以上
何らかの成果を出さなければならない
この原稿を書き上げるまでここから出ない
それは自分で決めたこと
この部屋はしばらく静寂を保っていたが
やがて私が叩くキーボードの音が響き渡る
別れ際に
別れる時はいつだって寂しい
次に会える時の事を考えたいけれど
そうして
二度と会えなくなることだってある
悪いことばかり考えすぎとか
不謹慎だとか言われるかもしれないけれど
何かあった時に後悔したくない
いってらっしゃい
いってきます
さようなら
またね
後悔したくないから
別れる際はなるべく丁寧に言葉を交わしたい
通り雨
激しい音と稲光と共に
空から大粒の雨が降ってきた
たまらずそのへんの軒下に走り込んで
ため息をつく
ほんの数秒というのに全身びしょ濡れだ
「ついてないな」
思わず声に出して
「そうでしょうか?」
返事が返ってくるとは思わず
びっくりして横を見ると
スーツをびしょ濡れにした紳士が立っていた
「あなただってずぶ濡れじゃない
その高そうなスーツだって
洗濯が大変そうだし」
「あはは、確かにそうだ
スーツの替えもないし、困ったな」
本当に困っているのかわからないほど
紳士は明るく笑っている
「ですが」
不意に目を細めて言葉をつなぐ
「通り雨の後は空気が綺麗になるんですよ
それにあなたのような素敵な方と出会えた
私は幸運です」
その瞬間、急に辺りが明るくなって
「ああ、やっぱり私たちは運がいい」
雨はすっかり上がり
紳士の指差す先には大きな虹がかかっていた
秋
開けっ放しだった窓から吹き込んでくる風に
冷たさを感じて秋物のコートに袖を通す
外に出て空を見上げれば雲一つない快晴
だけど夏より幾分薄さを感じる青空
季節が変わったんだなと感慨深くなる
過ごしやすい季節は短いもの
今のうちに何をしておこうか
行きたい場所、見たいもの、食べたいもの
やりたいことは全部しておきたい
季節は秋
私が一番好きな季節