『美しい』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
美しい
空を見上げるのが好きな私は、今迄数え切れない程の素晴らしい空の景色を見てきた。
その時々の自分に重ねて、言葉にならない気持ちを時に慰め、時に奮いたたせ、夜明け…朝焼け…眩しい太陽…真っ青な空…
この年になると何気ない浮雲にも沢山の想いが溢れる。
突然のあの人の訃報に慟哭したあの日、ぼーと空を見ていた。
気がつくと夕焼けが私を包んでいた。
次第に震えるほど、空が真っ赤に変わり雲がメラメラと燃えていた。
辺り一面赤い世界、今迄に見たことのない燃えるような赤々とした空。
極楽の入り口からほんの少し私を覗いているかのように、貴方のまなざしが私を包んでとても美しい世界を届けてくれた事がその時はっきりと感じたのです。
もう二度と出会うことの無い、愛あふれる空でした。
ありがとう…ありがとう…
沢山の愛をありがとう…。
美しい心というのは、具体的にどんな色をしているだろう。どんな状態のことを言うだろう。
美しい
やっぱり美しいという感情は人よりも自然を見た時に感じることが多い。
太陽、月、山。特にこういった雄大な存在を見た時に美しさと感動を覚える。
人でも思わず美しいと思うような整った人はいるけどやっぱり大自然の美しさには敵わないな。この辺は好みなんだろうけど。
あとは機能美ってのもあるな。これも大自然に勝るとも劣らない美しさがある。
シンプルなものならナイフ、複雑なものなら歯車なんかは美しい。
それと車やバイクなんかに美しさを感じる人は多い。ただ個人的に車とかバイクは興味ないしあまり美しいとも思わないんだよな。
車とかバイクなら内部構造のほうに美しさを感じるな。これはデザインじゃなくて機能性に美しさを感じてるってことかな。
「美しい」
君のその姿や生き様が僕は美しいと思う。
僕はこれからも君を、推していくだろうなぁと君のグッズを見ながら思った。
【美しい】
四季、それは美しい。
春には、桜、菜の花
夏には、ひまわりや紫陽花
秋には、もみじに秋桜
冬には、水仙やサザンカ
それぞれに四季を感じられる良さがある。
だけどやっぱり夏の暑いのは苦手だ。
「美しい」(全て一行詩)
不透明な硝子から磨き続け美しさ
昭和硝子越しの電飾は夜のマヤカシ
姿見えぬ美しい手元には煌びやかな扇子
びらびら簪が揺れる度に七光放つ
海面が上昇してボートの上で生活するようになって10年程が経っただろうか。
日毎に周りにいるボートは減っていって。
気付けば周りにあるのは空のボートだけになってしまった。
どうやら私にも順番が回ってきたようで、海水の影響で今まで太陽エネルギーでなんとか動かしていた電子製品も全て壊れてしまった。
まぁこんな世界で長生きしたほうだ。
あとはのんびりと死を待つだけだ。
ボートの上で仰向けに寝転ぶ。
辺りは暗闇に包まれていて。
空には世界が水没したことによってよく見えるようになった星々と満月が1つ。
何度もボートの上で1人見上げた夜空が何故か、生きることへの執着を辞めると美しく見えて。
その夜空を最後、目に焼き付けて瞼を閉じる。
ゆりかごの様にボートが揺れているのを感じながら眠りについた。
〜「美しい」〜
美しい。
私が初めて矢並嶺二と出会い、彼に抱いた第一印象がこれだ。
美しさというのは、シンプルなようで難しい概念だ。人によって異なり、地域で異なり、時代で異なる。ある場所で、ある時代で美しいとされた人が、所変わればかその美しさの価値を無くす。
しかしながら、彼、矢並くんだけはどの場所であっても、どんな時代であっても、美しいと、そう人々に称えられるのでは無いだろうか、そう思ってしまうほどに彼は美しさというものを内包していた。
その美貌もさることながら、行動、言葉遣い、性格、そのどれもが完璧で、計算し尽くされたような存在。もはや異様とも言えるほどにその美しさには隙がない。その顔は美しすぎて、いっそ近づきがたい雰囲気を醸し出すのに、彼の性格と立ち居振る舞いが、ピンと張った糸を程よく緩ませるかのように柔らかで落ち着いた雰囲気へと変化させる。
私の友人の1人は、私含め、自他共に認められるほどの天邪鬼でひねくれた性格をしていて、まずはケチをつけずにはいられない。そんな友人でさえ彼を見た時の最初の一言は「綺麗…」だったのだから、その度合いも知れるというもの。
とはいえ、その後すぐさま、「いっそ、気持ち悪いほどだ。人形かなにかかよ、見てらんねー。」と吐いて、その後の大学の講義をサボって帰宅してまで彼を避けたというのだから、彼の逆張り精神もなかなかに極まったものだと思う。
さて、そんな美の化身たる矢並くんは、当然ながら、大学では有名な人気者だ。周囲には性別問わず常に多くの人が彼を囲い、少しでも彼の注目を買うべく努力している。一方私といえば、誰とつるむ訳でもなく、狭く閉じた人間関係の中で日々を過ごしているものだから、当然社交的でキラキラしている舞台のど真ん中にいるような彼らとはとんと関わりがない。
どちらにとっても積極的興味がなく、正しく平行線のような、交わることの無いグループだと思っていた。
そんな認識が覆ることになったのは、ひとえに今年の春からゼミが始まったからにほかならない。たまたま偶然、示し合わせたわけでもなく、こちらが狙った訳でもない。ただ単に、いくつかあるゼミの中でたまたまお互い同じゼミを志望し、そして採用された。それだけの事である。
それだけなら精々、これからずっと使われることもないであろう連絡先を、形式的に交換するだけに留まったであろうが、それだけで終わらなかったのは、ゼミの懇親会にてお酒を飲み、少し酔っぱらった彼の住む家が私の下宿するアパートの近くだったからに他ならない。
お互いの家を知ってしまい、かつ、時間割が似通ってしまったのだろうか、お互いの通学する姿をよく見かけるようになってしまった。
互いが知り合いで、特に仲が悪い訳でもない関係性。出会ってしまって、目的地も同じとくれば一緒に通学するのも自然な流れ。ましてや、驚くほど親しみやすい性格をしている彼の手にかかれば、私はNOとは言えないタイプの日本人であるからして、結果は言うまでもない。そうしてしばらくそんな生活が続いたかと思えば、いつの間にかそれがお決まりと言うかのように、お互いの家に互いを迎えに行くようになっていた。
それを聞いた友人の顔と言ったら傑作である。同じゼミになったと言うだけなら、そうなんだ、ふーん。でそんだのかもしれないが、いつの間にやら仲良くなって、日陰者同士だったはずの私が舞台のど真ん中にいるはずの男と互いの住所を共有し、一緒に通学する仲になっているのだからそんな顔になるのも無理はない。何せ私も信じられないのだから。
うーん続きが思いつかないけど生産元である私が腐っているので多分これはびーえるになります。多分矢並くん×私(一人称視点)かな
・矢並くん視点で、私についてを書く
多分彼にとっては、初めて身近にとどまっていながら明らかに自分にあまり興味が無いんだろう、と感じる相手。普通はね、興味なかったら一緒に過ごすことないからね、視界に入らないし気づかないよね。で、ちょっとずつ特別になっていく、一旦矢並くんの仮面が外れるとか。でも仮面じゃなくてもいいな。本当に、心から親しみやすいながらも穏やかで落ち着いた人柄で、正しく善人!って感じでも、こう、ちょっとわんこ属性的なものが付与されそうなカプになる。
おしまい!お題で無関心とか来たら書こうかな…
私の名前には、「美」という字がついている。
まあ、ありきたりな字だ。「美しい子になりますように」の願いが込められているのだろう。
顔も心も美しくなっているか、とは難しい話だ。
どちらも大して美しくは無い。外見にコンプレックスもあるし、性格もとても素晴らしいと言えるものでも無い。
美しい、ってなかなか大変なものなんだな。
「美しい」
夜なのに満月があまりにも明るくて、まるで街灯のように人も街も照らしている。なんでも照らしてしまいそうだから、家のライトがついているのに満月の明るさでライトが負けてしまう。こんなふうに感じたのは久し振りかもしれない。自分のことで精一杯、周りを見る余裕なんてない、一生懸命に今を生きている。ただ、それだけだった。何をするにも億劫で、自分の今の状態は何パーセントで、一日を乗り切るのにどれだけの力を使わなければならないのか、その繰り返しだった。
月日が経ち、少しずつ自分のことに目を向けられるようになってきた。周りを見る余裕も出てきた。何がきっかけかは自分でも分からない。それでいい。自分のことを深く掘り下げるのは好きじゃない。今は不思議な気持ちでただ一人、この夜の空間を楽しんでいる。
顔はいつかしわでいっぱいになる
花はいつか枯れてしおれてしまう
宝石はいつか錆び付いてしまう
芸術はいつか廃れてしまう
景色はいつか私たちの記憶から消えてしまう
虹はいつか一瞬にして消えてしまう
日常はいつか脱線して壊れてしまう
人生はいつか終わりを迎える
美しいものには限りがある
それらは美しくなくなってしまうのか
それは違う
美しいとは変化し続けるから美しいのだ
そんな美しい世界で僕らは生きている
(美しい)
―― 一人の姫のためにこの王国は滅ぶだろう
ある王国で美しいお姫さまが誕生した。
珍しく恋愛結婚した王様とお妃様にはたくさんの子どもがいて、占い好きなお妃様の意向に沿って子どもが生まれるたびに占い師に未来を占わせた。
末の姫も占われ、上記の予言がされた。
不安になった王様とお妃様は姫を地下に幽閉し、姫の存在を隠した。
王城の地下で姫はすくすくと育った。
プラチナブロンドの長い髪と空色の瞳の美しいお姫さまは自分の立場をよく理解していた。明るく天真爛漫な子どものように振る舞いながら、誰にも教えていない能力を隠し続けた。
ある日、隣国の王子がやってきた。
本人が望まない王位争いに巻き込まれ、呪われた不運な王子さまだった。どこに行っても嫌われてしまう王子を助けたのはお姫さまだけ。こっそり自分の部屋に匿って秘密の能力を使って王子の呪いを解いた。
後日、王子は嬉しそうに国に帰っていった。
また別の日、捕虜になった獣の国の姫に出会った。
城内を必死で逃げ回っていたところをお姫さまが保護し、匿った。酷い扱いを受け衰弱していた姫を、秘密の能力で癒した。
後日、姫に抜け道を教えて国外へ逃がした。
お姫さまが成人を迎えた年、王国は滅びた。
王位を継いだ隣国の元王子と、再建した獣の国の元姫によって攻め滅ぼされたのだ。
生まれて初めて踏みしめる大地にお姫さまは喜んだ。
美しく笑うお姫さまに元王子と元姫は王冠を授けた。決して血に塗れた欲深な王冠ではなく、お姫さまだけの王冠を。
予言通りこの王国は滅んだ。
そして新たに帝国が建った。
近隣の国々を手中に収めた。
「予言通りでしたね、お父様、お母様」
黒いユリを一輪、墓前に供えた。
【題:美しい】
美しい(創作)
私は人の目をとても気にする。
【意外に他人は人の事を見ていないよ、だから大丈夫】なんて言葉もかけてもらったけど、私にはその言葉は通じない。
とにかく綺麗に美しくなりたい一心で、美容系YouTubeも見まくり、カフェのバイトで稼いだお金は、流行りの服や化粧につぎ込んだ。
多分見た目は、そこら辺の人よりかはイケてると思うし、見た目の自信はある。なのに、聞こえてくる噂は
『外見ばかり気にして』
『自分のことばっかりだよね』
『可愛いけど、心がないんだよね』
その噂を耳にするたび、私はますます外見だけを整えた。心の声を隠し、いつも笑顔を貼りつけた。
ある日、バイト先に目の見えない青年がアイスコーヒーを注文した。
「…お待たせしました」
「ありがとう…」
私はそのまま立ち去ろうとしたけど気になって足を止めた。
「あの、、よろしければストローさしてもよろしいですか?ここに、コーヒーがあります」
彼の手をとり、アイスコーヒーの入ったグラスを触らせ位置を確認させた。
「ありがとう…あの…大きなお世話かもですが、あなたの行動はとても優しいけど、声に苦しみを感じられる…大丈夫ですか?」
その人は言った。人の声から、「心の響き」を感じてしまうんだと。
恥ずかしさと、驚きで戸惑った。
「今仕事中なので…すみません」
そんな言葉で逃げきれたかと思っていたけど、彼は私がバイトが終わるまでずっと居続けた。
「すみません、とても気になって…これじゃあ、ストーカーですよね…」
「あ…いえ…なんか…すみません」
「なんで謝るの?」
「あーいや…なんだか…」
しばらく沈黙した空気が流れたが耐えきれず私から口を開いた。
「人に嫌われるのが怖いんです。だから、必死に外側を綺麗に誤魔化して友達を作ってる。だけど、綺麗に着飾ることばかり考えてしまって、人の話なんてどうでもいいと言うか頭に入らない…だから気がついたら本当の友達がいない…だから綺麗にして…って悪循環に疲れてます」
それがこの人に、声だけで悩んでるってわかったって言うの?
彼は静かに微笑んだ。
「誰でも美しいものは好きだと思います。だけど、その人の心がわかって助けたい、側にいたいと思うものです。本当の自分を隠して、本当の友達なんてできないかと…自分を出せば耳を傾けてくれる人が必ずいますよ」
そう言って、彼は音もなく去っていった。
次の日から、化粧もナチュラルにし、露出の多い服も控え、嬉しい時は嬉しい。悲しい時は悲しい。悩みを相談されたら、なんでも聞く。そして、自分の悩みを打ち明ける…そんな簡単ではなかったけど努力を続けた。
「なんだ…早く言ってくれたら良かったに。そんなに着飾らなくても、あなたは美しい!!」
友達は私の肩をポンポン叩いて、笑った。
私が無理している事は知っていた。だけどそれに自分で気が付かないと、何を言っても頭に入らないから、様子を見ていたと…目の前の1人も信じることが出来ず繕っていたのに、私の事を見守っててくれる人がいたことに気がついた…。
今まで感じていた周りの冷たい視線は溶けてなくなり、温かい微笑みに包まれて行った。
もしかしたら、最初からこの、微笑みはあったのかもしれない。見えてなかっただけで。誰か分からないあの青年にまた会えたらお礼を言おう。
私は鏡の中の自分に微笑みかけた。
「私、本当の意味で美しいものを見つけました」
美しい
私は一人の女の人に目を引かれた
私もあんな美しく有りたいなー
なんて、ずっと思ってる
アイドル見ても美しい子がたくさんいる
わたしもすこしでもちかづけるように、頑張ろうかな
そう、思わせてくれるような人ばかりいる
可愛くなれる方法を教えてくださーい!!!!!
キレイだな、と思ったの。
でも顔が…とかそんな事じゃなくて。
いや、顔も綺麗なんだけどさ。
見た目の話だけじゃなくて…なんでかな?
消えちゃいそうだったからかも。
ふと目を離したらどこかに行っちゃいそうで
なのに掴めなくて、
ぎゅって握ったら潰れちゃいそうで
遠くから見守っていたいと思っちゃったのかな。
見つめていたいと思っちゃったのかも。
美しいってこういう人のことを言うんだなー。
って初めて知ったの。
ねえ寝てるの?
せっかく俺の第一印象は?
なんて聞くから真剣に答えてあげたのに。
ゆっくり寝てね、おやすみなさい。
母は美しい人でした。
母の横顔をよく思い出します。
すっと通った鼻筋、柔らかな弧を描いた眉、スラリとのびた首筋とまとめ髪の後毛。
思い出の中で母は優しげに、ゆっくりと微笑んでいます。
微笑みだけではなく、母はいつも悠然としていました。
同級生の話を聞くと、母親というものに
抱くイメージが随分違うことに驚いたものです。
同級生たちの話を聞いていると、母親というのはもっと忙しなく、自分勝手で感情的だというのです。
彼女たちの日々の苛立ちや鬱憤の原因の多くは母親でした。
私の母が、世間一般的な母親像からはみ出した人だということは、幼い頃からなんとなく気づいてはいました。
母が私の同級生、お友達の母親と話したりしているのをあまり見たことがありませんでした。
母は、孤立していたように思います。
しかし、母がそれを嘆いたりしたことはありませんでした。
というより、母が感情的だったことがないのです。
それは、私たち姉妹に対しても同じでした。
母は、いつも優しげでゆっくりと微笑んでいます。
私たちが喧嘩したり、笑いあっていても、母は少し遠く離れたところから
眺めているだけでした。
優しげな微笑みを湛えて。
喧嘩をしていた私たちは、母の静かな視線に気づいて、なんとなく気づまりな雰囲気になり、喧嘩は曖昧に終わります。
私たちを咎めるようなものではないのですが、母の視線はいつもどこか冷ややかでした。
今となっては、あの冷ややかさは、母は私たち娘にあまり興味が持てなかった為なのではと思います。母は終始、そういう人でした。
それでも母は、私たちに食事と清潔な衣服を与えてくれました。
母の食事は、いつも少し……水分が多かったように思います。
何事も美しく丁寧な母でしたが、料理だけはそうではありませんでした。
どの品も水浸しのような食感で、おひたしなどは本当にびちゃびちゃとしていて
お皿に水気が溜まっているほどでした。
私も妹も、給食の方が好きでした。
妹は今でもおひたしが苦手だと言います。
食事以外、母はほとんどにおいて、優雅な美しさを持ち続けていた人でした。
母とはあまり話しませんでした。
私の中にあるのは、母のスッとした佇まいとか静かな微笑みばかりです。
あまり会話をした覚えがないのです。
幼い頃からそうだったので、それが普通だと思っていました。
母親というのは喋らないものだと。
母が、私たちと違う時間軸で生きているのかもしれない、と気づいたのは小学校に入る頃だったような気がします。
そんな母でしたが、唯一感情というものを表すことがありました。
それはいつも決まった季節、夏の頃です。
庭の月下美人です。月下美人の花が咲くのを、母はいつも心待ちにしていました。
梅雨時からよく庭に出ては、花芽がついていないか確認する母の姿を覚えています。
いつも優雅な母が、月下美人の開花が近づくと、少しだけそわそわと落ち着かなくなりました。
それは、いつもの母と違っていて、大変な違和感を覚えたものです。
もうそれは居心地が悪いほどでした。
私たちにとって、母は、そういう存在ではありませんでした。
感情的だとか気持ちの揺れ、みたいなものを抱えている母に近づきたくなかったのを覚えています。
月下美人の開花を待つ母は、まるで恋人を待つようなうっとりした目でした。そんな熱っぽい瞳は、母には不釣り合いな気がしました。
私には分かるの、と母は言いました。
いつ咲くのか、分かるのよ。
母が言った通り、毎年、母が今夜咲くわ、と言ったその日の夜に月下美人は咲きました。
美しい花です。見事な白い大輪の花。毎年、一晩だけ咲かせる花です。
母は今年も咲いたわ、と満足そうに目を細めます。私達が寝た後も母は、ずっと月下美人の側を離れませんでした。
月下美人というのは美しい花なのですが、匂いも強烈です。
その匂いは次の日も午前中もたっぷりと鼻をついて来るのです。
開花した夜よりも、次の日の朝の方が苦手でした。
月下美人が残した濃密な匂いの中、母の笑顔はいつにも増して優雅でした。
そして、生気が与えられたような瑞々しさがありました。
いつも青白かった母の肌は、少しだけ血の色を帯び、月下美人の匂いをまとわりつかせていました。
その時の母の顔はあまり見たくはありませんでした。私の知る母ではありませんでしたから。
月下美人の花が一晩で終わる花で本当に良かったと思います。
母が亡くなったのは、5年ほど前です。
今、庭の手入れをしているのは私です。
手入れと言っても、草を抜いたり、落ち葉を掃いたりする程度です。
母のように丹念なことはできません。
母は庭を美しく手入れしていましたから。
最近、私は知らず知らずのうちに庭に出る回数が増えたような気がします。
今は、初夏。湿った空気の中庭に佇む涼し気な母を思い出します。
今年も月下美人は、咲くでしょうか。
花芽が出たかどうか私は確認します。夏に向けて暑くなるたび、膨らんでやがてつぼみになるのかと思うと、少しだけ胸の奥を摘まれたような、そんな気になります。
今でも月下美人は苦手です。
あの濃密な香りも、母の熱っぽい目も、思い出すと不快です。
それなのに、気になって仕方がないのです。今年、月下美人はいつ咲くのか。
先日、妹が遊びに来てくれました。
庭にいる私を見て、妹は笑って言いました。
「お姉ちゃん、最近お母さんに似てきたね、そっくりだよ」
妹の言葉に、少しだけ背筋を冷やしました。そうでしょうか?
私は、母のような優雅さはありません。でも妹は言うのです。
「ほら、そうやって、ゆっくり笑うの、そっくり」と。
そうならば、私も月下美人に向かって向かって、熱のようなまなざしを向けるのでしょうか。あのときの母と同じように。
今年も、月下美人は咲くでしょう。
私は、その日が分かるような気がします。
雨の季節がやってきた! 湿度も高く気分も下がりがちだが楽しみもある 紫陽花だ! もともと可愛らしい花だが雨に濡れるとさらに美しく感じる 色んな種類もあるし土壌の性質によって花の色を変えるのも面白い ホントに綺麗… ついつい写真を撮りすぎてしまう…
ポポヤ
外見も内面も美しい完璧な女の子になりたい。
あのお人形のように。
けど、もしみんながみんな、そうなったら、その世界は美しいかもしれないけど面白くない。
完璧に何もかも美しい人は存在しないけど、みんなそれぞれ個性があってみんな違うから面白いんだと思う。
そういう違いを認めあって尊重して、他の人の足りない部分を補い合って生活していく。
そういう世界こそが本当に美しいと思う。
太陽が元気過ぎる快晴の空。
そんな太陽の下で、俺は歴史的瞬間を目の当たりにしようとしている。
突然強風が吹き、前から歩いてきた若い女性のロングスカートが……大きく捲れていく。
スカートは膝を越え、太ももが露になる。
なんて美しい足なんだ……。
スカートの捲れ方といい、もし今スケッチブックと鉛筆を持っていたら、きっと素晴らしい絵が描けただろう。
スカートは太ももを越え、ピンクの──。
「しゃがみながらどこ見てるのよ!このスケベ変態野郎!」
女性は持っていた鞄をバットのように振り、俺の顔面に直撃した。
俺は地面に倒れ、女性はスカートをひらひらと揺らしながら去っていく。
もう少しで、歴史的瞬間を目の当たり出来たのに。
倒れながら空を見ると、太陽が俺を見て、ギラギラと笑っていた。
楽しいことばをもらったとき、
心は嬉しくなってときめく。
怒ったことばが刺さったとき、
心は疲れてしょんぼりする。
美しいことばに触れたときはどうだろう。
きっと、それが身体中を支配して、
色んな感情に浸らせてくれるのかな。
きらきらした歌がそう気づかせてくれた。
#美しい