冬山210

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『窓越しに見えるのは』

窓越しに見えるのは、君の悲しげな表情。
背の低い君は人混みに消されてしまいそうで、
けれども僕の目にはきちんと見えていた。

僕の目には君しか見えていなかった。
どれだけ周囲に人がいても、
いつだって君の姿はすぐに見つけられる。
君はいつも輝いていて、他の人とは異なっていた。

僕はきっとどこへ行ったって君のことを見つけられる。
何度だって君の元に帰ってこられる。
だから大丈夫。何も心配は要らないんだ。

これから僕は少し遠くに行くけれど、
帰りがいつになるかは分からないけれど、
それでもきっと、必ず僕は戻ってくるから。
どうか笑顔で送り出してくれ。


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窓越しに見えるのは、貴方の儚げな表情。
今にも消えてしまいそうで、
二度と会えなくなってしまいそうで、
私は、本当は貴方のことを送り出したくはなかった。

貴方はいつも「大丈夫だ」って言うけれど、
「何も心配は要らない」って言うけれど、
それが強がりであることくらいとっくに知ってるのよ。

誰よりも不安なのは貴方なんでしょう?
誰よりも諦めているのは貴方なんでしょう?
その言葉は私を安心させるためのものじゃない。
そうやって自分に言い聞かせているだけなんでしょう?

だから心配なの。心配するの。
貴方を一人にさせたくないの。
どうか無事に帰ってきて。
どうか、どうか、貴方の笑顔を私に見せて。
そんな作り笑いじゃない、心からの笑顔を。

7/1/2023, 2:14:22 PM