車窓から景色を眺めるのが好きだ。
私は立っているだけなのに
流れるように過ぎ去って行く風景。
目に写るのは一瞬で
動いているはずなのに、まるで静止画のよう。
私が止まっていて、景色が動いているのか。
景色が止まっていて、私が動いているのか。
ふと、
流れて行くはずの窓の景色から
動かない気配を感じる。
スッと顔を上げると窓越しに視線がかち合う。
相手もそれに気付いたのか
サッと顔を背ける。
何度か同じ車両になったことのある顔だ。
ちょうど向かう方向と時間が同じなのだろう。
わたしはまた窓の外の景色に視線を戻す。
景色はどんどん過ぎ去るのに
恋の予感は過ぎ去ろうとはしてくれなかった。
7/1/2023, 1:43:13 PM