『紅茶の香り』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
部長がいる部室からは、いつも紅茶の香りがする。
別に部員が紅茶が好きというわけでもなく、かと言って部長が特別紅茶が好きというわけでもなく。
毎週茶葉を変えて、時にはクッキーも買い込んで。
部長は今日も、私たちの部室を英国貴族のティータイムの場に仕上げている。
部長の
「ご機嫌いかが?」
なんて調子に
「どういたしまして」
と返してみたりする。
そうしてそのまま部活が終わるまで、ずっとお嬢様言葉だったり。
しかしそんな日がいつまでも続くわけもない。
それは部長が卒業する日。
もう部長が淹れた紅茶を飲むことはないだろう。
そこで、私たち後輩はそれぞれで紅茶を買い込んで、呼び出した部長を出迎えた。
部長より先に部室に入ったのは、最初で最後だ。
部長は目を丸くしてから、少し笑って、何か言おうと目を泳がせてからギュッと口をつむんで。
そして、柔和な笑みと一緒に、言った。
「ご機嫌いかが?」
「どういたしまして」
みんな涙声だったのは、内緒だ。
《紅茶の香り》
私はそんな妹の入れてくれる紅茶が大好きだった
お湯の温度蒸らし加減香り味。すべてが私好みで嫌なことがあってもその紅茶1杯と妹の笑顔だけで全てがどうでもよくなるくらい。
ねぇ、今日も貴女の紅茶が飲みたわ。
いつもの明るい笑顔を見せてちょうだい...
よく通りかかる家
今日は紅茶の香りがする。
『紅茶の香り』
─── 紅茶の香り ───
挽きたての珈琲豆の香り
ドリップしてる時の静かな時間
嫌いじゃないよ
ただ私は紅茶の方が好き
不思議だね
好みは全然違うのに
今日も同じ時間にお茶してる
穏やかな気持ちで
【紅茶の香り】*140*
珈琲が1番好きだけど
紅茶も好き!
シフォンケーキかクッキーもセットで欲しいな
朝や夕方、この香りでかなり気分が上がる
あ…飲みたくなってきたから淹れてこよっ♪
紅茶の香り
ストレーナーで茶葉を挟み
ティーカップの上にかざし
徐々に熱湯をかけていく
徐々に回転されてゆくストレーナー
その中でひろがる葉
指定時間の中流れでるもの
これは創作?
それとも記録?
紅茶の香り
紅茶って味薄くない?匂い嗅いで「絶対これ甘いヤツだ」って言って飲んだらシャビシャビで萎えた記憶ある。
アレなんなんだろうね。味薄いのがいいのかな。知らんけど。
「あったか〜い」
駅のホーム。自動販売機のボタンを押した。
「オレはレモンティーだな。ユミは?」
「私はホットココア」
熱いぐらいのペットボトルのフタをあけ、ゴクッとひと口飲んだ。
雪が降ってきた。
「寒いね」
彼がぴったりくっついて来た。ほのかに香る紅茶の香り。見上げて笑いあった。
風が強く吹いた。彼の制服のネクタイに雪がついて、手袋をしたままの手で払ってあげた。
「あ、ありがとう」
「ダウン、前、閉めたら?」
「だな」
寒いはずなのに、温かかった。
――ずっと続くと思っていた。
「何がいい?」
「うーん、私はココア」
「じゃ、オレはコーヒー」
「あ、やっぱりレモンティーにする……」
思い出したくなった……冬の香り。
〝紅茶の香り〟
懐かしい。君と飲んだ紅茶の香りはいつになっても忘れられない。
今はもういない君。大好きだった君。
特に好きでもないのに、君と飲む紅茶はどの飲み物よりも美味しかったし好きだった。
東の国から西の国へ海を越え
その船旅で得た紅茶の香りを知りたい
朝起きてから匂うカフェインの香りが好きだった。
彼女はコーヒーを飲むとお腹を崩してしまうと言って、朝起きると紅茶を淹れる。私は彼女の淹れたその香りで目覚めるのだ。私はといえば、小さい頃から朝はコーヒー、ミルクを入れて、砂糖は入れない。そういう習慣があって、起きてから彼女が使って残ったお湯を使って私はコーヒーを淹れる。そうやって二人で悠々と朝の時間を過ごすのが、好きだった。
いつの間にか、忙しさの中でそんな時間は過ぎて、職種の違う私と彼女はすれ違うようになった。私は土日祝休み、彼女はシフト制で接客業の為、私と休みが合うことは滅多にない。久しぶりに合ったとしても、忙しさの反動として休日はベットの中で過ごす事が多くなっていた。彼女の顔は少しずつ痩せこけた。そんな彼女を見るのが辛くて、でも心配で、自分の休日には作り置きを多く作ったり、彼女の誕生日やお祝い事の日には率先して彼女の笑顔のために走り回った。
けれど、彼女は壊れてしまった。
原因は、分からない。病院にも行ったがハッキリした診断はつかず、1ヶ月仕事から離れると言う結論に至った。彼女も私も納得はできないものの、それでも1ヶ月という猶予がもらえた事で少しだけ肩の荷が降りたような気持ちになれた。
今、彼女は紅茶もやめてしまった。代わりに、白湯を一杯飲むようになった。雑誌で白湯を飲むと体が起きる、と書いてあったらしい。この1ヶ月、彼女が飲むために沸かしたお湯で、私は朝紅茶を淹れ、ミルクを入れて飲むようになった。彼女のようにストレートで飲む習慣はまだないけれど、コーヒーとも違うその香りを嗅ぐ事で、あの頃の感情を思いだせる気がしたからだ。勿論、彼女を嫌いになってきているとか、そう言うことではなく。
あの頃、彼女と起きがけに話すくだらない話や、その日の予定、天気によって異なる外の音、鳥の鳴き声、そんな情景が香りから思い出せるような気がしたから。
「あなたがコーヒーをやめたのは、私のせい?」
ふと、白湯を飲む向かいの彼女から聞かれる。寝巻き姿で椅子に体育座りする彼女は、朝焼けを浴びながら私を真っ直ぐな目で見つめていた。私は、そんな質問をする彼女に微笑みながら言う。
「君がいたから、紅茶の良さを知れたし、人と過ごす時間の良さを知れたんだよ。今度は一生朝お味噌汁を作ってほしいといつ言おうか考えてたところさ。」
最初は理解が追いつかないようだったが、徐々に意味がわかった彼女が久しぶりに声を出して笑った。私は、そんな彼女の左手の薬指に触れながら、今度合うものを探しに行こうと伝えた。
【紅茶の香り】
貴方が好きだった紅茶の香りがする
一体誰がこんな悪質な悪戯をしているの?
今さら思い出させるなんて残酷ね
この香りを辿っていっても
貴方に会えることはないのだから
10/27 「紅茶の香り」
100立方メートル。
全面フルスクリーンの自室で映し出された人工の大自然を眺めながら紅茶を注ぐ。
ダージリン、ジャワ、セイロン。
匂いと記憶は深く結びついている。
アールグレイ、ドワーズ、リゼ。
だから、僕にとってこれはいくつもの生を超えて幾重にも積み重なった膨大な記憶の中から大切なものを掘り起こすための一種の儀式なのだ。
キームン、ニルギリ、アッサム。
大きめのソファのような機械に腰掛け、お気に入りの茶葉と比べれば幾らかちんけなティーカップにそっと口をつける。
爽やかな柑橘系の香り。
思い起こされるのは夕日とそよ風、木々のざわめきと最愛の人の声。
人気のない丘の上。小さな一軒家でのもう誰一人覚えていない、かつて英雄と呼ばれた男の穏やかな最後の記憶。
何よりも大切で忘れたくない。
僕の多すぎる記憶の中でただ唯一、掛け値なしに幸せだったとそう断言できる宝物。
ゆっくりと味わい、喉を濡らしながら思い出ごとそっと飲み込む。
温かな気持ちで心が満たされた。
コトリと小さな音を立てて空のティーカップを机に置き、次のカップを手に取る。
新たな香りとともに思考が再び微睡む。
わずかに香るレモンの香り、思い起こされるのは焦燥と使命感。そして深い絶望。
世界を包んだ呪いとそれらに抗った名も無い研究者たちの敗北と狂気の記憶。
正攻法では世界が救えないから邪道を進まざるおえなかった。
後悔はない。あれは唯一にして最善の方法だったと今ですらそう思う。
苦い思い出とともにそれを飲み干す。
深い絶望を突きつけられた時、人は生きる為に上を向くことを強要される。
それがいいことなのかは僕には分からない。
けれど、こんな呪いにまみれた世界でも人が人として生きていられているのだから、それは強ち悪いことではないのかもしれない。
そんなことを思いながら次の香りに手を伸ばす。
甘いりんごに似た優しい香り。
思い起こされるのは諦観とある種の決意。
終わらせてしまった世界を救う。
色褪せて錆びついて、それでも尚無視することのできない決意だった。
500年以上も昔、世界を支配した魔王は死に際に世界を呪った。
魂の停滞と忘却の消失。
命は生まれ変われど魂は囚われ、記憶だけが無限に蓄積する。
繰り返される生に人は自身を定義できなくなった。
その思い出が、感情が、今の自分のものなのか、前の人生での経験なのか区別がつかなくなり多くの人が発狂した。
そこでとある研究者が研究の末ある悪魔の機械を発明した。
記憶は消すことはできない。けれど、移し替えることは出来たのだ。
人から人へ一方的に記憶を押し付ける。
押し付けた側は今の人生での記憶以外を完全に失い、押し付けられた側はその全てを自身の記憶として受け継ぐ。
呪いのせいで記憶の蓄積に上限はない。
一人の犠牲で狂気に染まった世界を救う悪魔の機械。
魔王を倒した僕こそがその責任を負うべきだと思った。
だから、僕が作り出した悪魔の機械の最後の部品として僕は僕自身を設定した。
積み重なった膨大な記憶を引き継ぐ器として生きることを自分で選んだ。
「きょう…も、あたらしい、いのち…が、うまれたんだ…ね」
ソファの様な機械に身体を預け、スイッチを押す。
記憶が僕の中に流れ込む。
知らない誰かの人生の記憶。
流れ込んで混ざって消えていく。
僕という存在が少しずつ薄くなっていく。
消えゆく意識の中で爽やかな柑橘系の香りが鮮明にあの日の景色を脳裏に描き出した。
ささくれ立つ私が飲めるアールグレイ
ダイジョブと甘やかしてくれる
チャイをステビアで甘くして
大らかな南アジアにご一緒しましょう
♯紅茶の香り
59日目
お湯が沸く音がした
続けて聞こえてくるドリップ音
香ばしい匂いと共に先輩が戻ってきた
先輩は本当に珈琲が似合うな
そう思って目で追っていると
横からマグカップが差し出された
中に入っているのは私の好きなアールグレイ
「お子ちゃまはこっちね」
ニヤリと笑って君は隣の席に座った
『紅茶の香り』というテーマ…
紅茶の香りはいい匂い…
リフレッシュになる…
落ち着く味がする…
紅茶は飲むと美味しい…香りもいいけど味も美味しい。
どんな時もホッとする飲み物。
特に疲れている時に飲む紅茶は美味しいよ。
冬の寒い時期にも温かい紅茶を飲むのいいかもね。
私が思う『紅茶の香り』というテーマ。
「紅茶の香り」
基本的にコーヒー派。
家にも紅茶はない。
でも、紅茶の香りを楽しみにしている時がある。
かぐわしい紅茶の香り、生地から味わう紅茶。
紅茶のシフォンケーキ
この時だけは
紅茶をじっくりと楽しみます。
実は今日も味わっていました。
何と言う偶然。
ただコーヒーも楽しみました……。
らんらんらん、らんらんらん、楽しそうな歌声。ふわふわふわふわと湯気がたつ紅茶、あと美味しそうな紅茶の香りも漂ってくる。ふわぁとあくびをする猫。その前には玉ねぎとニンニクと卵が乗ってある生肉とチョコレートとぶどうが組み合わさったデザートがあった。あと、飲み物に牛乳も添えて。
皆さん意味分かりましたか、、、?人によってはゾッとして人によってはただの楽しそうな文章です。
甘いあまい蜂蜜の匂い
どろどろ泥団子みたいに丸いわね
なんて笑う君の顔をみていた
すっぱいすっぱい林檎の香り
ふわりふらり木の薫り
ぜんぶ腐っても多分いいんだろう
あなただけわかり合えたなら
きっと他には何もいらない
匂いを求めてあたしは歩く
私はいわゆる勝ち組である。
なぜなら私は、この国の王女だから。
小さい頃から教育を施され、食べ物にも困らず、何不自由なく暮らしてきた。
淑女教育だけ面倒だったけど、それ以外は文句なし。
そして運命の人が、私を迎えに来るのだ。
私はその日を楽しみにしながら、これからも自由気ままに人生を過ごしていく
そう思っていた……
しかしそうは問屋が卸さない。
数日前父と母が、国のために跡継ぎを産めと迫ってきたのである
「お前もいい年頃だ、釣り合う見繕ったからこの中から選びなさい」
私の目の前に、候補者の似顔絵が並べられる。
けれど、それを一瞥もせず、私は答えた。
「いいえ、相手は私が探します」
もちろん父と母は猛反対。
最初は口げんか程度だったけど、すぐに血を血で洗う親子喧嘩になる。
あまりの騒ぎに、城勤めの近衛兵が出張って来る事態になった。
けれど私を止めることは出来ない。
最終的に私が父と母と近衛兵を全て殴り倒し、私の希望を押し通した。
とはいえ、運命の相手を探すのは至難の業。
そこで王女特権を駆使し、とあるお触れを出した。
『私の結婚相手を募集する』
『条件は“巡り合えたら”という問いかけに、正しく答えること』
『なお、身分は問わない』
私の出したお触れに、国中が――いや国外も沸き立った。
無理もない。
ここで私に見初められれば、一気に勝ち組の仲間入り。
やる気にもなる。
でも残念だね。
これは出来レース……
私には心に決めた相手がいるのだ。
実は、私には前世の記憶がある。
あの人とは、人生の大半を一緒に過ごし、死に別れる前に再開を約束した……
ここまで言えばお分かりであろう。
『問いかけ』というのは他でもない、私とあの人との合言葉なのだ
これだけ大騒ぎすれば、きっとあの人の耳にも届いているに違いない。
ちなみに問いかけの答えは『好き好き大好き愛してる』。
前世でのあの人のプロポーズの言葉である。
正直生まれ変わるとは思いもしなかったので、ついふざけてしまった。
けれど絶対に被らないだろうという答えなので、ファインプレーである
何が幸いするか、分からないものだ。
合言葉ならぬ愛言葉。
あの人はどんな顔をして、私に愛を囁いてくれるのだろうか?
まだまだ先の話だというのに、眠れないほどあの人の愛言葉《プロポーズ》が楽しみだ