『繊細な花』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
「なに見てるの?」
白い空のようなモノに向かって、透かすようにして花を見ていた彼女がこちらに目を向けた。
「オダマキ。綺麗だね。」
静かな声でそう言う彼女は、無表情だった。
「どこで拾ったの?それ」
「降ってきたんだ。きっと僕の親からのプレゼント。」
そう言うと彼女は上に向かって花を投げた。
オダマキ。花言葉は確か、『愚か』だった気がする。君の親がプレゼントしそうな花だ。
投げられた花は、重力に従ってぽとりと落ちた。
私がその花を拾いあげると花は、はらりと消えた。
「あの花、花じゃなかったの?」
「花だったよ。触れていた僕が言うんだ。間違いない。」
「君以外に触れられると消えちゃうなんて。繊細な花ね。」
僕に向けた言葉だからだろうね。彼女はそう言うと、何処かへ歩いて行ってしまった。
ある日、ふと思い立って花屋に行った。
花屋には沢山の花があってその中でも1輪の花が私の目に止まった。
店員に聞くとその花は、慣れた環境でしか生きられないため、飾ってるだけなのだという。
でも、私はどうしてもその花が欲しかった。
その繊細なところが私と同じに思えたのだ。
だから店員にその花を譲ってもらった。
私と同じその繊細な花。
これは花と私の共鳴だ。
『繊細な花』
触れることは叶わない
この手は壊すことしか知らないから
其の為だけの存在だから
その脆く小さな花弁が
柔らかな温もりの中で守られるように
全ての害悪を斥ける
絶対的で残虐な不可侵の壁となろう
――ナニモノモオカスベカラズ
壊れて朽ちるその時に
あの小さな歌声が聴こえたなら
きっとそれだけで意味があるから
葉緑体が気持ち悪い
植物が呼吸をするから、人間が死なないんだ
人間が呼吸をするから、地球も死なないんだ
少しずつ老いていく地球と、人と、花。
どれもみんな気持ち悪い
あたしを変えて
あたしが変えて
あしたの代わり
あたしおかわり
あたし確かにあしたに終わり
みんな違わず、みんな死ぬ
#繊細な花
花はどれもこれも繊細で、ボクがしっかりお世話をしないと枯れてしまう。
だから、毎日毎日愛情を込めて花の世話をする。
そうするとお礼、とでもいうように綺麗に咲いてくれるからやり甲斐もある。
ボクにとっては彼女も同じ。
ボクの愛情で綺麗な笑顔を咲かせるのを隣で見られるのが幸せなんだ。
でも最近、君はボクの前で笑顔を見せてくれなくなったね。
何でだろう。
君の笑顔が見れない事がこんなにも苦しい。
ねぇ、君の笑顔が見たいんだ。どうすればまた笑ってくれるのかな。教えてよ、、。
――これはいつまでも彼女が死んだことを受け入れられない男の話。
繊細な花
見上げると、青空に薄紅色の花びらがはらはらと舞っている…春風に舞い散る桜花の儚い刹那さに、視界が滲んできた…
私は繊細だと思います。自分ながらですけれどね。なぜかと言うと、これは憶測でしかないんですが…。
友人のちょっとした一言で傷ついたり、なんで自分はできないんだ、どうしてこんなにも、という思考に陥りやすいからです。
実際、私のことを高校時代の友人は「繊細だね」と言います。そんな私を「付き合いにくい人だ」と離れていく人の方が多かった。
友人だって、段々と私との付き合いも無くなっていき、最終的に他の仲の良い友人と遊んでいました。
でも、こんな私でも、諦めずに話しかけてくれた人がいた。
あなたは私なんかとは違って、明るく向日葵のような性格で、運動ができるスポーツマン。
私の方はというと、大人しめで蜜蜂に蜜を吸いに来てくれないといけないような性格で、運動は大の苦手。
「おれと、付き合ってくれない?」
最初その言葉を聞いた時、戸惑ってしまいました。確かに何度かお出掛けにご一緒させてもらうことはあったけれど、なんで私に?もっと他にいい人が、と、そう思いました。
「君じゃなきゃダメなんだ、君がいいんだ」
そう言ってくれたあなたの目は、本物で。
自分が「人と関わる」ということを、ちゃんとできた、はじめての人でしたので、その告白に、「こちらこそ」とお返事をさせていただきました。
「…ありがとね。」
「え?なにが?」
「ううん、なんでもない。」
繊細な花に、一人の人が見惚れた。
_2023.6.25「繊細な花」
この世には、名も知られない存在がさて、幾億とあるのだろうか。誰にも知られず、あるいは誰からもあるがままに意に介されず、そうして存在の意義を曖昧にするものが。道端に陽を探すこの小花もその一つと言えるだろう。風に吹かれ、排気を浴び、雑踏を見逃すだけの存在に、誰が意識をむけるだろうか。情報と知識の飽和した社会では、その手にした端末をひょいといじれば、この花の存在は明らかになる。しかしてその存在が、その端末に光らせた画面を消して、幾許もつものか。
何もせずにただそこにあるだけの存在が、人の意識に介入できる余白はそう多くはない。それが風に儚い花であろうとも、社会から隔絶された扉に阻まれた少年であろうともだ。
花びらは薄く、命の筋が見える。繊細な花は美しい。臆病で、泣き虫で、傷つきやすいあなたの心も美しい。
生い茂った緑で際立った色彩を放ち、
また枯葉積もる色を失った影の中に光を放つかのように、野生の私達は魅了される。
花。
感情や自己主張することはない、その姿以外に。
繊細な人。と私は言われる。
嫌な気しかしない、図太い奴から言われると精神的に弱いとか傷付きやすいとか相場が決まっている。
無神経な人たちの集まりで存分に傷付けあって強く鍛え上げればいいと思っているし、繊細な人を見て優越感を得る必要はない。彼らは繊細な人たちの上に立つ人たちでもない。
花は、ちぎられて踏み潰され枯れ風に飛ばされていく。
しかし根は今でもしっかりと根付き何度も何度も花を咲かせる。
この世では生きるためには繊細さが必要だ、我ら哺乳類の生き延びた理由だと聞いだことがある。
人を傷付けてしまって自分も苦しむ貴方が美しく感じるから。
また平気な顔をして明日も戦う。
繊細な花
「イメージ通りだわ!」
女性は目を潤ませながら喜ぶ。目の前にあるのは、柔らかい色をした白のウェディングドレスで、ふわりと広がるAラインが美しかった。胸元のレースはとても丁寧で、繊細な花があしらわれている。
ほぅ、と思わず見惚れてしまうようなそれは、女性がイメージしたドレスそのもので、非常に大満足だった。
「ありがとう。これを着られるのがとっても楽しみ」
女性はそっとドレスに触れる。
女性の柔らかそうな雰囲気によく合うそのドレスはオーダーメイドで作られたものだったが、写真を見た他の女性たちから、自分もこのドレスを着てみたい、と希望が殺到した。
女性はそれを聞いて大いに喜び、ぜひ色んな人にも、とそのドレスを定番化することに了承した。
そうしてそのドレスには、女性の名前でもある胸元にあしらわれた花の名前が名付けられた。
繊細な花
それは儚く、触れるだけで散ってしまうような“花”
それは美しく、見た者が全員惚れてしまうような“花”
それは私にとって、程遠い存在の“花”
そんな風に言われているはずの“花”が、どうして、私と一緒にいるんだろう。
そんな事を思っていると、一緒にいる“花”に言われた。
「“華”って繊細だよね。」
「“華”って触れちゃうだけで、花びらになって散っちゃいそう。」
「“華”って綺麗だよねぇ。見た人みんなが惚れちゃうんじゃない?」
そよ風でも折れてしまいそうで
小雨でも散ってしまいそうで
僅かな光でも萎れてしまいそうで
虫が傍を飛んだだけで枯れてしまいそう。
だから目が離せない。
だから仕舞っておかなくちゃ。
可愛い可愛い私の大事な宝物。
毎日毎日お世話をしていたのに
あなたはどんどんさの鮮やかさを失って
最後には枯れてしまった
遥かに短く儚い命
それでもあなたはキレイだった
私もいつかはあなたのように枯れてしまうのだろう
最期はあなたみたいに美しく散れたらいいな
たくさんの黒い粒が規則正しく並べられ、大きな茶色い玉の中に収まっていた。
四尺玉の打ち上げ花火、子供の身長程の球体。
こんなに大きな物体を上空800メートルまで打ち上げるなんて。
素直に凄いと思った。
真っ暗な空に咲く、特大の花火。
今年も無事に打ち上がることを願う。
テーマ「繊細な花」
終末在宅医療に関する映画を見た。母の介護のことを思い出したり後悔したり、父の時にはやるべき事を全然できなかった事を改めて考えさせられたり、自分はどうなるのかと不安になったり…
繊細な花
花開くときはあなたの傍で、美しい私を愛してください
枯れ果てるときは醜い私を見る前に、どうか捨て去ってください。
人には、それぞれ心の中に花がある。その花は個人差があれどとても繊細で傷つきやすいもの。心無い言葉を浴び続ければ元気を無くしてやがて枯れ、あたたかい言葉を浴び続ければ元気になってやがてとてもきれいな花を咲かせる。だからこそ人は愛情を持って互いにあたたかい言葉をかけ続ければやがて心のなかにある種は成長し蕾になって花開く
『繊細な花』
あたたかくて、やわらかい春風にも
ハラハラと散っていく
桜の花
できたての綿菓子を
小さくちぎったみたいな
かすみ草
春に粉雪が積ったみたいな
ユキヤナギ
みんなきれいで、優美でしょう?
だけども私は思うのよ
幼いあの日に私らが
花輪作りや占いで遊ぶときに摘んでいた
野原に咲いてる名も知らぬ花たちこそが
実は私の知る中で、
いちばん繊細な花なんじゃないだろかって
私、今頃になって思うのよ
繊細な花が、かつてそこには咲いていた。
あの瓦礫と死体の中で、確かにそこに咲いていた。
今はもう忘れられたが、確かにそこに咲いていた。
ソレを履帯と半長靴がグシャリと踏み超えて進む。
泣く声も朗報にかき消された、戦災の花。