〈お題:明日世界が終わるなら…〉
明日世界が終わるなら。
時刻は23:27分。
明日世界が終わるらしい。
その実感は無い。僕は最後まで信じることはないのだろう。
そんな時、“アイツなら”。
疑いを知らない“あの子なら”。
残りの30分を恐怖に苛まれながら死んでいくのだろうか。誰も“嘘だよ”と伝えないから。
ネットには陰謀論が飛び交って、それ見て冷笑する人たちがいて、そうして“彼女は”死んでいく。
パニックになって動けないでいるだろうから、会いに行こう。
今から行っても20分は掛かるに違いない。
明日世界が終わるなら…後悔はしたくないから。
そんな事を考えているだけで時間が過ぎて、あぁ、もったいない。
「会いたい」とメッセージを送っても連絡が取れない。だから「好きだよ」と伝えて走り出す。
明日世界が終わるのに、運動不足をこんなにも疎ましく思うのか。
明日世界が終わるのに、どんな顔して会えばいいのかわからない。
どうせ明日には世界が終わるんだ。
塞ぎ込んだ彼女を前にする。
伝えよう。
「ありがとう」過去を振り返る暇はない。
困惑した彼女に構う暇がない。
もう時間がない。
明日世界が終わるなら、未来のために今日を語る事だって出来る。彼女に“嘘だよ”と伝えたい。
「ありがとう、大好きだよ」
僕は最後まで信じることはないのだろう。
〈お題:君と出逢って、〉
私の日常は、変わりました。
君の声はとても暖かい。
柔らかな光を浴びるような。
「スッと力が抜けるようだ。」と私は思う。
君の笑顔に私は心を乱されました。
穏やかな日常の確かな充足感と、行き場の失った弱さに夢を見ているようだった。
たらればを語ろうと過去に縋る私の醜さよ。
利用されることも、利用することも。
何も私には言えない。
理不尽と罵ることも、運命と断ずることも。
偏に君は其処に居た。
それだけで君の日常は変わったのだろうか。
私を変えることもまた君の日常だったのか。
僕は僕の心を分からない。
だから君を分からない。
君と出逢って、それからは。
それから、出逢いと別れの縁に立って。
今を語るのは、未来のためになるのだろうか。
僕が君と交わって、出逢いなどなかったかのような時間を過ごす。
その先のほつれた糸を結える時が来るのだろうか。
君と出逢って、どこ吹く風の思うがままに。
〈怖がり〉
お揃いの服を着ている。
確かに私は見ている。
赤く大理石を塗り替えているのです。
君とお揃いの服を着ている。
君が静寂を見つめるから。
君の震えは、寒さは、昂揚する。
君が目を奪われたその光景は分からない。
紅い服。お揃いの服。
不服かね?私はそうは思わない。
君が服従したその瞬間を私は見届けた。
強張った指先。私の心は心底震えている。
お揃いの服を着ている。
確かに私は服を着ているのに、震えている。
〈お題:遠い足跡〉
未来に背を向けたなら目の前に広がるのは高い壁。高みを下り続けた昨日までを、這い続けた過去に足跡を確認するのは難しい。
今日、過去を振り返る。
過去を決別する第一歩として。
これから遠くに、有志と夢を時間の許す限り、二人三脚で千鳥足ながらも歩みたい。
此処からでは想像もできないような未来に足跡を残せるくらいに。
その一歩を密かに踏み締めて強く想う。
〈お題:誰もいない教室〉
廃校になった。或いは閉鎖された。更には休校日など、候補はあるけれど、僕は殺風景としか形容できない教壇と丁寧に並べられた机と椅子を認めた。
僕は徐に、そして赴くままに教壇に手を掛けて教室を見渡した。この空間の唯一の観測者にして、干渉者。埃の在り方すら定める立場に立っていることを確信した。
今いる場所こそが、大地を踏み締めた痕跡のみが覇道。朝、陽の光を淫らに反射するだけが畏怖の証明。
___歩を進める度、舞い上がる塵。
深く息を吸う。“ゲッッ…