Theme:落ちていく
瞼が重い。今にも眠りに落ちてしまいそうだ。
でも、彼女はそんな私の手を強く握り身体を揺する。
どうやら眠らせてくれるつもりはないようだ。
私は彼女を宥めるように、頬に触れて優しく撫でる。
彼女はその手を掴んで首を振る。
「いかないで」
ぽたりと温かい雫が私の頬に落ちる。
どうか、泣かないで。
いずれまた逢えるんだから。遠い未来にではあるけれど。
最期は笑顔で見送ってほしいというのは我儘かな。
やがて眠気に抗えなくなった私は瞼を下ろす。
彼女の声、手に感じる彼女の温もりが段々と遠退いていく。
「また会えるよ」
呟いた言葉は、彼女に届いたのだろうか。
やがて私は、深い深い眠りへと落ちていった。
11/23/2023, 11:05:08 AM