〈お題:終点〉ー評価:駄作
ここが笑点です。
そしてここが終点です。
ーーー閑話休題。
「ねぇ!」と私が声を荒げれば彼は退屈そうに振り返って私を見つめる。
「何?」
彼の瞳は倦怠感に抗えぬ女々しい瞼の裏側で燻っていた。
「ゲームをしましょう」
どんなゲームにするか、全く考えていない私の発言に、彼は僅かにたじろいだ。
彼の興味を掻き立てるゲームなど私は思い付かない。二人で出来る比較的簡単な即席のゲームを提案したい。
「ゲームか、何のゲームするの?」
彼の脳が徐々に活性化していくのが分かる。
「ふふふ、当ててみて」
兎に角、時間稼ぎをしなければならない。
彼の期待するゲームを聞き出しつつ、既にゲームは始まっていると思わせながら今回やるゲームを決める。
「うーん…ボードゲーム系?」
彼が捻り出したゲームのジャンルはまさかの事前準備の必要な、本格的なゲーム。
「うん、そうだね」
電子ゲームを望んではないのだと私は知った。
彼の求めるゲームは本格的だった。すごろくとかどうだろうか。
「スピード?」
アキネーター?これはもう水平思考ゲームだ。
「いいえ」
反射的に否定してしまった。どうしようか。
…。
……。
「分からなかった」
彼が根を上げたので、その間に必死に考えたゲームを発表する事にした。
「今回するゲームは…人生ゲームです!」
私の宣言に彼はボードゲームの置かれた棚を一瞥する。
「そうですか」
彼の関心が移ろいだのを見抜く。
何年も一緒にいればこれくらい朝飯前だ。
「あー…二人だけだし、後片付け大変か…。トランプのスピードの方がいいかも」
執着してるわけではないだろうけれど、彼の求めたゲームにしたほうがお互い楽しめるはず。
「おけ、トランプ持ってくるわ」
私は今、彼の求めた終着点にまた一歩近付いたことに満足している。
8/10/2024, 4:02:26 PM