窓から見える景色
ぼんやりと窓を見上げていた
一面に広がるブルースカイの
一部が自分の視界に入る
毎日こうして立ち上がる気力もなく
ただただ窓から空を見上げる日々が続いていた
良くないのはわかっている
何とかしたい気持ちはある
だからなのか
今日はいつもより体調が良いのか
寝てばかりの毎日にそろそろ飽きたのか
ようやく立ち上がって
窓から空以外の景色を見たんだ
家の前の木々は色づき始めていて
道を歩く人々はコート姿で
もう夏は終わったんだと認識する
窓の外の世界へ足を踏み出したい
そう思う気持ちと
まだ外は怖いという気持ち
だけど
少しづつ勇気を出して窓の外を見ていたら
いつかは外に出ようって思えるかな?
形の無いもの
いつだって君は何かを欲しがる
アクセサリー、化粧品、ブランド物のバッグ
プレゼントしたってプレゼントしたって
きりがない
そのうちに気付いたことがあるんだ
君が本当に欲しいものは
そんなプレゼントなんかじゃなくて
ワガママを聞いてくれる
甘やかしてくれる
そういうことなんだって
でも、形の無いものは
言葉で表現するの、難しいよね
だから僕はいつだって君を甘やかす
僕が欲しいものも、形の無いものだから
ジャングルジム
子どもたちの笑い声に視線を向けると
そこは昔自分たちも遊んでいた公園だった
懐かしい気持ちになるが
記憶にある遊具はほとんど撤去されていて
子どもたちはベンチに集まって
流行りの携帯ゲーム機で遊んでいるようだ
時代の変化に仕方ないことと思いながらも
同時に寂しさもわいてくる
あの頃の僕たちは
ジャングルジムの上に集まって
他愛のない話をしたり
漫画の雑誌を持ち寄って回し読みをしたり
先のことなんて何も考えなかった
ただ、ジャングルジムの上は気持ちよくて
みんなと過ごす時間は楽しかった
時が流れて
僕は冴えないサラリーマンになって
ここを通ることもなくなったし
一緒に過ごしたみんなも
今どうしているかなんてわからない
なくなってしまったジャングルジムと同じく
僕たちの過ごした時間も
記憶から消えていくのかもしれない
声が聞こえる
不意に、何かを捉えて足を止める
気のせいだろう
と、その場を立ち去ることは簡単だろう
だが
何か感じるものがあり耳を澄ます
しばらく集中していると
確かに、聞こえた
弱々しい、助けを求める声
聞こえたのはほんの数秒
だけど、集中していたから方角はわかる
まるで幻聴のような声に導かれ
俺はその扉を開けた
大事にしたい
大事にしたい
君からの初めてのおくりもの
一生懸命僕のこと考えて
選んでくれたのわかるから
大事にしたい
君との初めてのデート
緊張しながらエスコートした僕に
楽しかったと笑ってくれたから
大事にしたい
君と交わした約束
一生共に歩いていくために
忘れてはいけないことだから
僕が大事にしたい君は
明日から僕の家族になる