冬山210

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10/26/2025, 10:48:45 PM

『終わらない問い』

どうして死んでしまったの
どうして死んでしまったの
どうして死んでしまったの
 生きていて欲しかった
どうして

どうして貴方がいない生活はこんなにも侘しいのだろう
どうして貴方がいないのに私は生きているのだろう
どうして
なんで
何の為に

10/25/2025, 9:58:03 AM

『秘密の箱』

秘密の箱に詰めてしまった。貴方のこと。
もう目に入れたくはないから、
もう耳に入れたくもないから、
全部隠して見えないようにしようと思って、
箱に詰めてしまったの。

初めはやっぱり開けてしまおうかとも思った。
何度も閉じた蓋を開こうとした。
でもその度に我慢して、我慢して、我慢して、
いつの間にやら開けようと思うこともなくなっていた。



そうして秘密の箱は忘れられた。
秘密を知るたった一人の少女から忘れ去られた秘密の箱は、もう誰の記憶にも残っていない。
箱に詰められた彼の人がどうなったのか、
一体何処に隠されてしまったのか、
誰も何も知る由はない。

8/28/2025, 10:56:38 AM

『夏草』

君の背よりも高い高い緑を掻き分けて掻き分けて君を探した。
それは一種の隠れん坊だった。
けれどもここで君を見つけることができなければ、
もう二度と会ふことはないだらうといふ気持ちに駆られた。

焦っていた。

かんかんと照る夏の太陽の所為か、
いつまでも君が見つからない所為か、
僕の身体は既に水浴びをした犬の様に濡れていた。
汗が目に入る。口に入る。地面に落ちる。

早く君を見つけてこの腕に抱きたい。
ベタベタになって君は怒るかもしれないけれど、
君の体温ならいつだって感じていたい。

そんな思ひを抱きながら夏草を彷徨った。

8/26/2025, 11:38:44 AM

『素足のままで』

素足のままで良いから駆けておいで。
踵の痛い靴なんか捨ててしまえ。
邪魔なもの一つない綺麗な道をあげるから、
君はただ力の限り地面を蹴って走り続ければ良い。

7/26/2025, 12:26:22 PM

『涙の跡』

腫れた瞼
充血した瞳
頬にできた線
ふやけたノート
鼻をかんだティッシュ

君の涙の跡を愛おしいと思った。
一つ残らず保管したいと思った。
涙の跡にラベルをつけて今日の日付を書いておこう。
いつかそれを見返したとき、涙の理由を尋ねるから。
君はそれまでにその感情を言葉にしておくんだよ。

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