るに

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私は私が何を考えてるのか分からない。
よく
翼が生えても飛べなかったら要らないよな
とか、
水の中でも呼吸できる両生人間になったら
泳ぎを極めてポイント・ネモまで行ってみたいな
とか、
どうでもいいし、
不可能な事ばかり考えていて
意味がわからない。
今自分は何したいんだろう。
どうしたいんだろう。
あの子とは仲がいいけど、
もしかしたら私は
あの子が嫌いなのかもしれない。
この子は自分の都合のいいように
言いくるめるのが上手いけど、
それを私が正面から率直に言ったら
どう感じるんだろう。
優柔不断な私は迷ってばっかりだな。
こんな感じで色んなことが頭に浮かんで
どれがどれか分からなくなるのだ。
最近はシャワーを浴びてる時に、
お風呂で本を読んでみたいなと思った。
自分の気になった本を買って
お風呂の湯船に全ページを浸して
ページを読むごとに千切っていくのだ。
1度しか読めない本だからこそ面白い。
それにお湯で艶やかに光っている本も
見てみたい。
思えば思うほど楽しくなってきて、
即決だった。
青い表紙の面白そうな漫画を買った。
サラッとした紙質で
少しひんやりしたその漫画は
お湯でツヤツヤにひかり、
次第にふやけていった。
読むごとに手の中でぐちゃぐちゃになり、
もう見れないページが増えていった。
アネモネの花畑が出てくるシーンや
主人公が船から落ちた時に
すごく大きなクジラを見たシーンなどは
千切るのが惜しかった。
でも、もちろん千切った。
いよいよ最後のページをめくる。
そこにはある一言が書いてあった。
"Good Midnight!"
何故だろう。
とても心惹かれ、
このページだけはどうしても千切れなかった。
惜しいとか
そんなもんじゃない。
もっと大きな何かがあった。
運命って多分こんな感じだと思う。
嬉しくもあり、同時に悲しくもあった。
漫画を裏返した私の目に映ったのは

「この物語はフィクションです。」

9/17/2024, 3:33:39 PM