『終点』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
真夜中に起きてしまって眠れない時、散歩をする。
流石に真っ暗で危ないから、こういう時は決まった道を歩く。
片道30分くらいのところにあるコンビニでカフェオレを買って折り返すのがお決まりのパターン。
内照式のファザード看板は左側が点滅していて
田舎という訳でもないのに、それにしては駐車場が広くて
そして、やけに漫画の品揃えが良い
何の変哲もないコンビニ。
車を止めておくことも、漫画を買うこともないのだから、別のコンビニでもいいはずなのに。あと2、3分歩けば辿り着く所だっていくつかあるのに。
看板の点滅が消えていないかどうか確認するのはちょっとした癖になっちゃったんだけど、、ともかく、そこでなくたっていい筈なのに。
そろそろだ。
見えてきた、右手をチカチカさせて私を歓迎してくれている。今夜も元気そうでなによりだ。夜風が秋めいてきたから今日は暖かいカフェオレにしようかな?ちょっと気が早いかな?
私だけの終点はすぐそこ。
#終点
終点でバスを降りた。
昼ごはんを食べ、民宿へ入る。
夜、僕はそこで好きな人の、"好きな人"だった人の、首を絞めた。
きつく。ぐっと力を入れた。
僕は許せなかった。楽しい思い出が、苦しい気持ちに変わっていくのが許せなかった。
2週間前、僕は君から知らない男と寝た話を聞かされた。
結局、君も"そういう人"だったのだ。
一緒に行ったライブも北海道旅行も、よく行ったコンビニも、全ての楽しい思い出が自分の中で苦しいものに変わっていくのが分かった。
だから僕の片想いは僕が終わらせた。
終点
人生ってよく電車に例えられる。
着く場所それぞれに駅名があって、
その駅に着くために頑張ってるみたいな。
でも、その列車は唯一無二で、
一緒に乗っている人や見える景色、速さも違う。
でも突然、『終点』の二文字が見えてくる。
いや、着いてから気付くのかな。
意外とすぐ終わるのかも。
後悔はたくさんすると思う。
だけど、私が私らしくいられますように。
人生の終点はどこなのだろうと夜になると考えることが増えた気がする。
夜はどうしても様々なことを考えてしまう癖がある
この癖を早く辞めたいと最近考えている
逃避行の旅に出よう
あなたと一緒ならどこまでも
_終点
欠落を流れている光だけが夢見の悪い尾びれを尾びれたらしめている
『終点』
月並みだけど、人生を電車に例えたとして。
私はきっと途中下車もできずに、
真っ直ぐ終点に向かっていく。
買い物も、
会いに行く人も、
ただ気まぐれな寄り道もないまま、
終点までの片道切符を握りしめて、
だんだん客の減る快速電車で骸になる。
私は独りでただ終点の花畑を夢に見る。
たどり着くのは、きみと一緒に。
そう思ってのばした手が重なる。
終わりの始まりを、告げる音がした。
終点はセピア色 ポケットの内側
有効切れの切符と鍵だけが帰り道を示している
「終点は始点」
小学生の頃の話だ。
習い事のため、ある街へと通っていた。
週に一度。
同時の小学三、四年生にとって、ひとりで路面電車に乗って通うことは、大冒険。
降りる停留所のいくつか先が終点で、それに憧れを抱きつつも、行ってみる勇気は当時の私には、なかった。
それ以上行けない。
そのことがほんの少しだけ怖い気がしたのだ。
そのせいだろうか。
今でも終点というものは、特別で、冒険の香りがする、憧れの場所だった。
※
今回の帰省の目的のひとつは、子供の頃に行けなかった、路面電車の端まで乗ること。
この街のシンボルは変わらないのに、その周りはどんどん変わっていく。
育った街の景色を懐かしく感じるのに、それと同時に、もうこの街の住人ではないのだと思い知らされる。
大人になって気づいた。
終点と言うけれど、それは乗っている人の視点なのだ。
別の人から見たら、ここからが始まり。
変わっていない景色と、変わり過ぎてしまった景色。
今の私が目新しく感じるものも、月日が経てば懐かしく感じるのだろう。
────終点
終点。私がよく使う朝の電車は会社の最寄り駅までが終点である。わずか二駅で私は終点なので一駅は動画を見ても残り一駅は睡眠に集中する。
寝ぼけている私は一度、傘を置き忘れそうになった。、、と、言うか実際、ひっかけたままの傘に気づき、数秒で戻ったのだが。。駅員さんが私の傘を持っている。あのぅ、私の傘なんですが。置き忘れて急いで取りに来たのですが。と伝えると、すんなり返してくれると思いきや、「これは、私が拾得したのでまずは、報告をせねばなりません。なので、上まで来て頂けますか!」と。。ええっ??私の傘だと、本人が言っているのに!!意地悪か!!と。
仕方ないので、同行した。
すると、改札横で駅員同士で数秒話をしている。話が終わるやいなや、私が名乗り出た所、その駅員さんはにっこり笑顔で、「はいっ!」と渡してくれ、「手続きなんでね。」と。とりあえず傘が手元に戻り、会社にも遅刻もせずに済んだのだが、無愛想に私の傘をむんずと持ち、持論を展開しては本人などいないかのごとく、手続きをしていなくなった彼には今、こうして書いていても苛立ちが再燃するのである。
すんなり返してくれた駅員さん同様に、「手続きなんでね。」と、同行を促してくれたらあんなに呼吸も乱れずにすんだのに!!歯がゆいばかりである。
教訓。傘はお忘れずに!笑
「ねぇゲームしよ」
ふと君が言った。
んー?と君のもとに行き何をするのかと聞くと
画面に納得。
いいよと自分もゲームを開いた。
そしてステージを選ぶ画面で顔を見合わせる。
「ステージは?」
「そりゃあまずは」
「「終点!!」」
だよねと笑った2人は隣同士。
肩を並べて競い合った。
列車の旅というのは不思議だ。
肘をついて流れる景色をぼんやり眺めていると、様々な思いが湧き上がっては通り抜けていく。
これから向かう目的地への期待と不安、流れては去っていく景色への感嘆と興奮、そして故郷への郷愁――。
一人で列車に揺られていると尚更そんな事を感じる。
パートナーなり友人なりがいたらまた違ったものを感じるのだろう。そもそも仲間がいたら、彼等との会話や体験に夢中で考え事をする暇も無いのかも知れない。
·····いや、分からないな。
旅といえば一人旅がほとんどだった私には、誰かと共にする旅の感慨などというものは、想像の範囲を出ない。
よく人生を旅に例える事があるが、だとすれば私の人生は決して一人旅などでは無かった。むしろ多くの人に支えられ、多くの人と共に歩いた人生だった。
私が不意に旅に出ることを思い立つのは、一人になりたいからなのかもしれない。
列車は速度を落としていく。
そろそろ終点だ。
小さな港町だという。観光地でも何でもないそこには宿は一軒しか無い。時間と金には余裕があった。飽きるまでその宿で過ごして、町をぶらぶらして、私は私の旅を終わらせるつもりだ。
コンクリート造りのホームが見えてくる。
終点のその駅は無人駅だった。
列車が軋んだ金属音を響かせて止まる。
ホームに降り立つと冷たい風が頬を撫でて、私は思わず肩を竦める。
ちらちらと、細かな雪が降り始めていた。
END
「終点」
「時々、このまま終点まで行ってしまいたくなる」
電車の揺れに紛らわせて言ったつもりだった。
「椋、起きて。もう次で降りるよ」
しばらく乗っていた電車も人がまばらになり、数駅前から空っぽになった座席に座っていた。
大した時間は経っていないが、椋は眠ってしまっていたらしい。
夏油は、後輩の小さな肩を優しく揺らす。
……起きない。
「椋?大丈夫かい?」
そもそも椋は人前で無防備に眠れるような人間ではないのに、声をかけても起きないということは、相当疲れているのだろうか。
心配になり、夏油が顔を覗き込むも、その瞼はぴくりともしない。そう、不自然なほど全く動かない。
「……椋、起きてるね?」
「…ねてまぁす」
「起きてるじゃないか」
心配して損をした。
背もたれに体重をかけて座り直すと、右腕に重みがかかる。
「終点まで行っちゃおうよ、センパイ」
聞こえてたのか、と夏油は数十分前の自分に恥じる。
「ぼくは寝てる」
「起きてるけどね」
「センパイも寝てる」
「流石に無理があるかな」
「ふたりとも疲れて居眠りして、そのまま終点に着いちゃうんだよ」
椋は目を閉じたままだ。
あくまで寝ているというスタンスらしい。
「だめだよ、早く帰って報告書も出さないと」
「そんなのは後で考えようよぉ」
「行ってしまいたいなら、一度行っちゃおうよ。
それで、終点の景色を見てから、いっしょにかえろ」
椋の指は、夏油の袖を掴んで離さないつもりらしい。
この手綱があるなら、帰りは迷うことなく一本道だろう。
「…なら一度くらいは、いいか」
「でしょお?はい、げとーセンパイも寝ますよー!」
「はいはい」
夏油は右腕に寄り添う温もりを自らも掴んでから、目を閉じた。
【終点】
この旅の終点は、どこなのだろう。
ふと、そんなことを考えることが、ある。
目的を果たした時?
宝物を見つけた時?
私が、死んだ時? いや、それはない。
だって、私が死んでも、みんなは生きていくんだ。
虚弱体質な私とは、ちがう。
体質だけじゃない。全部、何もかも。
偶然でしか、ないんだ。でも、なんて素敵な偶然だろう。
みんなが旅の終点に辿り着いた時、たぶん私はそこにいない。
それでも、私の終点を、みんなは通るはずだ。
なら、みんなをちゃんと見送ろう。
みんなが、私に構わず、歩みを止めずにいられるように。
終点は、もう、そう遠くない。
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「終点」 2024. 8. 11
〈お題:終点〉ー評価:良作(凡作
ここが笑点です。
そしてここが終点です。
ーーー閑話休題。
「ねぇ!」と私が声を荒げれば彼は退屈そうに振り返って私を見つめる。
「何?」
彼の瞳は倦怠感に抗えぬ女々しい瞼の裏側で燻っていた。
「ゲームをしましょう」
どんなゲームにするか、全く考えていない私の発言に、彼は僅かにたじろいだ。
彼の興味を掻き立てるゲームなど私は思い付かない。二人で出来る比較的簡単な即席のゲームを提案したい。
「ゲームか、何のゲームするの?」
彼の脳が徐々に活性化していくのが分かる。
「ふふふ、当ててみて」
兎に角、時間稼ぎをしなければならない。
彼の期待するゲームを聞き出しつつ、既にゲームは始まっていると思わせながら今回やるゲームを決める。
「うーん…ボードゲーム系?」
彼が捻り出したゲームのジャンルはまさかの事前準備の必要な、本格的なゲーム。
「うん、そうだね」
電子ゲームを望んではないのだと私は知った。
彼の求めるゲームは本格的だった。すごろくとかどうだろうか。
「スピード?」
アキネーター?これはもう水平思考ゲームだ。
「いいえ」
反射的に否定してしまった。どうしようか。
…。
……。
「分からなかった」
彼が根を上げたので、その間に必死に考えたゲームを発表する事にした。
「今回するゲームは…人生ゲームです!」
私の宣言に彼はボードゲームの置かれた棚を一瞥する。
「そうですか」
彼の関心が移ろいだのを見抜く。
何年も一緒にいればこれくらい朝飯前だ。
「あー…二人だけだし、後片付け大変か…。トランプのスピードの方がいいかも」
執着してるわけではないだろうけれど、彼の求めたゲームにしたほうがお互い楽しめるはず。
「おけ、トランプ持ってくるわ」
私は今、彼の求めた終着点にまた一歩近付いたことに満足している。
終点は愛する夫のもとである
終点は愛する妻のもとである
二人してそう思った
これからも終点である二人での生活を
おもいっきり楽しもう
永遠に
終点?
人生の終点なの?それとも、電車??
電車の終点はどうやって決まるんですかねぇ。
一つ思ってることがあって、自分が死ぬときには、今までの人生を思い出して、笑いたいです。だからいろんなことを経験したいです。
人生の終点はどこだろう
人は誰しも必ず終わりがくるのに
まるで終わりが永遠に来ないかのように生きている
そんな気がするのは私だけだろうか
死んでしまったらどこに行くのだろうと、そんなことを考えたことがある。でもユートピアにいる今となってはもう死んだなんていう事項は残念ながら訪れないのかもしれない。
そんなことを思っていたある日、演奏者くんが元天使様であるということを知った。
「……………………マジで?」
「ああ、そうだ」
とくに驚くべきことでもない、なんて言うふうに彼は言った。
「……死んだ人もそこにいるの?」
「…………いや、そんなことは」
「…………え?」
「死んだ人はまた別のところに行く。別に僕らが住んでいた場所が人間としての終点ってわけじゃない」
彼はそう言って笑った。
「でも、きみは例え人間だったとしても僕の住んでいた場所まで連れていくよ。そうしたいと、思ってるから」