冬山210

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1/14/2026, 9:45:30 AM

『夢を見てたい』

画面の向こうの貴方に、
紙面の向こうの貴方に、
いつかこの指で触れられる。
いつか名前を呼んでもらえる。
いつか、いつかと夢を見た。
叶うはずのない夢を見た。


ねぇ、もしもあの世が繋がっているならば、
そこで待っていてくれないか。
私はまだ当分生きてしまうだろうけれど、
いつかこの身が朽ちた時は
真っ先に貴方に逢いに行くから。
地獄の果てだって逢いに行くから。

そうしたらどうか私と触れ合って、
名前を呼び合って、
涙を
私の涙を拭って欲しい。



そんな夢を見ている。
そんな夢を見ていたい。
ずっとずっと貴方の夢に浸らせて。

1/8/2026, 9:32:26 AM

『雪』

痛いくらいに冷たい空気。ひやりとした風。

雪が降る。
これからきっと雪が降るのだという気候。兆候。
もしも雪が降ったならどうしよう。
僕は折り畳み傘を持っていない。

11/22/2025, 10:29:20 PM

『紅の記憶』

あの人のルージュを勝手に使った。
14歳になった春のことだった。
あの人が思っていたよりも早く帰ってきたものだから、
私はそれを隠すことができなかった。
紅くなった私の唇を見てあの人は、
少し目を見開いて驚いてから、
嬉しそうに微笑んだ。

 いつか娘がメイクに興味を持って、
 自分のメイク道具を勝手に使っちゃって……
 なんてのをずっと夢に見てたの。


あの人は知らない。
私がどんな気持ちで貴方のルージュをつけたのかを。
私がどんな気持ちで貴方が普段使っているルージュに、
自分の唇をつけたのかを。
知らないんでしょう。そうでしょう。
私を娘のように扱うあの男は、
私の気持ちなんてこれっぽっちも分かっちゃいない。

10/26/2025, 10:48:45 PM

『終わらない問い』

どうして死んでしまったの
どうして死んでしまったの
どうして死んでしまったの
 生きていて欲しかった
どうして

どうして貴方がいない生活はこんなにも侘しいのだろう
どうして貴方がいないのに私は生きているのだろう
どうして
なんで
何の為に

10/25/2025, 9:58:03 AM

『秘密の箱』

秘密の箱に詰めてしまった。貴方のこと。
もう目に入れたくはないから、
もう耳に入れたくもないから、
全部隠して見えないようにしようと思って、
箱に詰めてしまったの。

初めはやっぱり開けてしまおうかとも思った。
何度も閉じた蓋を開こうとした。
でもその度に我慢して、我慢して、我慢して、
いつの間にやら開けようと思うこともなくなっていた。



そうして秘密の箱は忘れられた。
秘密を知るたった一人の少女から忘れ去られた秘密の箱は、もう誰の記憶にも残っていない。
箱に詰められた彼の人がどうなったのか、
一体何処に隠されてしまったのか、
誰も何も知る由はない。

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