『花畑』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
「記憶の修復」
ずっと昔、一度だけ見た風景が忘れられない。
だけど、肝心の場所を覚えていない。
連れて行ってくれた両親は早くに亡くなってしまったから、記憶だけが頼り。
どうにか社会人になり、旅行ができるくらいの余裕ができたので、その思い出の場所を探し始めた。
あっさりと見つかったのは、記憶していた風景が鮮明だったのと、名所として有名な場所だったからだろう。
東京から新幹線で向かい、臨時便のバスに乗る。
長閑な風景に、記憶の糸が解れていく。
バスから降りて、人の流れについていくように歩いていると、丘の上に屋台が並んでいるのが見えた。
駆け上がりたい気持ちを抑えて、ゆっくりと丘を登る。
木々の向こうに、あの風景があるはずだ。
川に向かう傾斜に咲く黄色い可憐な春の花。
雪をほんの少し残した山。
春の空は少し霞んでいる。
やっと、やっと来ることができた。
数少ない、両親との記憶。
近くにいる、あの頃の自分と両親のような親子を見つめる。
そして、自分の記憶に近づけていく。
もう顔も声も朧げで、だけど忘れてしまったら、二度と取り戻せない。
また来年も、その次の年も、ここに来よう。
両親の記憶を修復するために。
────花畑
「花畑」
ある人が、馬鹿みたいなこと言っていた。
「お前は、お花畑が咲いとるん?」
私は、コイツに馬鹿にされた、無償に腹が立つ。
だから、嫌い。言い方、考えろ。
私の好きな小説の表紙は花畑。
私は表紙で本を選ぶことが多いから惹かれて買った。
とてもかわいらしいピンクのお花や美しい白いお花で埋め尽くされたその表紙はまさに好みそのもの。
でも裏表紙は真っ暗で真ん中にぽつんと赤い花が1輪。
どっちが本当の姿なんだろう。
私は表面だけに惹かれるような人間で良いのだろうか。
花畑をつくることが私の1つの将来の夢だ。
植えたい花は、前向きな花言葉を持つ花を植えたい。
また、カラフルな花畑にしたい。緑と赤と白は絶対に植えたい。そう言えば、緑の花ってあるのだろうか?あまり見たことがない。今度、調べてみよう。
花、それは季節によって姿を変えるだからこそ美しい。
幻想的な青い花畑がある。
誰一人踏み込んだことがない、不可侵の領域だ。
青い花はそこでひっそりと生きていた。
荒らされることのない環境は、青い花にとって大切な場所であった。
ある時。
一人の旅人が、青い花の下へやって来た。
青い花は警戒した。
不可侵の領域に入り込んでくる人間がいるとは思わなかったからだ。
それに、旅人がやって来た理由も分からない。
警戒する花に対し、旅人は話しかけてきた。
人と話をしたことがなかった青い花は、素直に嬉しいと思ってしまった。
旅人は穏やかで優しい性格をしている。
怖い人ではない。
青い花は警戒を解くと、旅人との会話を楽しむようになっていった。
旅人の言葉は優しく、話す内容も青い花にとって新鮮で興味深いものばかり。
青い花はお礼に、旅人へマナを渡した。
旅人の思い出の品にでもなればと思い渡したのだが、旅人は帰らなかった。
旅人には行くべき、待つべき人がいるのを青い花は知っていた。
いつまでもこの花畑に留まらせてはいけない。
そう思った青い花は、旅人を元の道に戻すため旅人が嫌がる香りを放つことにした。
嫌な思いをすれば、旅人は立ち去り、ここにはもう来なくなる。
青い花はそのことを寂しいと思う己を叱咤しながら、嫌な香りを放ち続けた。
おかえりなさい。
大切な人の元へ。
おかえりなさい。
あなたの行くべき道へ。
そう青い花は願っていたのだが──。
嫌な香りに顔を歪めながらも旅人は尚も、真摯な言葉と優しい心で青い花に接してきた。
その姿を見て、青い花は優しい人をただ悪戯に傷つけた──己の愚かさと浅はかさを思い知ったのだった。
旅人が満足して立ち去るまで、真摯に受け入れよう。
青い花は嫌な香りを出すことを止め、旅人と向き合うことにした。
傷つけてしまった分、あげられるものはあげよう。
もし、いらないと言われたら──今度はひっそりと姿を消そう。
──ズルい青い花は、ずっと知っていた。
青い花畑を消す方法を。
旅人のことを思うならば、本当はそれが一番早いことも──。
旅人は知らないだろう。
旅人との会話でどれほど青い花が癒され、深い情を抱いたかを。
旅人がただ居てくれるだけで嬉しいと思う青い花の心を。
旅人が愛してくれた青い花畑を消すことができないことも──。
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花畑
あぁ。なんて素敵なの。
色とりどりに輝くこの空間は。
どこを見ても綺麗なお花ばかり。
地位と名誉を求めるうるさい人間もいないわ。
太陽が私を照らしてくれているのね。
それで、ここから戻る道はどこにあるのかしら?
メイド?あれ、?どこにいるのよ。
いつものメイドがいない、なぜ?
確かに周りを見渡せばほんとに誰もいない
私だけだわ。
お花と言えば皆は、何が思い浮かぶ?
私は「ひまわり」そう言った
どうして?
ひまわりって綺麗だよね!ひまわりって役立つと思うの!でもひまわりに似ているお花がいっぱい有るよね、私は、それが悲しい、
「私は、それが悲しい、」何故彼女は、そういった言葉を口にしたのか、。
それっからひまわりの花で一面に広がった花畑。
お題 「花畑」
親友といつか見に行こうと約束した
白い百合の花畑
足を向けたのは結局
私だけだったけど
あまり、花畑に関心がないから、
そもそも積極的に行かない。
あなたが僕を誘うなら、一番いろんな色の花咲く
場所を、
必ず見つけて、連れて行く。
きれいと発する言葉より、
あなたと見る景色を
僕は大切にする。何年か経って
やっぱりあなたと、いろんな色の花畑に
また、一緒に行く。鮮やかな花に囲まれて
あなたと一緒がいい。
小説「花畑」
夢を見た、自分と大切な人が花畑を歩いて笑っている夢
なんて心地のいい朝なんだろう。目を開けると窓から日差しが差し込んで、リンゴを向いている君に当たっている。そんな景色がとても綺麗で、眩しくて、静かに目を閉じた。
「あなた、そろそろ起きないと」
体を触れば妙に冷たい体温が伝わって、直後に無機質な機械音が部屋に響いた。
作品No.170【2024/09/17 テーマ:花畑】
花畑——を、見た記憶があまりない。
強いていうなら、小学校の職員用駐車場沿いに、タンポポやらシロツメクサやらが群れ咲いていたけれど、あれは〝花畑〟とは呼べないだろう。あとは、花壇、家の庭、鉢植え——どれも、およそ〝花畑〟とは呼べない。
一面のナノハナとか、一面のヒマワリとか、一面のコスモスとか、一面のネモフィラとか——憧れの風景だ。
もっとも、一年のほとんどが夏といっても過言ではないこの島では、そういった風景を見ること自体難しいことだろうけれど。
田中義剛の花畑牧場と言えば、生キャラメルが有名。
他にも、花畑牧場ブランド商品は色々あって、どれも美味しいけれど、
1番美味しいのは、牛乳なのを知っている、元北海道民の私。
お題 花畑
「花畑」
あの花畑に居た君は透き通るほど輝いて見えた
あれからもう3年もたった、あの気持ちを思い出したくて、もう一度あの場所へ行ったそこには君がいた。私はそっと涙を流した、その時気づいた
あの頃だから輝いて見えたのだと。
花畑が十分に湧いたので太陽照明は消しました
風除室のドアが開くと草花の息吹が溢れてきました
部屋の中央の小さな丘で大の字になるのが好きです
でも一歩ごとに踏んで進むのは心苦しいです
横になると土の柔らかさや花のゴワゴワさ
薄暗くても鮮やかさが伝わってくる匂い
自然と目を閉じて呼吸が深くなります
30分後にはスマートウォッチにママからのコール
でも浸る この時ばかりは無防備にも脱力します
きっと眠りに落ちるとはこんな心地なのでしょう
【花畑】
辺り一面に色とりどりに咲く花たち
私はこれを美しいと思えない
いや、正確に云えば、花は美しいと思う
一般的には、一面に広がる花畑を見ると美しさに感動するだろう
しかし私は
ああ、花が群生しているな
としか思えないのだ
感動がわかないのだ
ただそこに在る
それだけ
こんな自分は、何か欠けてるのではないかと
花畑を見るたびに思い出す
咲く花の彩りは尽きずして、しかも元の色にあらず
花畑に咲く花々は、かつ枯れかつ芽吹きて、
久しくとどまりたるためしなし
かの有名な芳丈記の冒頭である。
花の色はひとつとして同じものはなく、
また時とともに移ろうものである。
花畑に咲く花は、それぞれに枯れては芽吹き、
同じ状態でとどまることはない。
自然の美しさや生命の移り変わり、
そしてそれが永遠ではないという
「無常」の感覚が表現されている。
というのが、よくある解説だが、
本当は何を伝えたかったのか。
私などに言わせれば、こうである。
一瞬の花となれ
精一杯の彩りで、見る人の心にうるおいを
惜しみない芳香で、香る人の心にやすらぎを
風に散らした花弁で、去る人の心におもいでを
与え尽くして枯れていく
一瞬の花となれ
〜花畑〜#3
花畑ほどの数の真実が虹の下に群生していたとしても、花の色は決まっているという。
あか、あお、きいろ、むらさき、藍色。
仮に虹の道を進むことができるなら、半透明色たる虹の下から花畑を見下ろすことができる。
なんてきれいなんだろう。
そんなことを思う人が、人の世の0.0003%ほどの人間がいたとして、花畑たちはゆらゆら揺れていることだろう。
穏やかな風に吹かれ、自由に花粉を飛ばし、生物の侵略もない。あるのは移り変わる季節のみ。
一年草、二年草、多年草。いつしか木も生えるだろうが、それでも花畑から逸脱するかといえば、そんなことはないのだと思う。
僕は虹の道より、地上を選びたい。
花畑をかき分けて、気に入った花束を作るようにしてみたい。
そういえば、そんなことは花屋でもできる。
けど、花屋ではできないことを、花畑では感じることができる。きっと花の香りに包まれているようなのだ。
それは、今の人たちには幸福に感じられるかもしれない。
……幸福ってなんだろう。
3ヶ月に1回づつくらい、あなたとフラワーパークに行ってみたい。四季で変わるお花を見ながら前はこんなの咲いてたのにね、なんて話をしてみたい。
/花畑
君の声が聞こえた気がしたから
振り返るのは辞めておいた。
振り返って君がいなかったら
僕はきっと深く傷付き、泣いてしまうだろうから。
ミモザの香りが鼻をくすぐる。
君の声が
聞こえた気がしたんだよ。