『花束』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
『花束』
バレンタインデートをした翌日、一人で家に居たらインターホンが鳴った。
(なんだろう?)
通販した覚えはないし、来客の予定もないし、彼はいきなりは来ないだろうし。
何かの勧誘かなぁ?と訝しみながらドアを少しだけ開けると、
「お花の宅配です~」
と、明るいおばさんの声。
「お花?」
ちょっと疑問に思いながらドアの隙間から覗くと、ピンク系でまとめた可愛らしい花束を抱えた配達のおばさんが立っている。
「はい……」
と、やや驚きながらドアを開けてその花束を受け取ると、
「こちらにメッセージカードも添えてありますので。」
と、おばさんはニコニコ笑顔で付け加えると、お礼を言って颯爽と帰っていった。
見ると、カードには彼の名前が。
『バレンタインのお礼に受け取ってください。』と。
(昨日チョコあげたお返しなんだ!)
まじまじとお花を見つめて、思わずぎゅーっと抱きしめる。
「可愛い!お花のプレゼントとか嬉しい!」
つい声に出して、お花を揺らす。
「すごい!こんなこと、昨日一言も言ってなかったのに!」
こんなサプライズして貰えるとは思わなかった。
(こういうの、街中で貰ったとしても、持って帰るまでに傷んじゃったり、困っちゃうんだよね。)
だから家に送ってくれたんだ。
その気遣いにも嬉しくなる。
「嬉しい~♪」
花束を抱き抱えたまま、私は早速彼にお礼のメッセージを送ったのだった。
花束
「先生、1年間ありがとうございました」
卒業式後の謝恩会、最後の一幕。サプライズとして用意していた色とりどりの花束を、眼鏡の女生徒が教師に手渡した。
教師は、体育教師然とした体躯に似合わぬ当惑した素振りを見せつつ「ありがとう」と言い、これはまた物凄くカラフルだ、とためつすがめつ見た。
「これ、3−Aひとりひとりが1本ずつ花を選んで持ち寄って、束ねたんです」
女生徒は誇らしげに言った。彼女が発案者だった。
教師は突然目頭を押さえて震え始めた。それから声も震わせながら「みんな、みんな本当に…」と言い、言葉を詰まらせた。間を空けて、盛大な拍手が貸し切りの会場を満たした。いいサプライズができた、と女生徒は手を強く握った。
何だこの茶番は。
茶髪の生徒は、拍手しながら冷ややかに見ていた。
それに拍手なんて、また悪趣味なことを。
拍手を始めた坊主頭の生徒に目をやると、彼はにやにやと笑って横の生徒と話していた。
委員長には悪いけど、とキメラのような花束の中身を見つめる。黒いバラ、黄色いカーネーション、クロユリ、スノードロップ…花言葉を知っていれば卒倒しそうなラインナップだ。
あの無骨で無神経な先生はついぞ気づかないだろう。花束の意味も、クラスの大半の生徒にどう思われていたかも。
残酷なことをしているのはわかっていた。しかし、実害はないし本人に伝わらないのだから、これくらい許されるはずだ。そう、だから、あいつもそうすればよかったのに。
茶髪の生徒は、端のテーブルで縮こまっているおかっぱの生徒を見遣った。本当になんで、バラなんて持ってきたの?
「みんなの大事な仲間について、一つ話があるんだ」
そういって先生がホームルームで話し始めたのは、私が同性愛者であるということと、変わらず仲良くしてほしいということだった。
頭が真っ白になった。朦朧として家に帰って、吐くように泣いた。
なんであいつが知っているんだ。前の女の担任に相談したことがあったから、たぶんそこから聞いたんだ。
親身で信頼できると思っていた前の担任に裏切られたのもショックだったが、何より考えなしに暴露した先生のことは許せなかった。むしろそれまで、なんの滞りもなく生活できていたというのに、なんて余計なことをしてくれたんだ。
その後の学校生活がどうなるかは火を見るよりも明らかで、実際私は孤立していった。さいわい、いじめなどはなかった。しかし、話そうとすると壁を感じるし、裏でなにか噂されているというのは肌で感じ取れた。先生はいいことをしたと確信しているようで、たびたび調子はどうかと訊いてきた。憎悪の感情は日に日に強くなった。
いま、先生の抱える花束の、中心に咲く一本の赤いバラ。あれがどういうものかは誰も知らない。あの花びらの奥に、毒蜘蛛の卵嚢が仕込まれているなんて、誰も夢にも思わない。
2023/02/10
新しいお題が出ると、その言葉が関連する歌が頭の中で流れるのは、わたしだけかしら?わりと頻繁にそうなのだけど。
〜はぁなたぁばをぉきぃみぃにあげようおぉ♪
今日流れてきた歌。
宇多田ヒカル🎶
そして、その歌からまた連想されていく。
連想されて、連想されて、が続いていく。
朝ドラの主題歌だったな。とか
あのドラマのあのシーンよかったな。とか
今日のお題について、ほかに何かないかな?って探ってみると、今度はドラマのワンシーンが浮かんで、みなとくんは、大きな花束持ってる人みるとつい目で追っちゃうんだよな。で、ななちゃんがバスから降りてきて、、、
silentのワンシーンが頭の中で流れる。そしたら当然のように、
言葉はまるで雪の結晶〜♪
って曲が流れるよね。頭の中でさ。
そのあとは、またドラマのシーンに戻ったりして、あのシーンといえば、おすそ分け。だよなぁ。と思って、今日、職場の人たちにおすそ分けしたはっさくを思い出したりする。
まあまあ厚いはっさくの皮をがんばって手で剥いてたけど、その方が、柑橘のいい香りが舞うんだよなぁ、とか、それで、はっさくって酸っぱいイメージだけど、ぜんぜん酸っぱくない。おいしい!って言って食べてくれて、嬉しかったな。とか。
そうやって、思考ってのは、どんどんどんどん連鎖していく。
けど、外から与えられた言葉で思考が展開していくってのは、なかなか新鮮で面白い。自分では選ばないお題だったりすると、当然、普段は意識を向けることもないわけで、そういう言葉を思い巡らすと視野も広がって面白いのよね。
さて、今日のお題は、なんだったでしょう???
「花束」でした。
ごきげんよう〜〜〜
創作、シリアス、自殺表現注意⚠️
ママが〇んだ。車に轢かれて、病院で伝えられたらしい。お父さんが
『ママが〇んだ』
他の人なら悲しいやら悔しいならあるだろうが実際自分はなんとも思わなかった小さい頃から投げる蹴るの暴行や暴言、恐喝して金を摂ってママ自身のために無駄遣い。家のものでも蹴っていたし、公共の前でも暴言暴行をされた。親孝行?そんなの知らないし聞きたくも無い。パパならまだしも『親』ならばママも入る。パパは怒りっぽく高齢暴言ならばいくらでも吐ける。
ママは自己中心的で評判を時々気にしている金遣いの荒い毒親のようなもの。最初は気づかなかったがパパに云われてお母さんが以上なことに気づいた。自分は友達も本当に好きなやつなどいないし2次元に没頭してしまう同性愛なのでカミングアウトが怖くXジェンダーも兼ね備え、オマケにネットの鬱診断では極度の鬱。パパに云ったらまずは障害者扱い、罵倒が来るだろう。そんなこともありカミングアウトなど出来たものでは無かった。そう思いつつ家に帰りリビングへ行くと、豪華な花束があった。色とりどりの花。カラーバリエーションがくすみ系であったためにすぐわかったママだ。あぁなんでだろうか、眼から涙がこぼれ落ちる。
何故花束が、と思うと今日自分が誕生日だったことに気づいたんだっけ。
6年後の今でも覚えている。今は本当に好きな同性の恋人を見つけ同棲までしている。
嗚呼
このことは忘れないし両親のしたことは許す気は無い。だが今が幸せだということに感謝できるように育ったことだけは良いとしよう。恋人に悪いと思いつつ自分はビル立った。それじゃあ、読者の皆さん、永遠にさようなら。
肉離れをしてしまった
試合は明日なのに
初めはどきどきしていた
私は怪我をすることが
変だが少し好きだった
みんなが心配してくれる
周りから反応が欲しいという
承認欲求のせいだ
今日は違った
他の人たちが練習しているなか
1人で壁と睨めっこ
ライバルはどんどん上手になって
私は何もできないままでいた
私の中でこんなにテニスが大きいものだとは
何年もしてきて初めて思った
明日は初戦しか出させてもらえないかもしれない
強豪ともたくさんあたれるのに
悔しい泣きたい
でも私の力全部出して
筋肉も治して
一試合でも多く
一球でも多く
楽しくテニスができるように
願いながら夢を見よう
花束
プロポーズの時の花束
退職祝いの花束
感謝の花束
日々のお祝いにお疲れ様に記念の日に
そんな素敵な日に花言葉に載せて想いを伝えられる
そんな花束って素敵
花束で日々を彩る
心を動かせる
素敵なもの
『花束』
「どう?この花束、私が作ったんだ!」
「とても綺麗……だけど、一色だけしか無いから味気がないわね。私ならこうするわ」
「わぁ!カラフルでとっても映るね!でもなんて言うか……統一感?は無いかな」
「……ままならないわね」
「……だねぇ」
雪面に落ちる木立の影が美しかった。腰からゆっくりと根本に座り込む。首から下げられた一眼レフを弄りながら肩を撫で下ろした。ふ、と吐く息を追いかけるように見上げると突き抜けるような真っ青な空が目に染みて、喉奥を引き攣らせる寒さを一瞬忘れてしまう。雪を掻き分けるように咲く花。小鳥の囁やくような囀り。枝に積もった雪が溶けて葉に弾かれる音。雪解けとともに連なる冬木は、満開の桜へと大空に枝を伸ばすのだ。少しずつ歩み寄る春の気配に心を踊るとともに今ある景色を宝物のように抱きしめる。
青々と咲く花だけが全てではない。吹き付ける風と混ざりながら舞い上がる雪の粒は六角形の結晶であり、冬に降る花なのだとレンズを通して視てきた。牡丹雪や花弁雪。段々と強くなる風に押し上げられると、迷ったようにしばらく漂いながら銀世界へと姿を隠していく。幻想的な花束が滲ませる光に、自然と指はカメラのシャッターを切っていた。春の陽だまりの中へと移ろいゆく瞬間を永遠に残していたい。消え行く影へと手を伸ばすように。
/ 花束
一生幸せにするって
君の息が途絶えた瞬間まで
心揺らぐことなく
愛し愛されたた日々..
悲しい
辛い
それでも前を向いて
一度離れてもいつか
また逢える縁
そう信じて..
空色が似合う君に
笑顔の花束を..
2023/2/10
定期的に花が届く。今日届いたのはジキタリスだ。前回は鈴蘭。遡るとスノードロップ、水仙、夾竹桃。全て有毒植物である。鳥兜やダチュラ、曼珠沙華と何とも分かりやすいラインナップの時もあった。
『死ね』
花束に明確な悪意を潜ませて。わざわざ一種の花でブーケになる量を用意するのにはいつもながら恐れ入る。仄暗い執念の塊をじっと見た。
(辺境の地に追いやるだけでは不十分らしい。)
しかし直接、間接問わず自分の手を汚したくないのだろう。だから花を送ってくるのだ。
短い小説 『花束』
綺麗な花を数輪摘み、一つの花束を作った。
花といえば赤色、青色、黄色、白色、紫色…。
大体この5色であろう。この5色がバランス良く摘まれたものこそ見栄えが良さそうに見えるが、敢えて少し色に偏りをみせたほうが実は美しい。色も大きさも整っていないのが自然であって、ありのままの花なのだ。
1本1本、一番良いと思う組み合わせ、配置、色合いを考えて花束を作る。花を買いに来た人たちに存分に幸せになってもらいたい。花を買いに来た人たちは、きっと、大事な目的があるだろうから。
誰も居ないことを願いながら
10年ぶりに実家へ帰った
相変わらずの薄暗い家
連絡もしないまま
今更どんな顔して
どう接したらいいのか
カーネーションの花束を
テーブルに置いて
気まずさと一緒に家を出た
#花束
今日は、記念日なので花束を送ろう。
大切な人たちに。
【花束】
わたしは花束が苦手だ。
人間の勝手な都合で摘まれ、寄せ集められ、重い想いを背負わされる。
花だって生きているのだ。
何の準備もしていないのに、急に渡されても困る。
犬や猫を突然預かってと言われたら困るでしょう?
ペットと花は違う?
もう一度言う。
花だって生きているのだ。
あなたの想いは花束じゃなくて、言葉で表現してよ。
花が好きなら、群生しているものを見に行こうよ。
蝶や蜂が命を紡いでいる花畑や花園へ行こうよ。
あの日の花束、まだ残ってるのよ。
貴方が、緊張して渡した、
ピンクのガーベラの花束。
私がピンクを大好きなのを知っていて、
買ってきてくれたのよね。
愛しているわ。
いつまでも、永遠に。
母の退院の日に
花束を渡した
2
母に申し訳ないなと思う
見守ってくれてるだろうに
母が亡くなって家に帰ってきて
私は横で一緒に寝た
お母さんが
生きてくれていたらな
母性が恋しい
花束なんて洒落たものは
あげられないけれど
愛情なら誰よりも注げるよ
花束には色んな意味がある
君にはどんな花束が似合うかな
かすみ草?
勿忘草?
朝顔もいいかもね
きっとどんな花でも君は喜んでくれるだろう
そんな君のために
花束を選ぶ時間も
僕はとても楽しいよ
初めてお付き合いをして一年が経った日、
彼は小さな花束を贈ってくれた
初めてプロポーズされた日、
彼は両手にいっぱいの花束を贈ってくれた
初めての結婚記念日、
貴方は抱えきれないほどの花束を贈ってくれた
初めての命日、
貴方は一本だけ花をくれた
でもわかるの。
その一本に託された想いが、
あの時から変わっていないこと。
毎年この日になると
僕は花束をあの海へ投げ入れる。
君が死んだあの綺麗な海に
君が好きだと言った花を。