『窓越しに見えるのは』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
突然降り出した雨の中、子供たちが声を上げながら駆けて行くのが見えた
僕はカーテンを閉めて背を向ける
何も見たくない
何も聞きたくない
僕が悲しみに打ちひしがれているというのに、世界は僕を置き去りにして行く
僕の声を聞いて
誰か僕の伸ばした手を掴んで
僕を助けて!
窓
窓越しに見えるのは、君の横顔。私はそれを見つめることしか出来ない。君はいつも絵を描いている。その小さなスケッチブックにはどんな絵が描かれているのだろうか。きっと綺麗なんだろうな。
私は時折夢を見る。君が私に気づいて、手を振ってくれる。窓越しに会話を試みてくれる。もしそんなことが本当にあったら、私は泣いて喜ぶ。
ねえ、いつか、私をこの家から連れ出してよ。
「窓越しに見えるのは」
狭い屋根裏部屋が、僕の安らげる唯一の居場所だ。
天井の隅には蜘蛛の巣が我が物顔で張っており、床は木くずと埃にまみれ、墓のように暗いのに、熱気と湿気をはらんだ部屋は、とても居心地が良いとは言えない。
猫が入り込む扉のような、小さい窓。そこから一筋の光が差し込み、床を丸く照らす。
この部屋には、照明が備わっていない。それどころか、ろくな家具もない。あるのは、錆びたバケツに割れた木材、ぼろになった灰色の布切れと、干からびたネズミや虫の死体だ。
本当に――僕のような生き物に似合いの場所である。
少し歩くだけで、腐って垂れ下がった皮膚が、べちゃりと音をたてる。なんという醜い音だろう。
ゾンビと人間の間に産まれた僕は、父親であるゾンビの血を濃く受け継いだ。だから僕は、人間の姿をした――しかし全身が腐ってしまっているゾンビの身体を持って生きている。
太陽の光が得意ではないこの身体は、常に暗い場所を好む。明るいうちに外に出ると、尋常ではない疲れを覚えて、酷い時には気絶してしまう。一方、暗い場所に居ると活力が漲ってくるのだ。
「普通の、男の子だったら良かったのにな」
壁に手を当てて、そっと窓際の向こうを見る。
よく整えられた庭で、犬と遊んでいる女の子。
僕の、妹。
ゾンビよりも人間の血を濃く受け継いだ子。
笑顔が可愛らしく、無邪気で、幼くて――僕の苦しみなど決して理解することの出来ない頭を持った、能天気で馬鹿な子。本を読むことも、計算も、絵も、歌も、何もかも僕より不出来な癖に。
両親に愛されている、女の子。
ぐっと下唇を噛み、部屋の隅に座る。
もし、願いが叶うのなら。だれか。
僕を普通の男の子にしてくれないだろうか。
いつも、そう願っている。僕の目の前に素敵な女神が現れて、僕の願いが聞き届けられる――そんなメルヘンを求めている。
そんな日は永遠に来ないことを、知っている。
大切なモノが
消えてしまった。
さっきから
色々な人が
話したり
泣いたりしてるのに
何て言ってるか
よく聞き取れない。
カラダが
ふわふわしてる。
ごはんは
無理矢理食べたけど
味がしなかった。
油断したら
涙がこぼれて
そのまま
おかしくなりそう。
いよいよ
バスに乗って
移動する時間になってしまった。
窓の外は
色を亡くした世界
みたいだった。
#窓越しに見えるのは
窓越しに見えるのは、空
夕方のお天気雨
嫁に行く狐は幸せだろうか
寂しくはないのだろうか
生まれたままで
変わらぬままで
生きていたいと思うのか
変わりたいと思うのか
思うがままに
願うがままに
どうか叶いますように
「窓越しに見えるのは」
『窓越しに見えるのは』
窓越しに見えるのは、君の悲しげな表情。
背の低い君は人混みに消されてしまいそうで、
けれども僕の目にはきちんと見えていた。
僕の目には君しか見えていなかった。
どれだけ周囲に人がいても、
いつだって君の姿はすぐに見つけられる。
君はいつも輝いていて、他の人とは異なっていた。
僕はきっとどこへ行ったって君のことを見つけられる。
何度だって君の元に帰ってこられる。
だから大丈夫。何も心配は要らないんだ。
これから僕は少し遠くに行くけれど、
帰りがいつになるかは分からないけれど、
それでもきっと、必ず僕は戻ってくるから。
どうか笑顔で送り出してくれ。
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窓越しに見えるのは、貴方の儚げな表情。
今にも消えてしまいそうで、
二度と会えなくなってしまいそうで、
私は、本当は貴方のことを送り出したくはなかった。
貴方はいつも「大丈夫だ」って言うけれど、
「何も心配は要らない」って言うけれど、
それが強がりであることくらいとっくに知ってるのよ。
誰よりも不安なのは貴方なんでしょう?
誰よりも諦めているのは貴方なんでしょう?
その言葉は私を安心させるためのものじゃない。
そうやって自分に言い聞かせているだけなんでしょう?
だから心配なの。心配するの。
貴方を一人にさせたくないの。
どうか無事に帰ってきて。
どうか、どうか、貴方の笑顔を私に見せて。
そんな作り笑いじゃない、心からの笑顔を。
窓越しに見えるのは実感のない世界
私がいつも当たり前だと思っている世界に
私は「不適合」と思われている
お題︰窓越しに見えるのは
窓越しに見えるのは暗闇と水滴とそれらを照らす街頭とつまんなそうな顔。
「みんな消えてしまえばいいのにね」
オレンジの光が黒目を輝かせている。
言葉と瞳が不釣り合いで、それが妙に魅力的に見えた。
キラキラ、彼女の黒目は輝いている。
「この水滴も蒸発して消えて無くなる」
窓越しに視線をこちらに向けた彼女は続けて言った。
「時折、その前に舐め取ってしまいたくなるの」
確かに、その眼球は舐めてしまいたくなる。
「涙は塩の味がするというけど甘いときもあるそうよ」
このとき初めて返事をした。
「甘いときはどんなときか」
「優しい感情は甘い味ね」
「悲しいは優しい感情と言えるか」
このとき初めて直接目があった。
「あら、知ってるじゃない。嬉しいが優しい感情と納得できるなら、悲しいも優しい感情と納得できるはずよ」
返事はできなかった。
彼女はどこか嬉しそうな顔をして窓へと視線を戻した。
「貴方の涙はどんな味?」
甘い味がする。
「みんな消えてしまえばいいのにね」
窓越しに誰かの影を見ている。
彼女は笑った。
「窓越しに見えるのは」
ベランダでタバコをふかし、窓越しに見えるのは
いつまでも君であって欲しい。
たまには熱を出すのも悪くないね。
AM7:30
「怠い眠い休みたーい」
言い散らかしながら学校に向かう娘を
パジャマ姿で窓越しから見る。
「んー。青春の覗き見になったかな」
セーラー服の肩を控えめに叩く少年は誰だろう。
パパも気になるお年頃なんだぞ?
#窓越しに見えるのは
窓越しに見えるのは
今日も昨日と変わらない雨模様。
窓硝子にぶつかる音が心地良い。
湿気の中でよれた紙を少し延しながら
ふと、窓越しに言葉が聴こえた。
どんな声
何を言った
判らないうちに
窓硝子の外側は青く
光を灯そうとしていた。
窓越しに見えるのは、本当のあの人の姿か。
私が作り出した幻想か。
自分のフィルターを外して他人を見るのは難しい。
本当は、自分の内面をフィルターにかけて見ているのかもしれない。
どれが真実なのか分からない世界でみんな生きている。
曖昧だ。
お題「窓越しに見えるのは」
いつも自室の窓越しに見える黄色の屋根の家が好き。別に何か思い入れがあるわけじゃないんだけどその黄色の屋根の家が好きだった。私の家の向かいから左に4軒目。家の前を通ることはあるけど誰が住んでいるかは知らない。それに通る時に見るその家には興味無い。私の自室の窓越しに見たその家が好きだった。私の自室は3階にあり、その家の黄色の屋根がよく見えた。暖かい黄色の屋根。どれだけ見ても飽きない。吸い込まれるような黄色。私の家を持つ時が来たら必ずその黄色の屋根にしようと思うほど気に入っていた。その黄色に似たハンカチも買った。黄色の屋根の素敵さには劣るけれどもとても良い色だった。
ある日その家の前を通った時に中年あたりの女性と作業着を着た男性がなにか話しているのが聞こえた。
女性「ええ、この屋根の色を変えて欲しいの。祖母が好きな色で祖父が昔この黄色の屋根にしたらしいんだけど…。私すごく嫌なのよね。だって黄色の屋根ってすごく目立つじゃない?もっとシンプルな普通の屋根の色にしたいの。」
男性「了解しました!!でもいいんですか?色変えちゃって、おじいちゃん怒るんじゃないの?」
女性「あら、いいのよ。祖父は最近ボケちゃって老人ホームにいるから。それに屋根くらい気にしないわよ。」
私は「え、屋根の色変えちゃうんですか!?こんなに良い色の屋根なのに!?」と、声を思わずかけそうになってしまったが初めて会う家主にそんなことを言う勇気がなくその場を通り過ぎてしまった。
数日後…
あんなに綺麗だった黄色の屋根はどこにでも見かける焦茶色の屋根になっていた。あんなに綺麗だった黄色を変えてしまうなんてあの女のセンスはどうかしている!!と思ったが女性の言う通り、黄色の屋根は実際とても目立っていたし私のように日頃から屋根を眺めてたやつがいるかもしれない。それを不愉快に思うのは仕方の無いことだろう。だがそれでも勿体ない!あの黄色をこれから私は拝めなくなってしまうなんて!もうあの屋根はなんの魅力もないただの屋根になってしまったのだ。私はそれがショックで自室の窓にカーテンをかけ、あの家が見えないようにした。あの家の前を通る時も顔をさげて極力見ないようにした。しかし人間は薄情だ。何週間も経てば屋根のことなんかどうでも良くなって普通に生活するようになった。どうせ屋根の色は変わらないのだから。
今日その家の前を通った時に後ろから声をかけられた。振り返ると1人の老人が立っていた。弱々しく目もほとんど開いてないような老人の手には私の黄色のハンカチが握られていた。
老人「お嬢ちゃん、落としたよ。」
私「あ、ありがとうございます。」
老人からハンカチを受け取ると老人は突然語り出した。
老人「とても良い黄色のハンカチだね。うちの屋根の色と同じ色だ。妻の好きなあの色だ。」
私は否定しそうになったが老人の寂しそうな表情に言えなかった。
私「あの、よければこのハンカチ使ってください。」
老人「え?そんなこんな良いハンカチ受け取れないよ。お嬢ちゃんに似合うハンカチじゃないか。」
私「いえ、もういいんです。このハンカチは私の好きなあの色と全然違うから。」
老人「?いやでも…」
私「いいんです!私はこの屋根の色で充分なので!!」
半ば押し付けるようにハンカチを老人に渡して私はその場を去ってしまった。あの老人が屋根の色が変わったことを知らないのか、もしくは知っているけど知らないフリをしてるのかわからない。ただ、あのハンカチはもう私にはいらないものなのだ。だって私はあの屋根の色になんの思い入れもない。ただあの色が好きだっただけの人なのだから。あの色じゃないハンカチはもう私にはいらない。
-窓越しに見えるのは-
朝起きる
毎日見る光景には外がある
もっと違う光景が見たい
そんな小さな願いも無理かもしれない
寝心地の良い白いベッド
自分しかいない部屋
物が少ない棚
そして病室の窓越しから見える
死が近い、成り果てた自分の姿
___お迎えが来たよ
人間生きてたらデパートでショーウィンドウを見る。
「そういえば、季節は夏だな」
なんて、通勤途中で見かけるとそんな所から季節らしさを気に留めることが多くなってきた。
生活する為の物は揃っているが、季節に合わせたイベントごとを楽しもうとするとこれがまた億劫になる。
「そういえば夏だな」
「夏といえば、ツバの広い麦わら帽子も良いな」
「したらば、身嗜みも整えたいな」
「海は暑いから、お嬢様気分で都会を練り歩きたいな」
上記思考の流れは当日になると、大体予定ごと無くなる。
でも、低い確率で外出した際は割と良い気分になれる。
そんな気持ちにまた出会いたいから、
今日も私はショーウィンドウを見る。
窓越しに見えるのは
今私は絶賛授業中だ。
しかも歴史。眠い。
先生の呪文のような言葉を聞き流す。
こんなの覚えられるわけねぇよ。
眠くなった私はふと窓越しに校庭を見た。
隣のクラスがサッカーをやっているようだ。
その中にりんくんも混ざってサッカーをしていた。
『今日もかっこいいなぁ ((ボソッ…』
今の言葉を聞いてもらったらわかるだろう。
そう、私はりんくんのことが゛好き゛なのだ。
直接近くで見ると緊張するが、遠くから見ようとするとガン見してしまう。
窓越しに見えるのは ゛大好きな君゛
_5end_
「 窓越しに見えるのは 」No12
「ここがさっき教えたことを使うとどうなるか分かる人ー?」
授業中、私は校庭でサッカーをしている貴方を見ている。この時間は、貴方が外にいるから。私は、この時間だけは、窓をじっと見つめて、貴方のことだけを見てる。窓越しに貴方がいる。
窓越しに見えてしまったのは貴方が、
他の女性と談笑しているところ、
苦しい、辛い、あなたに認知されたい、
あなたと付き合いたい、
好きです、あなたのことが、大好きで大好きで、
苦しいほどに、あなたが好きなんです、
#窓越しに見えるのは
微睡むフレーム越し
夜が朝に滲み始める
星灯りがひとつ
またひとつ
ゆっくり記憶と共に消えていく
車窓から景色を眺めるのが好きだ。
私は立っているだけなのに
流れるように過ぎ去って行く風景。
目に写るのは一瞬で
動いているはずなのに、まるで静止画のよう。
私が止まっていて、景色が動いているのか。
景色が止まっていて、私が動いているのか。
ふと、
流れて行くはずの窓の景色から
動かない気配を感じる。
スッと顔を上げると窓越しに視線がかち合う。
相手もそれに気付いたのか
サッと顔を背ける。
何度か同じ車両になったことのある顔だ。
ちょうど向かう方向と時間が同じなのだろう。
わたしはまた窓の外の景色に視線を戻す。
景色はどんどん過ぎ去るのに
恋の予感は過ぎ去ろうとはしてくれなかった。