『花畑』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
【花畑】
「あ!先輩だ!」
「先輩ー♪」
「愛斗先輩ー!」
オレは学生の頃
『ハーレム』を作っていた。
「やあ 後輩ちゃん達」
後輩だけではなく
同級生にもハーレムはいた。
ホームルーム前、休み時間、放課後
図書室にて集まり話していた。
「先輩…あのね」
「よしよし 大丈夫だよ
君が良い子なのはオレがよく知っているよ」
『優しい子』は『よく気を使う子』だと
オレはわかってる…『苦労している子』だと…。
だからオレは優しく問いかけてそしておとした。
優しい言葉と頭をなでれば
女はだいたいおちる。
そうすれば「この人はわかってくれてる」と
オレに好意をいだいた。
オレは紳士的に女の子と向き合ってきた。
もちろん相手とは真面目に向き合って話す。
そうすれば更に女の子はオレを信頼し、
心を開いてくれた。
もちろんわがままな子や
ヒステリックなやっかいな子もいたが、
それはそれで悪い気はしなかった。
いつも「女の子に「好き」と言わせたら勝ち」と思っていた。
また、「オレに良くしてくれる子は
『オレに惚れてる子』」とおもっていた。
ほとんどの子は
素直で可愛い女の子でオレの周りにはたくさんいた 。
「愛斗 一緒に帰ろう?」
「先輩 私と帰りましょう?」
「可愛い子ばかりで悩んじゃうな…
なんならみんなと帰ろうか!」
そしてハーレム達は何故か喧嘩したり取り合いもせず
仲が良かった。
たまに人気のない場所に女の子を連れこみ
特別感を出して、
「君には特別だよ …他の人には内緒だよ…?」と
イケナイコトもたまにしたこともあった。
オレはいわゆる『ハニー達』に恵まれていた。
今でもオレは『女好き』、
または『女たらし』が治っていない。
だが決してオレは悪くない。
オレがただ優しいだけだ。
そして期待の『お楽しみ』は
にのつぎだ。
「ねぇ、ママ赤ちゃんどこ行っちゃったの?」
ママは天井を向いて答えた
「お空にねぇ、赤ちゃん帰っちゃったのよ」
まだ幼い私には当然分かるはずがなかった。
「赤ちゃんは今、お空のどこにいるの?」
母から一粒の涙がほほをつたっていく
「ちぃちゃんはね、とっても綺麗なお花畑にいるのよ、、、」
「ねぇ光介、あなたももういっちゃうの?」
私は不規則な心電図を眺めながら静かに語った
お花畑って言ったら、美しく色鮮やかに咲かせる花を想像することでしょう
きっと、そう、彼だって
私は愛人の頬をそっと撫でた
生暖かい彼の感触が私の涙をこみ上がらせる
「生きてると思うんだけどなぁ、、、」
「ねぇ、お互いいつ死ぬかわから無いんだよ?」
「またそんなこと言う」
「本当の事だよ,だから僕は君との時間を大切にしたいんだ」
思っても見なかった、彼がこんな目に遭うなんて、、、
「もし、あの場所でちぃちゃんにあったら、ちゃんと、ちゃんと、守ってね、そしていつか、私と出会ったら、あなたの胸元でたくさん泣かせてください、、、」
私はまだ生暖かい彼の手を強く握った。
その瞬間一定だった心電図がピョコンと上がった、まるでそれは返事をしているかのように
私は涙を強く拭き取った
お花畑は残酷なほど美しい、人や虫を魅了させる
だけど花は枯れてしまう、今までの美しさとは反比例するかのように
「バイバイ、光介」
そこにたどり着いた人間は時を忘れて無我夢中になるだろう。
美しいものこそ弱いのだ
花だって、踏んだり、焼いたりさえすれば跡形もなく消える、蝶だってすりつぶせば粉々になる
美しい容姿や心の持ち主は、みんなからいじめられる。最初から綺麗事なんて通用しない
残酷を知って初めて美しく輝き始める。
私だってそう、現実を知った
今の残酷さだって、、、苦しんでも、叫んでも、あがきもがいても、どんなに人や神を憎み、恨んだって、もう彼は帰って来ないってことも
現実と残酷さがそう、教えてくれた
もうこれでいいんだと誰かが叫んでいる
苦しい、辛い、死にたい、呼吸ができないの、彼を、彼を、私のもとに返えして!!
今だってそう、彼が私の中で「生きてるって」訴えかけているの!!
彼女はモニターが鳴り響く部屋の中で、ヒステリックに叫んだ
「彼はまだ生きているの!!」
死神が嘲笑うように言った
「バカな人間もこの世にいたもんだな」
その死神は、女を見たあと自虐的な笑いをし、悲しそうに去っていった。
『退院したら、一緒にお花畑に行こうねっ!』
そう無邪気に笑った君は、今頃何をしているのかな。
お花畑はあったのかな、
どんな花が咲いているのかな。
ああ。やっぱり、一緒にいきたかった。
でもぼくは、いけないから。いく勇気もないから。
きみに、フタリシズカをとどけます。
花畑と聞くと
真っ先に頭に浮かぶのは
どう考えてもアチラの世界
アチラと言ったらアチラ
最近ではリアルな花畑なんて
とんと見ることがない
ある意味尊い場所なのかも知れません
そんな場所であって欲しいと
私自身の希望なのかも知れません
花畑
生まれた時からずっと荒野を歩くのと
花畑で育てられてきたのに
いきなり荒野に放り出されるの
どちらが不幸せなんでしょうね。
『花と蜜』
お花畑に寝転がって 午睡して そのまま天国でもいいような気分になって 秒で馬鹿らしくなって 照れ隠しに蜜吸って ハナムグリに怒られて 正午になって お昼はうどん 人間らしく汁啜る
「違う。これじゃない」
「間違えないように、潰さないと」
グシャ…グシャ…っと
花を何度も踏みつける。
「どこに咲いてるの。私の花」
広大な花畑を見渡しながら
違う花をいくつも踏みつける。
「…あ」
その花の周りには
綺麗に咲いた花なんて無かった。
「……あれ」
周りの変化に耐えきれなくなったのか
はたまた自分で潰してしまったのか
探していた、たった一輪の花は
色褪せ、枯れていた。
ー花畑ー
もし、花畑が地球だったら。
花が人間で
探していたのが運命の相手だったら。
踏みつける事が、暴言を言う事だったら。
……なんてね。
─花畑─
不思議な夢を見た。
気付けば僕は花畑に立っていて。
頭に違和感を覚えて触ると、
花で出来た冠がのっていた。
手先が器用では無いので、
僕が作ったわけではない。
誰が作ったのか考えていると、
遠くから声が聞こえた。
『あっ!やっと起きた~、ずっと寝てたよ?』
───誰だ?分からない。
分からない。知らない。怖い、筈なのに。
何故だろう。涙が出るのは。
『えぇ!?どしたの!?』
「わから、ないっ。知らない、筈なのに、何で、。」
何で、こんなに悲しくて、苦しいのだろう。
忘れてはいけない、大切な記憶のような気がする。
昔一緒に遊んで、幸せだった記憶。
思い出そうとしたが、酷い頭痛に襲われた。
嗚呼、何で。こんな大切な時に。
また夢で会えるかな。大切な、君に。
題名【数年前の事故】
放課後、友達と帰っていた。
階段を降りている時、走っている人が上から来た。
ぶつかると思った時には既に遅くて其の儘階段から落ちた。
何時間寝ていたのだろうか。
目を覚ました。
けれど、起きた時には私の知っている場所ではなく、知らない花畑にいた。
前後左右を見ても、花、花、花。
建物などは一切なく、唯花が咲いているだけだった。
一つ頭に思い浮かんだのは死だった。
死んだんだ。
そう思った。
けれど、悲しくも、苦しくも、悔しくもなかった。
たった一つ....嬉しいという言葉のみだった。
死は私がずっと望んでいたものだったからだ。
# 126
【花畑】
よく私の頭の中はお花畑と言われる
だけど私の素をしっているひとは皆口を揃えて
蟻地獄
という
私はただ裏と表を使い分けているだけなのに
今日も今日とて可愛いお花に誘われた
愚かな蟻が地獄に足を踏み込んでいる
花畑
私はずっとそこで花を育てている
血のように赤いレッダブリル
初夏の空のようなビルノット
君の髪のような金色のアゴルテルカ
君の瞳のセグリンタノ
、、、
百を超えるであろう花の名が私の舌の上で羅列する
もう28年
ずっと花を植え 水をやり 育てている
春夏秋冬いつでもどれかひとつは咲いている
それは私にとっての楽園であり希望だった
私はずっとそこで花を育てている
みな、笑った
私を見て
私が狂ったように必死に花を育てる様を見て
笑った
それでも良かった
君よ、帰ってきてくれ
私は旅に出た
33年前 君と共に
私は君と共にならなんだってやれた
敵兵を殺すことも
敵を殲滅させることも 命をかけることが出来た
君も同じことを言った
そして笑いあった
29年前 君は死んだ
殺された
敵兵に殺された
新兵器の爆撃はあまりにも大きかった
君の肉も骨も拾うことはできなかった
私はあまりにも容易に君の死を受け入れてしまえた
それから
私はずっとそこで花を育てている
この花を
この花たちを君の肉だと
君の骨だと 髪だと 瞳だと 足だと 手だと 口だと 鼻だと
そう思って
そう思わなきゃ生きてはゆけないひとたちが
私の他にもたくさんいるだろうから
私はずっとここで花を育てている
今までも今もこれからも
戦いはこの世界のどこかでかならず行われているだろうから
私はここで戦うのだ
この花を必要とする人々のために
私はずっとここで花を育てている。
花畑
少しショック表現あり
ハッと気がつくと、俺はどこまでも続く花畑で寝転がっていた。
上半身を起こし、周りを見てもただ花畑が広がっているのみで、誰かがいる様子も無い。
取り敢えずタバコでも吸おうかとポッケを手探りで探すが、見あたらない。
そもそもポッケがないようだ。
不審に思って自身の格好を見ると、どうやらどこかの入院着を着ているようだった。
これまでの記憶を思い起こしてみるけれど入院をした記憶おろか、全ての記憶が思い出せないままだった。
宛もなくさ迷っていたが、どうやらここは夢の世界らしい、どこまでも花畑が続くのみ。
自信になにか変化がないか見回してみるけれど、なにも……あれ。
首元がとても痛い。何かに切られたような痛み。
思わず手を当てると、ぬらりとした感触が手に伝わる。
反射的に手のひらを覗けば、真っ赤に色がついた血液。
「っひ、」
これは自分のものなのだろうか。
すごく怖くなり、呼吸も怪しくなってしまった。
苦しい、首からはとめどなく血液が溢れ続ける。首元もナイフで切られたような痛みが続く。
跪いて口元を覆うけれど、何も変わりやしない。
視界が霞んできた。
足元に咲乱れる白いアネモネに、俺の血液が溢れ続け、赤く染っていく。
あぁ、思い出した。
俺は恋人に殺されたんだ。
アネモネの花言葉には、「見捨てられた」「恋の苦しみ」「見放された」などがある。
普段からのクズな生活から嫌気が差した恋人が、カッとなって、そう、首元、を。
もう力も出ない。前に倒れ込み、全身の力を抜く。
目の前には、沢山のアネモネと、1本の黒百合。
後悔しても、遅かったんだ。
黒百合の花言葉「復讐」「呪い」
#花畑
きれいなきれいな色の花
たくさんたくさん咲いていて
みんなの視線を奪っていく
きれいなきれいな姿の花
一人一人が輝いて
見ている人を魅了する
わたしがわたしが好きな花
見ているだけで幸せで
わたしの心が満たされる
わたしはわたしはどんな花
なにもできずにここにいて
輝いてる花畑の空想に浸る
あなたに会えなくなって何日経つのでしょう。
そんなに経っていないような、すごく経っている
ような。
人を想うと体内時計がおかしくなるようです。
私にとってお花畑はあなたです。
いつだってキラキラしていてパワーを
くれる。
会える時は私も負けないぐらいキラキラ
してたいなって思わせてくれる。
また会える日を楽しみに今日もいつもと
変わらない時間を紡ぐ。
♯4 花畑
私の地元ではひまわりの花畑が有名だった。
小さい頃は母が運転する車の助手席からひまわりの花畑をぼーっと眺めていたのを覚えている。
でも小さい頃の私はひまわりがあまり好きではなかった。
見た目がちょっと怖いって言うか…、大きいし、枯れてしまうとうなだれててキレイじゃない。
それから気づけば私も母になっていた。
息子が産まれた日の誕生花はひまわり。
好きではなかったひまわりだけど、今は怖いという感情もなくなった。
息子にはひまわりの様に大きく、強く育って欲しいと思っている。
そしてひまわり畑の様に、色鮮やかな素敵な人生を送って欲しい。
花畑
一面に広がる鮮やかな色の花畑
その脇で咲く名も知らない野花
そんな野花を可愛いと見つける
あなたが、可愛くてしかたない
#88【花畑】
ネモフィラの青が好きだ。
去年は近くのパークへ
ネモフィラの丘を観に行った。
ぶわっと広がる青。
青、青、青…!
青を持つ花は他にもあるが
何故か惹かれるネモフィラの青。
花言葉に隠された
それのせいなのかしら。
【花畑】
よく「脳内お花畑だね」と言う人がいる。
要するに、何だか幸せそうに見えたり、平和染みた考えや価値観のことを皮肉めいて表現する言葉のよう。
ただ、私はそんな"脳内お花畑な人"に助けられたことがある。
私は、大学受験に失敗し、浪人を経て現在社会人になる。受験失敗をした年は、本当に地獄のような1年間だった。親には「生きてる価値ないね」と、お金をかけてきたことを悔やむような言葉をかけられ、自宅で浪人をしていたから、周りに同じような受験仲間がいるわけでもなく、ただただ孤立した小さな小さな世界で、ひたすら勉強をしていた記憶がある。そんな時に、ある日ふと「ここから消えたいな」という気持ちになった。勉強から逃れたい、楽になりたい、(親から)許されたいーーー、色々な葛藤があったんだと思う。私は何を迷ったか、中学時代の親友に連絡したのだ。
「私、生きてる価値ないから、死のうと思う」
「何で?価値ないって決めるには、早すぎない?」
「親に言われたし、私は何よりもう勉強したくない」
「勿体無いよ!きっと、上手くいくよ!多分!」
こんな感じのことを言われた。きっと上手くいく?…何て無責任な言葉なんだろうと、その当時の私はすごく腹立たしく思った。自分は行きたい進路先で充実していて、私のことなんてどうでも良いんだろうとさえ思っていた。同時に悔しく、たしかに勿体なく感じる自分がいた。結果的に、勉強を諦めることはせず、頑張り続けた結果、大学に進学することが出来た。
そして、大学卒業間近に、遠く離れたところに住む親友に会いに行った時、その当時の話をした。どうしてあんな事を言ったの?と聞いたら、「思い詰めている人は、本当は止めてほしくて連絡してくる。私だって、思い止まって欲しいと思った。だから、敢えて気持ちが軽くなるような言葉を発したんだと思う」と。
たしかに、拍子抜けするような無責任にも聞こえるような言葉に見えて、励ましてくれていた。だから私は、今あの時自分で人生を終わらせなくて良かったと感じる。
今でも、親友は新しい家族が出来てからも、たまに連絡をくれる。その度に私は当時のことを思い出し、心の中で感謝しながら、今日生きていることを噛み締めるのだ。
むかしむかし
まだ大家族だったころ、
長崎のオランダ村行ったなあ。
チューリップの花畑と風車、
あと弟のサザエボンのTシャツしか覚えてない
今の家族は野焼きされた あぜ道
「お題としては『花』は4回目だけど、花をネタにした投稿は、他にも複数回書いてるのよな……」
今回ばかりは、「花」ひとつのモチーフに今まで頼りすぎてきた自分のせいだな。
某所在住物書きは、今回ばかりは物語の書きづらさを、己の失態によるものと認めた。
桜吹雪を流れ星に見立てたり、ポットの中に工芸茶の花を咲かせたり、名字に埋め込んだ花とその花言葉を連動させたり。
フクジュソウ等々、季節の「花畑」を物語に登場させたこともあった。
「花畑を星空に例えたこともあった、かな?」
そういえば。物書きは苦し紛れに、ひとつ物語を仮組みする。
「逆に星空を花畑に例えるとか」
つまり、こういうことなんだがな。物書きはメモ帳アプリを呼び出し、投稿文の下書きを打ち始めて……
――――――
「花」のモチーフを何度も使いまわして、段々花ネタの尽きてきた物書きがお送りするおはなしです。
困った時の、童話頼みなおはなしです。
せっかくの3連休に、それでも特別な予定無き物書きの、以下は、いわばちょっとした、イジけ節です。
最近最近の都内某所、某稲荷神社に、不思議なお餅を売り歩く、不思議な子狐が住んでおりました。
子狐は、時折神社の参拝客の、過去の祈りや現在の思い出、未来の願いなんかを夜の夢に見るのですが、
連休だったり、夏休みだったり冬休みだったり、行楽シーズンの丁度終わった頃合いに、
たまに、それはそれは、美しい夢を見るのでした。
『光害、こうがい、と言うんだ』
昔々父狐が、子狐に言ってきかせました。
『お外が暗いと、お空の星がよく見える。お外が明るいと、お空の星は見えづらい。
ここから遠い、とおい、人間も明かりも少ない田舎には、そういう夜空を、毎日見られる所もあるんだよ』
それは、子狐の知らない夜の空。子狐の知らない土地の風景。
東京から地方へ旅行なり帰省なりした面々が、主に子供たちが見た、田舎や里山の星空の記憶。
高層ビル無き広い広いお空に、キラキラ小ちゃな星がいっぱい輝いて、お月さまが満月だったり三日月だったり、いつもより明るく見えるのです。
子狐はその美しい空を、誰かの思い出を、彼等が東京に戻ってくる頃夢に見るのです。
『お花畑だ!』
東京から一歩も出たことのないコンコン子狐。
広い空も、満点の星も、ましてや天の川や、LED照明無き真っ暗な夜など、絵本の中でしか見たことがないのです。
『お空に、お花畑がある!』
そんなコンコン子狐です。なにより想像力豊かなガキんちょ子狐です。おまけに、今日のお題が「花畑」なのです。
旅行や帰省から戻ってきた子供たちが持ち帰ってくる星空を、
その星空知らぬ子狐は、空の草原にカスミソウかワスレナグサか、アキカラマツかもしれません、
ともかく大きな花畑ができたと、かわいらしく、想像するのでした。
子狐は夜空の夢を見るたび、お肉もおやつもお餅も全部忘れて、ぴょんぴょんぴょん、飛び跳ねます。
お空に咲くあの花々が、コンコンコン、どうしても欲しいのです。
だけどお空のタニギキョウだかスズランだかは、遠くて遠くて、掴めず触れず、
ゆえに子狐は、心をモニョモニョさせるのでした。
『お花、おはな!』
ぴょんぴょんぴょん。
今日の夜も子狐は、知らない誰かの思い出の中で、一生懸命飛び跳ねて、小ちゃい両手を伸ばします。
『今日こそは、あのお花で花束作るんだ!』
ぴょんぴょんぴょん。
その美しい勘違いと努力は、リアルの朝日がのぼって、母狐が子狐を優しく愛しく起こすまで、ずっと、ずっと、続きましたとさ。