彼は雨を見て言った。
「空が泣いてるね」
初めはよく分からなかったが、次第に脳が理解してきた。彼は文才かなにかか?
「随分とかっこいい言い方するじゃん」
「ん?まぁ、そういう表現の仕方勉強してるし」
「勉強? なんでそんなこと……」
「俺、小説家になりたいんだ」
会話をしているうちに、初めて聞くことがでてきた。
小説家になりたい、だなんて今までで1度も聞いたことがない。
どうやら家でもちまちま小説を書いているのだとか。
だからそんなに素敵な表現が出てくるのか、と感心と納得をした。
―――数年後
地面を打ちつける雨を見て、
(あ、空が泣いてる……)
と感じた。
そういえば彼は元気にしているのだろうか。
と思った矢先に、目の前の本屋が目に入った。
壁にはPOPが数枚貼られている。
その中の一枚に……
『―――のデビュー作「空が泣く」 300万部突破』
【空が泣く/2024.9.17】
9/16/2024, 3:00:52 PM