『花畑』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
「 花畑 」
まるで夏のような晴天に
そよそよと涼しい風が吹く
打ち靡くストレートロングと共に
コスモスもふわふわと揺れ踊る
ふと零れた微笑みも共に
早咲きのコスモス畑
最近は、朝起きたら誰かが引退発表していてなんか寂しい。
実は少し前、プロ野球の2軍の試合を観戦する機会があった。この暑さなので最後までは観られなかったけど、その試合に先日引退を表明した選手も出場していた。
お元気そうだし、調子も悪くなさそうだし、なにより相変わらず男前だった。
男前を確認した帰り道、コスモスが群生しているところがあり、あ〜もうコスモス咲いてるんだ〜青い空と一面のピンクが綺麗だね〜なんて思いつつ帰ってきた。
それからしばらくしての、引退発表。
寝起きでいきなり殴られた気分がした。
いやだって、あの時そんな気配なんて感じさせなかったのに。
笑顔も見られて、いつも通り男前だったのに。
......と、この前の試合を思い返してみると、心の中での映像はあの日のコスモスと重なって、まるでコスモスで縁取られているような気がした。
思い出す場面場面が切り取られて、コスモスと一緒に額縁に入れられていく。
なんか、花の力ってすごいね。
なんでも思い出が美化されちゃう。
...いや、違うねんて。
まだまだ思い出にしたくないんやって。
あの芸術点の高いバックホームのこと、ずっとずっと生々しく覚えていたいんやって。
ここ何年か
季節は早まり
人間の思惑を
裏切り続ける
日本一の藤だとか
富士山の麓の芝桜
桜めぐりバスツアー
日程の決まっている
格安花畑ツアーは
添乗員さん泣かせ
ことごとく空振りだ
そんな中 ネモフィラだけが
一面の青を見せてくれる
小雨に降られ
傘を差しながらではあったが
まあ 良しとしよう
長男の一歳のお誕生日に、南房総に出掛けた。
畑一面にポピーが咲き誇り、金魚草や他の花々と美しいコントラストを作っていた。
穏やかな春の小さな旅。
泊まったペンションの部屋で、二つ並んだベッドの間を、一歩一歩、嬉しそうに歩いて、私達の胸に飛び込んできた息子。
歩いた、歩いた!!と大喜びの私達夫婦。
それまで一、二歩歩いては転んでいたのが嘘のように、次の足が前に出てくる。
そのことが楽しくてたまらないような満面の笑みで、歩き続けた彼。
25年経った今でも、そんな光景を鮮やかに蘇らせてくれたお花畑。
心に刻まれた幸せな記憶は何年経っても色褪せることがない。
花畑と聞いて真っ先に思い浮かべたのは、祖母の家の庭先にあった色彩豊かな花壇であった。
やんちゃしてたちんちくりんのガキの時代に、毎年のように訪れていた祖母の家がおれは大好きだった。
花のことはなーんにも知らないはなったれのおれだったけれども(なんなら今も全然知らんしはなったれてもいるかもしれない…)、隅々まで手の行き届いた、品性を感じさせるような花壇であったことはなんとなくだが憶えている。
当時のおれたちは色とりどりに並べられた花たちと背比べをしたり、花びらに顔を寄せてはその数を一枚ずつ数えたり、蜜の匂いに誘われてやってきた虫たちと戯れきゃっきゃと無邪気に声をあげては大人たちを心配させたりと、そんなことをしながら退屈とは程遠い日々を毎年のように過ごしていた。
庭先の一画に作られた六畳一間程度の、花畑と呼ぶにはなんともスケールの小さいものではあったけれども、花畑という2文字の言葉を目にすると、時折在りし日の無垢なる記憶が、ひらひらと胸の内に舞い戻ってくるように感ぜられる……
……こうして度々、頭の中の端々に極彩色の花を咲かせながら、浸るや溺れるノスタルジィ。おれは懲りずに、酒を飲む。今日も今日とて、浴びるように、酒を飲む。
「花畑」
花畑に行くと私は昔を思い出す
シロツメクサの花をひとつひとつ丁寧に紡いでいく
完成した冠を隣で笑う君に渡す
「末永くよろしく」
そんな想いを込めて
長年連れ添ってきた君は今、私の手を握っていた
目には涙を浮かべ必死に語りかけてくる
私は君の頭に手を伸ばし、幻の冠を乗せた
「今までありがとう」
そう最後にささやいた
花畑
君の庭に、ちょっとした畑が作れるとしたら
君は何を植えるかな?
ミニトマト、きゅうり、枝豆
一般家庭でも育てやすいっていうよね
何より食費の節約になる
僕は、花がいいかな
パンジー、チューリップ、薔薇
赤、白、黄色
一面のお花畑にして
君と一緒に綺麗だねって言いたいんだ
無垢なワンピースが似合う君と、
カメラ越しに恋をした。
目当てだった花畑は、刹那脇役と化してしまった
【花畑】
最近ずっと悩んでばかり。
君と結婚出来てホント嬉しかった。はず
でも今は君の言動に涙が零れ落ちる
私は小さい頃からずっと自分の子供が欲しかった
けど君は私に何で?何のために?何で欲しいの?とかで尋問。
私が君離婚しようと言ったら、『好きだからやだ』の一言
ずるいよね。
君は私の持病の薬の時もそう。
何で?どうして?
自分が正しいみたいに
正直別居婚、離婚、色々考える
婚姻関係が正しい訳ではないから
お互いのために。
私は私が何を考えてるのか分からない。
よく
翼が生えても飛べなかったら要らないよな
とか、
水の中でも呼吸できる両生人間になったら
泳ぎを極めてポイント・ネモまで行ってみたいな
とか、
どうでもいいし、
不可能な事ばかり考えていて
意味がわからない。
今自分は何したいんだろう。
どうしたいんだろう。
あの子とは仲がいいけど、
もしかしたら私は
あの子が嫌いなのかもしれない。
この子は自分の都合のいいように
言いくるめるのが上手いけど、
それを私が正面から率直に言ったら
どう感じるんだろう。
優柔不断な私は迷ってばっかりだな。
こんな感じで色んなことが頭に浮かんで
どれがどれか分からなくなるのだ。
最近はシャワーを浴びてる時に、
お風呂で本を読んでみたいなと思った。
自分の気になった本を買って
お風呂の湯船に全ページを浸して
ページを読むごとに千切っていくのだ。
1度しか読めない本だからこそ面白い。
それにお湯で艶やかに光っている本も
見てみたい。
思えば思うほど楽しくなってきて、
即決だった。
青い表紙の面白そうな漫画を買った。
サラッとした紙質で
少しひんやりしたその漫画は
お湯でツヤツヤにひかり、
次第にふやけていった。
読むごとに手の中でぐちゃぐちゃになり、
もう見れないページが増えていった。
アネモネの花畑が出てくるシーンや
主人公が船から落ちた時に
すごく大きなクジラを見たシーンなどは
千切るのが惜しかった。
でも、もちろん千切った。
いよいよ最後のページをめくる。
そこにはある一言が書いてあった。
"Good Midnight!"
何故だろう。
とても心惹かれ、
このページだけはどうしても千切れなかった。
惜しいとか
そんなもんじゃない。
もっと大きな何かがあった。
運命って多分こんな感じだと思う。
嬉しくもあり、同時に悲しくもあった。
漫画を裏返した私の目に映ったのは
「この物語はフィクションです。」
香るネモフィラ。
純粋で可憐で、爽やかな優しさを持つ君にはぴったりな花だ。
「僕は君にこの景色をプレゼントしたかった。」
少しばかり、格好をつけてみた。君はクスリと笑ってくれるだろうか。
ふと、思い出にふけてみる。
僕たちは出会ってから二人でたくさんの苦楽を共にした。
小学校ではよくみんなでドッジボールしていた。あの頃は全て楽しかった思い出がある。
中学に上がってから、君とは疎遠になった、すれ違っても挨拶を交わさないくらいに。
高校入学の日、君が同じ学校だと知った時は、微かながら嬉しさを感じた。
同じクラスになり、また僕たちはドッジボールをしそうになるくらい仲良くなった。
卒業が迫るころ、僕たちは夜の観覧車でいかにもロマンチックなキスをするような仲になった。
だから僕は、あのことを知ったとき、なんて言えばいいのか分からない、ぐちゃぐちゃな感情になった。
君があの殺風景な診察室で、"余命一年"と宣告されてから、一日一個君と目標を達成するという日課ができた。ひとつずつ、思い出が増えてゆく一年になった。
病室で二人でジグゾーパズルをして、完成したときは思わず声を出してしまったり、窓から見える星空を二人だけで眺めたり。ほんの少しだけ遠出をして、二人の思い出の場所へ出かけてみたり。
残り三ヶ月となったころぐらいかな。君は本当にまだまだ生き生きしていて僕のそばを離れてしまうなんて想像も出来なくて、僕がまだ漠然としていたころのことだ。
「私、最近少しずつ身体がボロボロになっていくのが分かってきて、まだ大丈夫って分かっていても、身体が私に、君はもう死ぬ運命なんだよ。って伝えてるみたいで、いつも強がってたけど本当は死ぬのが怖い。病気に私の身体が蝕まれていくのが怖い。……助けて欲しいなんて言っても君には出来ないことは分かってる。でも、今はそばにいて欲しくて。」
君は僕に弱音を吐いてくれた。
君らしくなくて当時は驚いたが、今考えれば当たり前のことだと当然のようにわかる。
身の回りの人が病気で死ぬことに慣れていなかったため、そのときは、どう声を掛けていいのか分からずただそばに居ただけだった。
あれからはできる限りずっと君のそばに居た。君には絶対に寂しい思いをさせてはいけないとなんとなく思った。
君と過ごした時間が増える一方、君と過ごせる時間が減っていく。そんな当たり前のことに僕は辛さを感じた。
あれから二週間後かな。君は安らかに眠った。
まだ時間は残されていると思っていた。現実は、そう甘くなかった。
その日は、二人でネモフィラの花畑に訪れる予定だった。
「この景色を君にプレゼントするよ。」
と言って、君の左手の薬指に結婚指輪を嵌める予定だった。
ずっと前から決めていた。君にプロポーズするならここがいいと。
八月十三日。その場所に、今僕は居る。
君に渡すはずだった指輪を持って。
また、来年も同じ日に僕は来るだろう。
同じように思い出にふけって、今度こそは、プロポーズさせて欲しい。
石塚 音羽が書きました。
テーマは、『花畑』です。
満開の花々を踏み折って、
花畑の中心地にて、
我が身を鉛で貫いてしまえ。
この身に残るは、無限の残滓。
打ち砕かれた二番煎じの黄色を
最後の視界に映して。
チューリップが咲くと、心が弾む。
ぽってりとした花びらと葉が1本でも愛らしい。
花畑に色とりどりなのも、優しい重みに、色がはっきりして、空に絵の具を出して浮かべたみたい。
そよ風が吹いてゆらゆらすると、流れる音符のようで、春の声に耳を澄ませたくなる。
つややかで瑞々しいあの質量が、私の心を軽くする。
黄色い絨毯。
金木犀の香り。
目の前になくても、金木犀の線香の香りで楽しむ。
【花畑】
花冠を被り
皆で手を繋げて
輪になる
はなのわ
ひとのわ
はたけのわ
輪はやがて離れ
輪っかはなくなる
冠になった花の隙間は
また次の季節には咲く
花畑は大層美しいものである。
花が沢山あり見るも壮大で中々心湧き上がるものです。
ところで貴方は花言葉をご存知ですか?
色々意味が含まれ、希望や愛から嫉妬と悲哀まで。
しかしもしあなたの髪の毛が神の毛になったらどうなってしまうのでしょう。
花畑
コスモスの花を見る度おばあちゃんちの花畑を思い出す。
花畑...と言うには少し規模が小さいけど、
それでも1輪1輪綺麗に咲いていた。
特に肥料や水の量を考えて与えていたわけでもなく、
ほとんど自然に綺麗に咲いたらしい。
風で揺れる花びら、ふわっと香る優しい匂い。
花に興味の無い私でもこの花は大好きだ。
そんな話をおばあちゃんにすると、
なんとコスモスの押し花で作った栞をくれた。
おばあちゃんの綺麗な花で作られた栞。
それまで読書をしなかった私が本を読み始めた時の
お母さんの驚いた顔は今でも笑ってしまうくらい覚えてる。
それくらい花畑といえばおばあちゃんちのコスモスが
結びついている。
またおばあちゃんに会いに行こう。
一緒に花畑を眺めながらお喋りしたいな...
語り部シルヴァ
花畑の中、微笑む花々
風に吹かれ、たなびく
その美しさの奥に隠された
哀しみの念、死体の香り
赤いチューリップは血のように
白いユリは骨のように咲き、
その根の下には暗き秘密
花畑の中で、永遠に静寂
夜になり、月明かりが
花たちを照らし、
「気づかれてはならぬ」
「気づかれてはならぬ」とささやく
花畑、美しさと死
その両方を兼ねそなえる、
なくなったものは帰ってこない
花に囲まれし、哀しみを感じよ
私のまわりは、素敵な花で囲まれている。
それをおおっているのは空よりも広い、くすんだ世界。
私はその世界を知らずに生きていた。
花畑 𓈒𓏸𓐍 𓇢
花柄が好き。
蝶のモチーフが好き。
いつしか
そんなものばかり
身につけるようになったけれど。
虫が苦手だから
本物の花や蝶とは
仲良くなれないの。
そうよ。
私が好きなのは
遠くから眺める花畑。
遠くにあるから、より綺麗に見えるのね。
「花畑」