〈お題:またいつか〉
その日は曇りのどんよりとした天気で、二時間もしないうちに雨が降り出しそうだった。
雨雲が泥流している。
そんな天気を見ながら公園を歩く。
一人は何を思ってか空を見上げて歩いている。
僕はこの先の車に乗り込んで何処へ向かうかを考えている。
ふと、公園の入り口で僕が立ち止まる。
「もう時間か」
もう一人はそれを知っていたのだ。
「そうだね」
それだけいうと鼻先に水が当たったことをぽつりと言った。
もう太陽は隠れてしまった。
時間を示す物は無機質な機械だけ。
冷たく冷えたエンジンが唸って帰りを促した。
街灯が帰り道を照らし始めて、公園の入り口が遠く。
「そういえば、あ、雨だ」
ついに雨音がもう一人の言葉を奪ってしまった。
ワイパーに頼って微かにスピードを落とす。
あぁ、これでお別れか。
各々に今日を振り返って、別れ際に一言だけ告げる。
「また、いつか遊べる日があったらLINEして」
俺はそれに頷いて別れを告げた。
7/22/2025, 11:07:06 PM