美夜

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 『花束』


 バレンタインデートをした翌日、一人で家に居たらインターホンが鳴った。
 (なんだろう?)
 通販した覚えはないし、来客の予定もないし、彼はいきなりは来ないだろうし。
 何かの勧誘かなぁ?と訝しみながらドアを少しだけ開けると、
 「お花の宅配です~」
 と、明るいおばさんの声。
 「お花?」
 ちょっと疑問に思いながらドアの隙間から覗くと、ピンク系でまとめた可愛らしい花束を抱えた配達のおばさんが立っている。
 「はい……」
 と、やや驚きながらドアを開けてその花束を受け取ると、
 「こちらにメッセージカードも添えてありますので。」
 と、おばさんはニコニコ笑顔で付け加えると、お礼を言って颯爽と帰っていった。
 見ると、カードには彼の名前が。
 『バレンタインのお礼に受け取ってください。』と。
 (昨日チョコあげたお返しなんだ!)
 まじまじとお花を見つめて、思わずぎゅーっと抱きしめる。
 「可愛い!お花のプレゼントとか嬉しい!」
 つい声に出して、お花を揺らす。
 「すごい!こんなこと、昨日一言も言ってなかったのに!」
 こんなサプライズして貰えるとは思わなかった。
 (こういうの、街中で貰ったとしても、持って帰るまでに傷んじゃったり、困っちゃうんだよね。)
 だから家に送ってくれたんだ。
 その気遣いにも嬉しくなる。
 「嬉しい~♪」
 花束を抱き抱えたまま、私は早速彼にお礼のメッセージを送ったのだった。

2/10/2023, 9:52:08 AM