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落ちていく、落ちていく。
うさぎの穴を、落ちていく。
アリスは上を見上げて、青いスカートに泥がついたと言って怒る。
たどり着いたのは野うさぎの巣。
ハンチング帽を被った猟師が、ミートパイにしようと、野うさぎの巣の前で待ってる。
さよならうさぎ。
アリスはミートパイが好きじゃなかったので、なおさらうさぎが、可愛そうになってきて、泣いちゃった!
後からやってきた白うさぎは、山高帽を頭に被って、
「コノヤロウ! 薄汚い人間め!」
と言って、チクタクチクタク言う時計を叩きながら、人間に向かって唾を吐く。
「お嬢さん、あいつを懲らしめてやりましょう」
「どうすればいいの?」
泣いているアリスは、思わず首を傾げた。
「爆竹です。罠にかけてやるのです。私共は、人間をミートパイにしてやりたいと、長いこと思いあぐねていたのです。もちろん私共は、草食ですから、そんな卑しいものは、口に致しません。ですから、あなたの犬のおやつにでもして差しあげなさい!」
「なんですって!? 犬のおやつに? 冗談じゃないわ」
アリスは憤慨して、もう平手を上げて、白うさぎに殴りかからんばかり。

11/23/2023, 10:59:41 AM