名無し

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終点……すなわち終わりの点、だろう
それは当たり前のことか。

彼は生き急いでいるかの如く、忙しなく走る電車を見て、ふと思った。

ガタン、ガタン─ガタン、ガタン─

この電車たちも終点へ向かっている。そしていずれ着き、また廻っていくのだ。

そんな喧騒も落ち着き、終電を迎えた頃。無人駅は心地よい静寂に包まれていた。

「…………………」

彼の瞳の中に、暗闇の中の銀の棒が映る。

夜明けを希望の象徴と捉えた先人は、何を思っていたのだろうか。
夜が終点で朝は出発点、になるのか。

こんな沈みこんだ出発点があってたまるか。
いや、思い込みだな。

─もうじきに、夜は明けてしまうだろう。


8/10/2024, 11:30:07 AM