空が泣くのはどうしてなのか。
今までこんなことはありえないことだ。
もちろん、海面が蒸発して雲ができて……ナドというものではない。そんなことで空は泣かない。
雲が勝手にできて、雨を降らしているだけで、空は本来泣かないものだ。
空の色合いが毎時間に変化する。虹色の構成する色全ては体験したし、その色に属する雨の色が雲もないのに落ちてくる。酸性雨。喜ぶ雨とは到底思えない。
空は、泣いているのだ。理由究明が各地方で叫ばれた。
旅客機のパイロットがある日突然発見した。
空と宇宙の間にある成層圏にて、いびつな雲の形があったとの目撃情報があった。
あとでそれは天空に描かれたある種の文様(魔法陣)であることが後世にてわかり、世界に激震が走った。
世界中の研究者たちが一丸となって原因究明すると、どうやら海の底に鍵があると目論んだ。
こぞって、賞金稼ぎなどのトレジャーハンターたちが、冷たい氷海の中へ無謀な潜水を披露したり、国盗りレベルの設備投資額でゴリ押して、水中深くまで専用の潜水艦を沈ませたりもした。
すべては海の底にある。深海生物を蹴散らし、まだ奥へもっと奥へ……。
その言葉を信じて数々の人たちは挑戦し、そして自然に敗れた。深海は過酷な環境だ、なにせ人が住むような快適な場所ではない。
だから、二度と浮上することは叶わなかった。
空が泣いた1年後、空を見上げた。
青い空が広がっている。青い空?
どうやら空は泣いていない。
なぜだ?
わからない。
なら、どうして空は泣いたのだ?
それもわからない。言語を喋る口も聞くための耳も鼻もないから。
地上の人たちは訝しがっていた。それだけで済んでよかったと空は思った。
空が泣く、その理由は一つだけ。
宇宙がなくなっていたからだった。
9/16/2024, 2:39:38 PM