『終点』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
「終点」
あなたが悪いわけじゃない。
世間体とか周りの重圧に、私が耐えきれないだけ。
同棲も結婚も、子供も。
そうしなくちゃいけないと、追い詰めてくる。
好きという気持ちだけじゃ、
周りは祝福してくれないの。
あなたが好きだから
あなたの邪魔になりたくない。
これは私のエゴだ。
たたん、たたん。
金属の軋む音が、リズミカルに歌う。
黄色い線の内側で、車輪に踏みつけられて撓む線路をぼんやり眺めていた。
通過する電車、停まって人を吐き出す電車、回送電車…
今日は何両の電車を見送っただろうか。
たたん、たたん。
どの電車も、やがて呑気に線路を踏み締めながら、走り続ける。
ベクトルABの終点は点B。
ベクトルは、世界にあまねく力を図にしたものだから、ベクトルの終点は即ち、力が行き着く最後の作用点。
終点は力の終着点。
力は流れる。
終点を経由して、別の終点へ。
終点を経由して、別の終点へ。
終点を経由して、別の終点へ。
下へ、下へ。
だから仕方ない。
お客様が店員や職員の失敗を執拗に責めてしまうのも。
上司が部下を怒鳴りつけて心身を破壊してしまうのも。
同僚同士ですらストレスををぶつけ合って仲良く出来ないのも。
どんな環境の人間関係の中でも、悪口とイジメの影が差しているのも。
仕方ない。
仕方ないのだ。
誰でも終点で、誰でも始点だから。
頭では分かっている。
分かっているのだ。
…分かって、受け入れていたはずだったのだ。
たたん、たたん。
去っていく電車の足音が聞こえる。
電車は走るのが楽しくて仕方なさそうだ。
その胃の中に抱えている人間たちとは裏腹に。
電車は終点に向かって、その後に折り返して、終点を始点に変えて、終点へ向かう。
たたん、たたん、と鼻歌を歌いながら。
何度も、何度も、永遠に。
終点は終わりじゃない。
誰かが終点を迎えたとして、それはちょっとの間だけ、誰かに迷惑をかけて、誰かのストレスの始点となって、迷惑をかけながら永遠に続く。
本当の終点なんてない。
それも分かっていた。
分かっていたのに。
それでも、それでも。
今日が私の終点。
心がもたなくなってしまった。
今日が私の終点。
黄色い線からはみ出る。
線路を覗き込む。
電車に踏みつけられて、擦り切れた線路。
尖った小石が敷き詰められた棺の中に横たわっている。
たたん、たたん。
たたん、たたん。
鼓膜に電車の鼻歌が焼き付いていた。
揺られた先の『終点』ではないけれど。
確かにここが自分の終点だと信じてバスを降りた。
もう少し先に行けば何か変わるのだろうか。
知らない終わりの停留所。
ボタンを押さない、終わりの場所。
きっと、もっとよい未来なのかもしれないから。
なんて、選びもしないけれど。
確かにここが僕の終わりの場所。
どこにいても必ず帰って来る場所。
題 終点
この電車に乗って終点まで行ってしまいたいなぁ
僕は不意にそんなことを思う。
用なんてない。
だけどこのぎゅうぎゅう詰めの満員電車に乗って、家に帰宅して、暗い一人の部屋でお風呂沸かして・・・。
ゴミも捨てなきゃ、掃除もしなきゃ・・・そんな気持ち全て放棄したいんだ。
僕が電車の窓から見上げると、そこには暗い星空に瞬く星々と淡い光の月。
優しい世界は僕の気持ちととことん乖離していて・・・。
僕は家に帰りたくない。
家に帰りたくない。
どこかへ行きたい。
それが終点なら、行ってみたい。
知らない街に降り立って、静かな夜を歩いてみたい。
どうしてもそうしたくて。
僕は最寄りの駅を通り過ぎた。
通り過ぎた時、凄く爽快感を覚えた。
そうだね、しょせん逃避だって分かってるよ。
でもさ、たまには逃げることだって必要だよ。
だっていつもと変わらない日常はなにも変化がないけど、少なくともこの先に待っているのは僕にとって未知なんだから。
終点。
人生には終点がある。
その終点をどこに置くか、それは自分で自由に決めることができる。
終点をどこに置こうがその人の自由だ。
僕は終点を今は見えない、かなり先に起きたいと思っている。
それが良いことなのかは分からないけど、長い距離を繋ぐ、人生という名の線路を少しでも長く紡いでいきたい。
病気で、事故で、老衰で終点を迎えるまで終われない
終点まで1世紀
そんな洗脳、解いてしまおう
私の終点は私が決める。
運命なんてない。自分で歩いてきた。
誰にも認められなくても、いけないことでも
私が決める。私の終点
離脱します。私のために。
人生の終点をここで迎えてしまおう
私だけのために
ローカル線の終点に着いた
田んぼの広がる路線
名物は見つけられなかったが
穏やかな時間が流れる
忙しない日常を忘れるにはぴったりだ
ここで心を少し休めたら
また日常に戻るとするか
「終点ですよ、お客さん!」
!
「ぁすいません!降ります!」
またやらかしてしまった、これで何度目だ?
寝過ごして駅の終点まで来てしまった。
最悪終電じゃなかったからいいが、
ジリ貧就活生にはいたい出費だ。
「もう歩いて帰るかぁ…?」
「あれ、久しぶり!翔くん、だよね?」
「んぅ〜?すいません、誰ですか?」
「あ、そっか君は見たことないよね僕のこと。」
「僕は、君のお父さんだよ!」
「終点〜終点〜」
電車内のアナウンス
乗客は僕1人
「お客様、終点ですので降りてください。」
口調や声色が強い気がした
「もう戻れませんので、早めに降りてください。」
どう言う意味かは分からなかった
指示に従って降りた
「ここは人生の終点です。」
駅員の声が響いた
お題「終点」
行き着いたら楽になるかも
何が待ってるのかなぁ
その時後悔しなかったら いいや
✼•┈┈終点┈┈•✼
終点
何だかテレサ・テンの曲にありそうなタイトルです。(怒られるわ)
今日のこと、
いつも飲んでるコーヒーを切らしちゃって、代わりの何かを探すとチャイティーの茶葉を発見!
そう言えば、インドカレー屋さんに行った時、勧められて買ったのを思い出した。
早速お湯を沸かし、茶葉を入れて煮立ったところにミルクをたっぷり入れる。
再び沸いたら、大目にお砂糖を入れて出来上がり。簡単。
(美味し!)思わずにんまりです。“いつもの”がある安心感もいいけど、“代わりのもの”がいい仕事をしてくれた時の喜びもこれまた嬉し。
それにたっぷり含まれたスパイスのせいでしょうか。
暑くて、ん?熱くて?(どっちだ?)汗が止まらない。
夏に飲むものじゃなかったなと思ったりして。確か、買ったのは冬でした。
でもまた飲みます。店員さん勧めてくれてありがとうと伝えたい。
って、何の話をしてるんだろう。
その昔、若かりし時住んでいた大都会での出来事を書こうと思ったのに。
ま、私鉄で寝過ごして終点まで行ったってゆー、しょうもない話だから書かないほうがよかったかな。
ではまた。
end
「性別」
俺はまず言っておかなきゃいけない事がある
それは俺が「女」と言う事だ
でもなぜ「俺」と言ってるかと言うと、それは分からない
突然自分の事を「俺 」と呼ぶようになったからだ
呼び名だけでなく性格まで激変いや、変化をした
性格は前より男の子っぽくなった
やっぱり髪を切ったら雰囲気も心も変わるんだなと身をもって知った
それから性格が代わり恋愛対象も変わった
前は付き合うなら男がいい女は有り得ないと思っていたが
気づいたら恋愛対象が男女どちらともになっていた。
それで気づいた事があるんだ
「性別」なんて今の時代は関係ないのでわ?と
なぜ性別に囚われながら生きなきゃ行けないのか
なぜ昔の世代の人は「性別」に囚われているのだろうか
私の母はよく言う「女だからもっと可愛い服着なさい」
「女の子っぽくしなさい」と
俺は窮屈だ。
性別が男だったら良かったといつの間にか願うようにもなっていた
もちろん生まれた時に性別を付け区別するのも仕方ないし
当たり前なんだろうけどさ、分かって欲しいよね
それにトランスジェンダーの人達が結婚できるように早く
政府も動いて欲しいと思った
17.終点 だいやち
ついにこの時が来てしまった……。そう、親への結婚のご挨拶だ。今回は私の母に挨拶をしに行く。結婚相手である大地さんの実家には来週末伺うことになっている。
少し気の強い母のことを思うと母の住むマンションへ向かう足取りがちょっとばかり重たくなる。太陽が見せかけだけの温もりを振りまく中、冷たい北風が吹き抜けていった。
目の前に迫った玄関の扉が、かつては私に家に帰ってきたという安心感を与えてくれるものだったのになんだか恐ろしいものに思えてくる。
緊張して震えそうな足に力をいれ、斜め上に視線を動かすと少し硬い顔をした大地さんの顔が目に入った。
(そっか。大地さんも緊張してるんだな)
そう思うともうちょっと踏ん張りが効くようになったと思う。
「じゃあ、いくぞ」
大地さんの言葉に頷くと横にあるインターホンが押された。いよいよ逃げ出すことも出来なくなってしまった。
暫くすると玄関のドアが開きお母さん……ではなく昔から馴染みがあるお母さんの部下の佐藤さんが顔を覗かせた。その事に驚きつつ、ここに突っ立っている訳にも行かないので玄関に入った。
お母さんは玄関の中にいて、家に入ってきた私たちを一旦は歓迎して部屋まであんないしてくれた。
「はじめまして澤村大地と申します。こちらお好きだと伺ったので」
大地さんは顔に作った笑顔を貼り付けて手土産を渡していた。勧められるままソファに腰掛けるとお母さんと佐藤さんが机を挟んだ反対側に腰を下ろした。どうやら佐藤さんも参加するらしい。
「すみませんが僕も参加させてもらいますね。ああ、僕は佐藤一平と言います。よろしく」
そこから暫くは雑談をして、話も途切れてきた頃を見計らって大地さんが本題を持ち出した。
「仁花さんと結婚したいと思っています。2人の結婚を許していただけますか?」
「わ、私からも……お願いします!」
その言葉を聞くとお母さんの顔が少し険しくなったように思う。
「そうね……。澤村くんは警察官なのよね?私は仁花からまだデザインの仕事は続けたいと聞いているのだけれど、その辺話はできているのかしら。まあそれに限らず今後のことはしっかり詰められているかしら」
「はい。仁花さんの気持ちも共有できていて、仁花さんの気持ちを尊重することになってます」
大地さんは緊張した面持ちでただしっかりとそう答えるとお母さんはこちらに顔を向けてくる。
「私も、警察官の特性だったり不安定さは理解してるし大丈夫だよ」
そう言い切ると、大して喋った訳でもないのにとてつもなくかわいてしまった喉を潤すべく出されていたお茶を飲む。ほっと一息、と落ち着く間もなく新しい問いが投げかけられた。
「確かに互いの思いを尊重するのも大切だけど行き過ぎて疎遠になったり、居心地が悪くなったりしたらどうするの?それこそ浮気とか」
「いえ、尊重するからって放置したり遠ざけたりはしませんし、浮気なんかさせません」
お母さんの発した浮気という言葉に私が反論する前に大地さんが素早く言い切った。
「仁花は私のものだ!ってそういうことかしら」
「ええ、まあ。そういう感じです」
お母さんがニヤリと言う言葉がぴったりな表情でそういうと、大地さんは訝しいといったようにそう答えた。
「なるほどね。じゃあ、あなたは仁花を貰えるわけだけど仁花は何を貰えるのかしら?」
お母さんの言葉を聞き焦った佐藤さんがお母さんをなだめようとする。
「わ、私は大地さんの全部を貰うんで大丈夫です!」
私の言葉にだいちさん含め全員が驚きこちらを見て固まってしまった。
「そ、そう。まあそうね。今日実際あってみても今まで仁花から聞いていた通り誠実でいい人そうだし、仁花が幸せになれるなら私は大賛成よ」
何とか言葉を発したお母さんは1呼吸おいてからそう言って微笑んだ。
「ふぅ」
緊張の解けた私はやっと体から力を抜くことが出来た。ふと視線を感じ横を向くと大地さんがこちらを見て微笑んでいた。
恥ずかしくなってお母さんたちの方を見ると少し泣きそうになっているお母さんを佐藤さんがなだめていた。
「それじゃあ結婚式楽しみにしてるよ」
私たちを玄関まで送ってくれた佐藤さんは笑顔でそういってくれた。
「それじゃあ失礼しました」
外に出ると冷たい北風がふいてきたが、今回は体のうちから湧いてくる暖かさによってあまり冷たく感じなかった。
*******
2人が帰ったあと
佐「僕は大丈夫だ思ってましたけどね」
母「何よ、このこと聞いた時からずっと心配してたく
せに」
佐「円さん、目が涙で潤んでますよ」
降りるはずの駅を乗り過ごして
このまま遠くへ行きたい
この緊張感や苦痛から解放されたい
想像してはため息ひとつ
いつもの駅で降りる朝
終点
人生の終点はどこだろうか
「死」なのかはたまた「自分の夢が叶った時」なのか
自分の終点はいつ来るのだろうか
明日かもしれない
人生の始点はどこだろうか
「産まれた時」なのかはたまた「夢を持った時」なのか
自分の始点はいつからだろうか
今日かもしれない
テーブルに突っ伏しゆっくりと呼吸するサラリーマン。
ドリンクバーのジュースをチューチュー吸いながらひたすらスマホを眺める学生さん。
こんな時間でもPCを開いてカタカタやってる意欲的な女性。
ただよう気怠げな空気と絶望感。
時たま場違いに明るいチャイムが鳴り響き、新たな仲間の来訪を告げる。
その度に「ああ、お前もか」という謎の一体感が生まれて、すぐに溶ける。
これが終電で終点まで来てしまった者たちの末路。
24時間営業のファミレスにわざわざ深夜に行って、そんな人たちを観察するのが意外と好きだったりする。
20240810.NO.18.「終点」
終点
あー、終わった
終点ですよと車掌さんから優しく声をかけられ、トボトボと電車を降り、改札を出る。それと同時にPASMOからお金がごっそり取られる。ただの高校生にはキツい金額だ。後から考えれば、改札を出ずに下りの電車に乗ればよかっただけだけど、そんな考えは無かった。
駅から出てあてもなくひたすら歩く。今日サボることになってしまった学校のこととか今日の提出物とか、友達との約束も全部忘れて。
あー、まじで終わったー
声に出すだけで、絶望感は更々ない。
今考えてるのは——いや、なんも考えてなかったわ。
開けた場所に出ると海が見えた。午前9時という微妙な時間の太陽の光を浴びて海が輝いていた。潮風を受けつつ砂浜へ降りると、社会人っぽい女性がいた。
こんなところで何してるんですか?
こんな状況になると人見知りのタガは外れるらしい。もしかしたら自殺かなぁとか呑気に考える。
びっくりした…高校生?あなたこそ、何でここに?
寝てたら終電まで来ちゃいました。おねーさんもですか?
私は…終点じゃなくて始発。電車に乗ろうと思ったら、固まっちゃって、会社に休みの連絡して久々にボーっとしてるところ。
やっぱり社会人ってちゃんとしてますね〜。私は親にも学校にも連絡してません!
まぁ会社と学校じゃ、ちょっと違うから。
よかった、自殺じゃないみたい。でも、電車に乗れなくなったって言ってたから、何かあったのかな。
ない頭を使って必死に考える。そして導いた1つの答え
やっぱり、サボりといったら海ではしゃぐことだと思うんです。だから一緒に海入りましょう!
勢いよく立ち、おねーさんを見る。何言ってんだこいつって顔で見られてた。そんなのお構いなしに、手を取って海に走る。
あ、おねーさんズボンだから少ししか入れないですね。
すいません!私だけ結構入っちゃって!
戸惑うおねーさんを他所にじゃぶじゃぶ入る。スカートI折りでめちゃめちゃ上まで上げてるからね。朝だからか、水が少し冷たくて気持ちいい。
私、テストで赤点取って結構落ち込んでたんです。でもなんか、終電までずっと寝て起きて考えると、私じゃなくて先生のせいでは?って思ってきて、だって平均点が赤点越えてないって可笑しいでしょ!何だよ誰も褒められる点数とってないって!お前のせいなんだよー!!
ばーか!!!!!
思いの丈を全部言ってスッキリした。晴れ晴れとした顔で振り返ると、おねーさんが、初めて笑ってくれた。
それでね、おねーさんも濡れるの気にせず、入ってきてくれてね、一緒に叫んでストレス発散したの!めっちゃ楽しかった〜!
なんかよくわかんないけど、よかったね。で、赤点取ったにも関わらず、提出物出さないで、海で遊んでたお馬鹿さん?とっとと課題終わらせてくれる?
…はーい
楽しく遊んでいた時とは一変して、友達に睨まれながら学校で課題をやる羽目になってしまった。
また、いつか会えるといいな。
己の信じた青春が過去となってしまうことに怯えて日々を過ごしていた。確約されない光が変貌し、己を傷つける刃物となってしまうかもしれない未来に怯えて呼吸していた。過去にも、未来にも怯えていた。
今の私が、立つ場所は
No.9【終点】
本日のテーマ『終点』
これまでいろいろありながらも、なんとか生き延びてきた俺の道程に、ついに人生の終点が訪れた。
具体的に言うとエアコンが壊れてしまった。
リモコンを冷房に設定して温度を20℃に下げてもエアコンの送風口からぬるい風しか出てこないのだ。
まごうことなき死活問題である。なにしろ昨今は温暖化の悪化により気温35℃超えが当たり前の時代に突入している。さらに悪いことにモノで溢れた俺のアパートの一室は風の逃げ場が無く、室温は37℃に迫る勢いであった。
はっきりいって、夜でも35℃近い部屋で眠るのは拷問に近い……
俺はアパートの管理会社に修理の依頼の電話をした。
「あ、もしもし、すみません……〇〇の〇〇号室の梶ですが…エアコンが壊れてるみたいで修理をお願いしたいんですが……」
管理会社の方から業者の人に確認を取ってもらったところ、折り返しで電話があった。
それによると今はエアコン関係の修理やら取付けやらの依頼が込み合っていて、俺のところの修理は最短でも8月の半ば頃になるそうだ。
俺は深く絶望し、同時に激昂した。
「ふっざけんなよ!」
俺はスマホを壁に投げつけ大声で怒鳴りたてた。怒鳴りたてようとしたが……俺もいい歳をした大人なので、あくまで心の声にとどめ「あ、そうですか……じゃあ、それでよろしくお願いします……」と言って電話を切った。
さて、そういうわけで8月半ばまでエアコン無しで過ごさなければならなくなってしまったわけで。
そうなって一番困るのは、とにかく眠れないことだ。
いつもの生活パターンだと深夜0時~2時までに床につく俺であるが、エアコン無しだと暑くて眠れないのだ。汗がダラダラと溢れてくる。
首周りとふくらはぎの裏に大量のあせもまで出てきた。これはまずい……
とりあえず近所のドラッグストアで制汗剤スプレーを買って体にまぶしてから眠るようにしてみるとだいぶマシになった。が、汗の問題は解決しても温度の問題のほうは何も解決していない。
まさか暑いというのがこれほどまでに過酷だとはエアコンが壊れるまで想像もしていなかった。
エアコンがないと眠れない。眠れるのは室温がいい具合になる4~5時ぐらいになる。そうなると仕事にでかけるまでの時間を差し引いて数時間しか眠れないので疲れも取れない。
さらにエアコンをつけずに眠った後の寝起きは地獄だ。起きたて数十分は脳が煮だっている感じがして数十分は何も行動できなくなる。水分不足なのか、ふくらはぎやお腹の筋肉までつってきた。かなりヤバイ感じであった。
「夏に、ころされる……」
寝起き、ゴミに溢れた狭いアパートの一室で俺はひとしれず呟いた。
そこで俺は考えた。エアコンの修理の日まで、仕事終わりにネットカフェに立ち寄ってそのまま宿泊することにしてみた。
からあげをパックに詰め込むだけの仕事を終えると、その足で近くのスーパーに立ち寄って発泡酒とチューハイを買い、飲食物持ち込み可のネットカフェにチェックインする。もちろん選ぶのはフラット席だ。
このネカフェはナイトパック9時間で1800円と良心的でさらにシャワー料金が20分まで無料なので最高なのだ。
俺はシャワーを浴びて空調の効いた快適なフラットシートで無料の映画を見ながら発泡酒を飲んで最高のひと時を過ごした。
そんな生活を続けていると一週間ほどでお金がカツカツになってきた。
「ふっざけんなよ!」
俺はペイペイの残高を確認して声を荒げて叫んだ。が、俺もいい歳をした大人なので深呼吸をして心を落ち着け、自分を窘めた。
「ネカフェに泊るのはもうよそう……」
ということで今は暑さに耐えながらこの文を書いている。
業者さん、どうか俺の部屋のエアコンを一刻も早く直してください!
【終点】
私は今まで自分の道を自分で選んだことがない
いや、選んではいるけれど
どれも既に敷かれたレールの上にある
自分で敷いたものではない
何かが違う
こんな事がしたい訳じゃない
そんな違和感を覚えながらも
安全な道をただ言われた通りに歩いてきた
それでも君が私をこのレールから脱線させてくれて
その当時は君は私の邪魔をしているのだと思ってた
でも本当は世界の広さを教えてくれていた
私が見てきた世界はとても小さく
誰かが敷いたレールを辿っているだけだと
ようやく気づけた
私は初めて自分でレールを敷いた
目標となる終点は前と変わらないけれど
そこへの行き方は一つじゃない
寄り道をしてもいい
どんな路線でもそこへ辿り着くことはできる
どんな道にも必ず終わりがある
どんな路線でも必ず終点がある
そこに辿り着くまでに何ができるか
それが今私にとって大切なことで
私が生きる私のための道