『終点』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
終点で
あなたに会いたい
来世で
抱いてくれますか?
【終点】
前に思ったのは
物事だったり
事象だったり
時には対人関係だったり
あらゆる事柄における各終着点
これはここまでやるだとか
これはここで終わらせる
ここで終わっちゃいそう
ここまでは終われないなんて事もあったと思う
今思うのは
うっすら見えてきた
それら全ての終着点
永遠とすら思ってた時間も
もう半分は過ぎただろう
いつ終わるともしれない有限な時間に
あとどれだけの事を経験し
どれだけの事を詰め込めるのか
優先順位と取捨選択
慎重に
迅速に
12.
あの時、あの人は、どんな月を見ていたのだろう。
『I LOVE YOU』を"月が綺麗ですね"
と訳した彼の見た月は、どれほど綺麗だっただろう。
きっと、今私が見ている月よりも、はるかに綺麗で、はるかに美しかったのだろう。
愛する人と見る月は、どれほど綺麗だったのだろう。
人生の終着駅だと降りた目の前に列車が え?まだ続くの?
題-終点
終点
僕は誰とも一緒にならない
ペースを乱されたくない
きっと老後寂しいと言われ
結婚してひ孫を見せてと言われる
願いを叶えてあげたいけど
きっとすごく近くならないと
子供ってできないよね
もし子供ができたとして
僕はその子を愛せるの?
家族といても
学校にいても
謎の焦りと苛立ちで
全てを壊したくなるから
心配しないで寂しくなる前に
特急に乗って終点に行くから
たどり着いた場所が
目的地とは限らない
【終点】
ここから、あたしは何処へ行こう?
ガタンゴトン
ガタンゴトン
体に伝わる振動が、これから始まる旅への期待値を否が応でも高めてくれる。
私と先生は課外授業と称し、隣県にある恐竜博物館へと向かっていた。
きっかけは、金曜ロードショーで観た映画。翌日の授業中もずっと興奮状態だった私を見かねて、先生が提案してくれた。
私は恐竜に会えるワクワク感と、大好きな先生との旅行という至福の時間に心躍らせていた。
「先生、実際のヴェロキラプトルは映画のより小さかったって本当ですか?」
「そうらしいね。博物館で確かめたらいいですよ」
「はい、そうします!」
私は先生といられるのが嬉しくて、ついついたくさん話しかけた。先生は穏やかに笑って相手をしてくれた。
博物館は本当に楽しかった。いろいろな生き物の化石が見られたし、学芸員さんが面白い話を聞かせてくれたり、発掘体験をさせてくれたりした。これ以上ないほどの楽しい思い出となった。
はずなのだが。
「……先生、ここは?」
「……終点ですねぇ」
日中はしゃぎ過ぎた私は、帰りの電車の中で眠ってしまったらしい。小学生だし、それくらいは許してほしい。
ところが先生までもつられて寝入ってしまったらしく、私たちは見ず知らずの駅で降りる羽目になった。
たしかに、少しばかり先生を振り回してしまった自覚はある。でもまさか2人して寝過ごすとは。まったくの予想外だ。
「どうやって帰るんですか?」
「バスで、と思ったけど、この辺はもう終わっちゃってるね。仕方ない、高くつくけどタクシー呼びますか」
「お金足りるんですか?」
「心配ないですよ」
先生はそう言ってスマホを耳に当てた。
先生が電話している間、私は蟻の行列でも観察していよう。そう思ってしゃがもうとした時、先生が悲嘆の声をあげた。
「え、1台も無理なんですか?」
『ええ、今日その辺りでアイドルのイベントがあったようで。この時間は予約で埋まってるんです。申し訳ありません』
「そうですか……」
『2時間程したら空くと思いますが、どうされますか?』
「2時間……」
先生は私の顔を見た。
「いえ、大丈夫です。いえいえ、そんな。はい、ありがとうございます。失礼します」
電話を切った先生はふーっと息を吐いた。
「ホテルを探しましょう」
「やったあー!!」
ついに、念願の、先生とお泊り♡
私は人目もはばからずに万歳をした。
テーマ「終点」
雨が降っていた。
普段、通勤に使っているバスで、終点まで向かう。
降りたバス停は海岸沿いだった。
こんな所まで走ってたんだ。知らなかった。
傘をさして砂浜に降りる。
波は高く、遠くの岩場に激しい水しぶきが上がっている。
こんな日に来るべきじゃなかったな。
そもそも、来る必要がなかった場所だ。
突然、仕事が嫌になった。
出勤の途中、バスの中で「このままどこまでも行ってみよう」と思い立った。
よくある感傷行動だ。
バスなら、そんなに遠くまで行くこともない、と踏んでいたが。
我が県に海などない。
バスって県をまたいで運行してるんだっけ?
その辺は詳しくない。
とりあえず、雨をしのげる場所を探したが、海の家なども無く、海岸沿いの通りには住宅がちらほらと。
どこなんだ、ここは?スマホの電波も届いていないようだ。
仕方なく、傘をさしたまま、砂浜に座り込む。
二時間が過ぎた。
なんだか、頭がボーッとしている。
ここは…どこだ?
なんで私はこんなところにいるんだろう。
立ち上がる気力がない。
見ると、砂浜から数本の手が生えていて、私の足首やスーツの裾を掴んでいる。
…ああ、それで動けないのか。
なんだか妙に納得した。
もう、家には帰れないのかな。そんなことを思う。
これが、自分が望んだことなのかどうかも分からない。
ただ、成り行きに任せるのが一番だと、心の声が言っていた。
今までだってずっとそうやって生きてきたから。
「そろそろ帰ろうよ」
背後から、今は亡き妻の声。
座ったまま振り返るが、誰もいない。
だが、遠く離れたバス停に、見覚えのある姿が立っているように…見えた。
掴まれていたすべての手を振り切って、立ち上がり駆け出す。
…バス停には、誰もいなかった。
数分後にやって来たバスに乗って、海辺を後にする。
見知った自分の住む街に戻ってきた頃、職場からたくさんの着信、メールがあったことに気付く。
今日はこのまま家に帰ろう。明日は大変そうだ。
でも、明日を迎えられる自分がいることに感謝しよう。
テーマ「終点」
ああ短夜 終点までに 急ぐ足
終点……すなわち終わりの点、だろう
それは当たり前のことか。
彼は生き急いでいるかの如く、忙しなく走る電車を見て、ふと思った。
ガタン、ガタン─ガタン、ガタン─
この電車たちも終点へ向かっている。そしていずれ着き、また廻っていくのだ。
そんな喧騒も落ち着き、終電を迎えた頃。無人駅は心地よい静寂に包まれていた。
「…………………」
彼の瞳の中に、暗闇の中の銀の棒が映る。
夜明けを希望の象徴と捉えた先人は、何を思っていたのだろうか。
夜が終点で朝は出発点、になるのか。
こんな沈みこんだ出発点があってたまるか。
いや、思い込みだな。
─もうじきに、夜は明けてしまうだろう。
始まりは目が覚める前に始まって
終わりも知る前に眠るだろう
/お題「終点」より
始まりがあるからには終わりがある。
「頭では、理解してたんだよ」
そう唇を震わせたきみの手をとって、きみが安心するような言葉を投げ掛けたかった。
涙が零れそうな目元を拭って、笑いかけてみかった。
「…ごめん」
力なく放った言葉は酷く頼りなくて震えていた。
人の生は遅かれ早かれ終点というものにつくのだ。それは俺だって理解している。
俺はただ単にその道のりが短かっただけ。
「なんで、なんで」
ごめん。どうしたって自分じゃ止められない。
「生きてるじゃん、生きてるでしょ。なんでなんで死ななきゃいけないの…っ」
ごめん。
たぶんきみは僕に謝ってほしいわけじゃないんだろうけど、今はそれしか言えなさそうだ。
「自ら終点をつくらなくたっていいじゃん…っ」
ごめん。
ふ、と笑ってみせて、腕が掴まれる力が怯んだところで、俺は無事に暗い海に体を沈ませた。
─終点─ #29
只今、トレンドな話題をひとつ…
「南海大地震が来るかも!」と
連日連夜、メディアが騒いでいます。
私の住まいは、まさしく南海大地震が
くれば大きな被害にあうだろう地域です。
さて…あちらこちらで揺れていますが
私の周りを見る限り慌てふためいてる
人々はおりません…
コロナで騒ぎ、不景気で八方塞がり…
この酷暑も手伝って、皆ほとほと疲れて
いるようです…
私も同じく、揺れるなら揺れたらいい
……なんて感じで全く動じておりません
人生に「終点」があるのは間違いない
真実なんだから、それが津波か地震か?
まだ、やらねばならない事があれば
生き残るのでしょうね…
備蓄も少しはしてあるし、お米だけは
沢山保存してあるし…
私が、騒ぎの中で唯一やった事は
浴槽に並々と水を張った事くらい
後は、運を天に任せて心穏やかに
過ごす事にしたいと思っています。
「終点」
最終電車で寝過ごして
見知らぬ駅のホームに降りた
見知らぬ改札 初めての街
気付けば荷物も何も持たず
幼な子になって 誰かを待っている
追い越して行く人達は皆
いつかどこかで見たような横顔
私は誰を待っている
そもそも何処へ行こうとしていたのか
不意に名前を呼ばれた気がして
それが誰の声ならと期待した瞬間に
すべてを悟った
最期まで手を握ってくれていたのが
貴方であればと
【終点】
拝啓――
僕の終わらせようとしていた地点で
きみは途切れた道の先端に立って
僕には見えなかった幸せになる未来の話を始め
その場所で転げ落ちてしまおうと思っていたことも忘れ
話に聞き入ってしまった
その未来はきみにくっついて
歩くだけで手に入っていたから
明日が自分の手で掴むものだということさえ
きみを取り巻く環境が
変わってからでしか気が付けなかった
「君はどうかそのままでいてほしいんだ」
ぼくときみの理想は一致していたと思った
でもその言葉を僕が言わせてしまっていたのなら
僕はきみと過ごす為の未来を
自分で動きださなくてはいけないんだ
きみの幸せをこころから願って
――敬具
田舎に住んでんると危機感が薄れる。
わりと近所の人が勝手にものを家に置いていくから
玄関に鍵をかける習慣も薄れた。
近所に住んでる人がどんな人なのか噂も直ぐに広がる
人口の少ないこの街では、誰が誰なのか何となくわかるから、人に対する警戒心が薄れた。
車の通りも電車やバスに乗る人の数も少ないから
周囲に対する危機感も薄れた。
日に日に薄れゆく危機感を感じながらこの街に毒され緩慢になっているのだと実感する。
がらんとした電車に違和感も抱かず乗り帰路に着く。
強い眠気に襲われ、どうせ降りる駅は終点なんだから
と呑気に意識の手網を手放した。
「……ろ……い、起き……おい、起きろ」
強く低い声の呼び掛けで起きた。
「?着いた……?」
「ここ先は、お前の行く終点じゃない、今すぐこの電車から降りろ」
まだ寝ぼけているのか目の前の人の顔が黒く霞みがかって見えなかった。だが、この人の声に従わねばならないと本能が理解する。
電車を降り、走り行く電車の窓を何となく見ていると近所の山田さん1家と目が合った気がした。
いつもの癖で、山田さんの娘さんに向かって手を振っていた。
田舎の一駅は徒歩では辛いなと思いながら駅名を確認すると終点だった。
やっぱり寝ぼけてたのか?と感じつつも言いようの無い違和感が残った。
結局次の日の夕方には、その違和感は消えた。それと同時に胸が苦しくなった
いつ終点が来ても良いように、失った危機感わ取り戻さねば
静かに揺れるマリーゴールドの花が夕日に輝いた。
大病を患って入院してから早3年。
何回もの手術や治療を経験した体は、もうボロボロになっている。
昨日医者に伝えられた余命は、あと1年だった。
私より先に家族に伝えていたらしいけれど、家族はそんな素振りは見せていなかった。
入院中は時間が余るほどあったので、いわゆる“終活”
というものはやっていた。
だから、あと1年だとしても特に不安はない。
人生の終点は、案外すぐにやってきてしまうらしい。
いつの間にか知らない電車に乗っていて外の景色はうっとりするほど綺麗だった。
ここは終点ですと放送がなる。
色々な記憶がフラッシュバックした。
あいつにいじめられたこと、親に殴られたこと、どこにも居場所がなくて自殺をしたこと。
「もう私は死んじゃったんだな」
何故か涙が出てきた。
【終点】
あなた自身が決めてくださいね
ーNo.5ー
当時仲の良かった上司と初めて終電まで飲んだとき、別れ際に「うっかり終点まで行かないように気を付けてね」と言われたことがある。
私の最寄り駅は職場から4つ目。
大丈夫、所要時間は約10分程度だし全然眠くない。
ほろ酔い気分だけど、意識はハッキリしている。
いつも通りに降りるだけ。
そう自分に言い聞かせ、iPod nanoでお気に入りの音楽を再生する。
1つ目……2つ目……次の次だ。
ちょっと眠くなって来たけど、まだ大丈夫。
3つ目……よしよし、次だな。
『次は○○駅、○○駅』
あー……何かめっちゃ眠い……帰ったら化粧落としてすぐ寝……お、この曲やっぱいつ聴いても良いなぁ……好きだわー……
『――左側の扉が開きます。ご注意ください――』
…………え、今どこだったっけ!?
微睡んでいた状態からハッと一気に引き戻される。
電車は最寄り駅で停まっているではないか。
慌てて電車からかけ降り、危なかった……と心底ホッとした溜め息を吐く。
まさに間一髪の出来事だった。