『空が泣く』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
空が泣く。
そんな日は、少し幸運に思う。下を向いても許される気がするから。ゆっくり歩いても、怒られない気がするから。
でもやっぱり嫌い。頭痛くなるし。
空が泣いていた。
もちろん、涙を流してるわけではない。それでも、ボクにはそうしか見えなかった。だって、この世界に雨が降ることなんてないから。
ポタポタと落ちてくる水滴を一粒、指に乗せて舐めてみれば塩味を感じられて、本当に涙なのかと錯覚しそうになる。
…………なんなんだろうか、これは。
雨、ではない。きっと、降らない。
上の人が雨を降らせられるような技術をそもそも持っていないから。
そこまで考えた時、ふと思った。
彼のグランドピアノは無事なんだろうか。
どういう原理で動いてるかとか、ボクには全く分からないけれど、なんとなくあれは水に濡れてはいけないようなきがしてくる。
いてもたってもいられなくて、走り出そうとした時、ガシッと後ろから体を拘束された。
「見つけた」
背中がゾクッとするような声のトーンが耳に届いた。いつもより数倍明るい声音だ。
「……演奏者? ピアノは濡れても」
「僕が降らしてるからね、ピアノにはかかってないよ」
彼は平然と言った。でも、彼が言ったことが本当に事実なら、上の人が演奏者くんのことを捕まえたり、監視しようとするのは当然のことかもしれない。だって簡単に天気を変えられているから。
「……じゃあ、なんで」
「きみは『雨』を見たことがないかと思ったんだ」
「それだけ…………?」
「ああ」
軽く言われて、でもボクには理解が追いつかなくて、やっぱり彼とボクというのはどう考えても対等ではなさそうだ、とため息をついた。
空が泣く
曇り空にゴロゴロと雷の音。
随分と機嫌が悪そうだ。
そう思い焦りながら走る。
案の定雨は降り始めた。
嫌なことがあったのかは知らないが、
もう少し我慢して欲しかった。
今よりもっと早走ろう。もっと早く、もっと...
...いや、疲れるだけだ。もう諦めた。
ただでさえ仕事帰りで疲れていたんだ。
もうどうでも良くなってしまった。
空を見上げる。空は泣いている。
わかるよ。むしゃくしゃしたり辛いことがあったら
泣きたくなるよね。
今は存分に泣けばいい。
そう思いながら空を見上げていると、
土砂降りの勢いは増した。
しまった。空を甘やかしてしまったか。
語り部シルヴァ
空が泣く
待ち合わせ場所も、時間も、間違っていないはず…そりゃあ、舞い上がって、約束よりも、随時早く来たけれど…周りにも、待ち合わせの人影がちらほらしているけど、いつの間にか入れ替わっている…
時間が過ぎても、連絡も来ない…段々俯向き加減になって…気が付くと、アスファルトに、ポツポツと、雨粒が落ちてきている…
まるで、空に、私の気持ちが、届いたように…空が落とす涙が、心の奥底まで沁みてくる…
もう、だめ…かな…
そう思いはじめて、一歩踏み出した、時…
ー空が泣くー
雨
浄化
優しさ
立ち止まる
カフェ
別れ
出会い
紡ぐ とた
雨の物語 イルカ
「空が泣く」
「泣き出しそうな空」とはよく言ったもので、灰色の面積が圧倒的に多い空は、あからさまに落ち込んでいるように見える。教室の窓からぼんやりと上を見上げている私は、BGMと化している化学の先生の話の内容より、そんなにも空が泣きそうな理由の方が気になる。何か嫌なことでもあったのだろうか。私が力になれたら良いのだが。「雨の後には虹が出る。だから今は我慢して歩こう」なんて、誰が言った名言なのだろう。私は今日傘を持ってきていないので、たとえ雨が止んだ後虹が出ようが、雨が降ってもらっては困る。なので早いところ空の悩みを聞いてあげて、泣き出す前に笑顔にさせてあげなければ。そんなことを思いながらふと時計を見ると、長針が3を指している。もうすぐ授業が終わる。と、不意にBGMが音量を上げた。
「そういうことで明日はテストをするから、各々勉強しておくように」
流石に聞き流すわけにはいかない情報が聞こえたところで、聞き慣れたチャイムの音が鳴る。勢いよく教室から飛び出していくクラスメイトたちを横目に外を見ると、大粒の涙がこぼれ出していた。あぁ、なんだ。君もテストが嫌だったのか。
「泣きたいのはこっちだよ」
どんよりと 明るい夜道に 影がさす
ついぞ先まで 満面に照らせしも
素人なのに短歌を作ってと
ついこの前言われたから、その流れ…。
空から降り注ぐ雨を涙と見立てているならば、ここ数年のゲリラ雷雨はさしずめ号泣と言ったところだろうか。なにがそんなに悲しいのか。
――決まっている。
奢り昂り、振り返ろうともしない人間に失望したのだ。
傷付けられた自然に気付かぬまま、尚も汚し続ける人間に、いつか涙は枯れるのだろう。
泣き疲れた果てにあるのはきっと·····怒りだ。
怒りは炎になって、いつか罪深い人間達を焼き尽くす。
もっとも、気付いた人間が増えればその結末は変えられるかもしれない。
END
「空が泣く」
#58 空が泣く
いつもあなたはそうやって
我慢するわたしの代わりに
空色の傘を開かせてくれる
空が泣く
大切な人との別れの日には、必ず雨が降る。
それは、別れの時に泣いてばかりだった僕に神様がくれたギフト。
空が代わりに泣いてくれるから、僕は笑ってお別れできるんだ。
彼は雨を見て言った。
「空が泣いてるね」
初めはよく分からなかったが、次第に脳が理解してきた。彼は文才かなにかか?
「随分とかっこいい言い方するじゃん」
「ん?まぁ、そういう表現の仕方勉強してるし」
「勉強? なんでそんなこと……」
「俺、小説家になりたいんだ」
会話をしているうちに、初めて聞くことがでてきた。
小説家になりたい、だなんて今までで1度も聞いたことがない。
どうやら家でもちまちま小説を書いているのだとか。
だからそんなに素敵な表現が出てくるのか、と感心と納得をした。
―――数年後
地面を打ちつける雨を見て、
(あ、空が泣いてる……)
と感じた。
そういえば彼は元気にしているのだろうか。
と思った矢先に、目の前の本屋が目に入った。
壁にはPOPが数枚貼られている。
その中の一枚に……
『―――のデビュー作「空が泣く」 300万部突破』
【空が泣く/2024.9.17】
「空が泣く」
今日も空は青いまるで笑っているかのように
太陽に照らされ私たちの心を動かす。
しかしいつも、青空の下で悲しいことは起きる、
もしかしたら空はそんな私達のために青く輝いてくれているのかもしれない。
それでも空も悲しくなることはある時々空は灰色の雲に覆われ、私達に涙を見せる。
「空だって泣くんだよ?。」
空が泣く時
雨となり滴る涙
雪となり積もっていく悲しみ
だけどそれはみんな
傘で防いで見て見ぬ振りする。
人と同じだね。
さっきまで晴れていた空が雲に包まれ、凄まじい雨が
降っていた。向こうの空は晴れている。
折り畳み傘じゃ防ぎきれないくらいの雨、
ザアザアと音を鳴らし、窓に水滴がつく勢いの雨。
ツクツクボウシがないている。雲の隙間から少し夕日が差し込んでいる。もう完全下校の時間だ。
帰りながら雨がやんでいく。
雨がふりやんだら、それはきっと、前へ進んでいる証拠。
空もたまには八つ当たりしたくなるのかな。
どれだけ泣いても八つ当たりしても、私も空のように
前を向いて進んで行く。
「空が泣く」
「運命の雨」
「雷は怒りだと言われているけど、雨が空の涙なら雷は嗚咽なのではないだろうか」
そう言った彼に反論したことがある。
怒りで涙が出ることもあるのだと。
稲光とビリビリとくる感覚は、嗚咽ではなく怒りだと。
夏になると思い出す。
彼との会話は、どこまでも続いた。
興味ある分野が、ほんの少し被っていて、それが世界を広げる間口になっていたのだ。
図書館へ向かう坂道を降る。
向こうから彼が歩いてくるような気がして、首を振る。
居るはずない。
彼が東京へ出てから、連絡も取っていないし、今さらどんな顔をして会えるというのだろう。
別れは最悪だった。
やり直したくないくらいに。
ぽつり、ぽつりと足元が濡れる。
駆け込んだ先で、運命の輪が再び廻り出すなんて、この時はまだ思いもしなかった。
────空が泣く
お社じゃなくて、あっちの山に神様がいるような気がした。
“空”を見上げる。
頭上には、抜けるほどの青がどこまでも美しく広がっている。
コンクリートが灼熱に焼けている。
鳥居の向こう、真っ白な入道雲が、むくむくと肩を広げている。
蒸し暑い空気が、ゆったりと周りを取り巻いている。
飴を舐め溶かす。
こんな炎天下の天気には、とても合わないなと思いながら。
空腹が頭を揺らす。
ここからどこへ行こう。
アテはなかった。たった今、ここに来た理由を失ったところだった。
白い雲はまだまだ大きく育っていた。
あの雲がこの頭上を覆い隠せば、次期にここでも空が泣く。
今日はここで友達と待ち合わせのはずだった。
けれど、彼女はまだ来ない。
空が泣いたから。
私たちの頭上には、大きな瞳がある。
私たちを覗く目。
私たちの太陽の目。
私たちの日常の外側に繋がる目。
空。私たちの空。
きっと目の持ち主の空は幼いのだろう。
この大きな大きな瞳は、視界を隠されると泣くのだ。
駄々っ子のように、大声で、激しく。
私たちは雨の日だけは、あの瞳から解放される。
あの瞳の目線を外れる。
あまりに激しく泣くものだから、瞳の存在自体は忘れられないし、逃げられないのだけれど。
入道雲がむわりと、太る。
鳥居の奥で、際限なく広がって、瞳を隠そうとする。
今日、空が泣く。
カバンにつけた鈴が、ちりん、と呟いた。
空が、泣いている
朝の天気予報ではくもりの予報だったから、傘は持ってきていない
肩に雨がかかり服が濡れる
次第に全身がびしょびしょになっていく
地面に打ちつける雨の音に紛れて、私も泣いた
これまでの悲しさ、悔しさ、全部吐き出すようにして泣いた
数分そうした後ようやく泣き疲れ、涙が止まって空を見上げた
空はもう、晴れていた
私はさっきまで泣いていたことも忘れて表情を緩めていた
前まではずっと晴れてたのに最近は夕立が多い。
未練から解放されたのにまた最近ダラダラと未練がましくしてる私の気分みたい。
空も泣いてくれてるの?私の心も泣いてるよ。
空が泣くのはどうしてなのか。
今までこんなことはありえないことだ。
もちろん、海面が蒸発して雲ができて……ナドというものではない。そんなことで空は泣かない。
雲が勝手にできて、雨を降らしているだけで、空は本来泣かないものだ。
空の色合いが毎時間に変化する。虹色の構成する色全ては体験したし、その色に属する雨の色が雲もないのに落ちてくる。酸性雨。喜ぶ雨とは到底思えない。
空は、泣いているのだ。理由究明が各地方で叫ばれた。
旅客機のパイロットがある日突然発見した。
空と宇宙の間にある成層圏にて、いびつな雲の形があったとの目撃情報があった。
あとでそれは天空に描かれたある種の文様(魔法陣)であることが後世にてわかり、世界に激震が走った。
世界中の研究者たちが一丸となって原因究明すると、どうやら海の底に鍵があると目論んだ。
こぞって、賞金稼ぎなどのトレジャーハンターたちが、冷たい氷海の中へ無謀な潜水を披露したり、国盗りレベルの設備投資額でゴリ押して、水中深くまで専用の潜水艦を沈ませたりもした。
すべては海の底にある。深海生物を蹴散らし、まだ奥へもっと奥へ……。
その言葉を信じて数々の人たちは挑戦し、そして自然に敗れた。深海は過酷な環境だ、なにせ人が住むような快適な場所ではない。
だから、二度と浮上することは叶わなかった。
空が泣いた1年後、空を見上げた。
青い空が広がっている。青い空?
どうやら空は泣いていない。
なぜだ?
わからない。
なら、どうして空は泣いたのだ?
それもわからない。言語を喋る口も聞くための耳も鼻もないから。
地上の人たちは訝しがっていた。それだけで済んでよかったと空は思った。
空が泣く、その理由は一つだけ。
宇宙がなくなっていたからだった。
【空が泣く】
一粒僕に当たって弾けた
その瞬間にわあっと広がる雨
普段探し物を探すようにずっと下げていた視界
幾年かぶりに頭を上げた
忘れていたわけじゃないけど
ずっと当たり前にいてくれる空が映る
そこで初めて首が痛いことに気がついた
ここまで探した探し物は見つからないし
下げていた頭が悲鳴を上げるように首を鳴らす
きっとそのことに気づかせてくれる為に
雨を降らして教えてくれたのかも
2024-09-16