『空が泣く』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
空が泣く
今にも雨が降ってきそうな空。
空が泣きそう。
そんなある時、毎日の気分は空模様に左右されることが多いと気づきました。最近、年齢と共にますますそうだと思います。
そして、自分で不機嫌な顔をしているのは、周りまで陰気にしていて、辞めたいと思うようになりました。
空が泣いてても、それに左右されない自分を目指したいと思うこの頃です!
〜空が泣く〜
空が泣いていた
ふと視線を落とすと私が泣いていた
空は私の鏡のように映していく
ある時空が暗かった
空が心を閉ざしていて
私の心はばらばらだった
今は青く輝いている
ありがとう空
ありがとう私
常識を生きている。
みんなが思い浮かべるような、常識を。
会話も、行動も、常識を。
それを毎日繰り返す。
そうやって生きてきた。
だから、今日も
『常識の1日』
のはずなのに。
常識から外れそうな心は涙のひとつさえこぼさなくて。
ああ、でも
空は泣いている。
【空が泣く】
心の繋がり消えることなく、愛の歌も虹色に輝いていた。尽きることのない命の営みに、憐憫の思い重なる時、空がそっと涙を流す。歌声が聞こえる。誰もが、絶え間なく何かに思いを馳せるように。空もまた見ているのだろう。
「お父さん、助けて…。私、殺しちゃったの…」 深夜の2時過ぎ。震える声の娘から電話がかかってきた今年の春から、大学生になったばかりの一人娘からだ。大学は、自宅から通える距離にあったが、 「大学生なんだから、独り立ちしたい」と懇願されて、自宅から車で10分ほどのマンションで一人暮らしすることを許した。電話の向こうで、娘が泣きながら説明を続ける。「暑かったから、ちょっとだけ窓を開けて寝ていたの…。そしたら、あいつが入ってきて…。私、逃げたのにあいつが追いかけてきて…。お父さん、助けて…私、あの虫けらを殺してしまったの…」 俺は、娘を落ち着かせ、車で娘のマンションに向かった俺は、娘のマンションにつくと、墨汁の入った水鉄砲で、監視カメラのレンズを黒くふさいだ。そして、娘の部屋のドアを小さくノックし、部屋に入る。室内は、争いの激しさを物語るように散乱していた。ーこういうリスクは、想定しておかなければいけなかった。やはり、娘の一人暮らしは、認めてはいけなかったのだ。俺は、床に転がる虫けらを、どのように始末するか考えた。心臓がバクバクするのが、自分でもわかる。しかし娘が泣いているのを放っておくことはできない。そしてゴム手袋をはめ、虫けらをティッシュでくるんだ。このままトイレに流してしまうのが一番だろう。何重かにした袋にくるんでも、ゴミ箱にこいつがいたら、娘は、安心できないだろうから。トイレがつまってしまうのは怖いが、仕方ない。俺は、あえて、にらむような表情で娘に言った。「虫けら」って、文字通りの「虫けら」なのか?ゴキブリの死骸も自分で始末できないなら、一人暮らしなんて、やめてくれよこんなことで、真夜中に、いちいちパパを呼び出さないでくれ!」
空が泣くのってどんなとき?
単純に考えたら雨が降ってる時。
涙みたいに思えるから。
最近は色んなことを我慢して我慢して
いっぱいいっぱいになって
堰を切ったように泣くよね。
本当は溜め込まずに泣きたい時にほろり一筋涙を流せばいいのにね。
空と現代を生きる私たちは同じように我慢強くて無理しちゃう不器用さんなんだろうか。
なんちゃって。
空が泣く
空の神様は泣き虫だ
春のやさしさが恋しくて泣き
夏のかがやきが眩しくて泣く
秋のいろどりが淋しくて泣き
冬のつめたさが欲しくて泣く
空の神様は大地を愛している
だから
命が歌い
風が励まし
日が語りかけ
虹が涙を拭いてくれる
「待ちなさい!」
「い、や」
「あッ、こら!」
ウィーン…、目の前でエレベーターのドアが閉まった。箱の中にその生物だけを閉じ込めて、エレベーターはさっさと昇ってゆく。
内心舌打ちをした。
二機しかないエレベーター。あれが乗っていない方は上階を下っている。エントランスに着いて私が乗ってからあれを追ったとしても、あれはすでに家の中だ。
まさか、あれの細腕に押し退けられるなんて。
機嫌が悪いのは態度に表れていた。現場に居合わせていたわけでも、今日一日の様子をすべて知っているわけでもない私に、その理由は分からない。
だが、あまりいい気はしなかった。
身体を動かしていないと焦りで押し潰されてしまう。それくらいにはこころが安寧を失っている。
愚断だとは分かっていたが、階段を使った。
……本当に、本当に、愚断だった。
玄関に着いたときは皮膚が湿っていたし、首筋は濡れて痒い。ここ最近、あまり走る機会のなかった身体はギシリと関節に熱が溜まって。
脱ぎ捨てられた靴は隅と隅に打ち捨てられていた。なぜそうなる。
かかとを揃えてやる。
廊下のはずれから雨のような音がしていた。
「…お前、何をしているんです」
「……おふろに、はいってる。あのねそれだけ」
「うそおっしゃい。着衣のままシャワーにも当たらないのに」
「あのね、うるさいだけならどっかいって」
バスルームの真ん中でうずくまるこれ。服はすっかりお湯を吸っていた。膝にひたいをつけて。
片手で持っているシャワーのノズルは天井を向いている。勢いのまま天井を濡らして、楕円形の水滴に集まりぼたぼたと降ってゆく。
雨にしては太っている水滴。
それを静かに被るその生物はくるりと私を見上げてきた。
いつものスマイルはない。
「ばかだね。エレベーターのほうがはやいに決まってる。後悔した?」
「いまのお前に言う必要はありません」
「……ばかだね。あのね、透けてるんだよ」
「馬鹿なのはお前のほうです」
「ばかなうえに口まである。あのね、きて。こないとだめ。いますぐ。となり。きて」
水はけのいい床だから、水溜まりはすぐに排水溝に吸われて消えてゆく。バスルームのドアを閉めたから部屋の熱気とともに湿気がぐんと上がった。
湿度でこの生物の輪郭がぼけている。
その身体はどこもかしこも薄っぺらいし、濡れているから余計にだ。
となりで同じように膝を曲げる。
持って。とシャワーを押しつけられて雨製造機にされた。大粒の水滴が当たる感触は割と重たい。台風の刺すような鋭さはなく、けれど普段の雨にしては随分質量がある。
降ってくる間にお湯は冷めて。
なんだかこの生物の体温のようだ。
人工的な空を定期的に掃除していてよかったと心底思う。
「あのね、水が目に入った。いたい」
「やめて浴室から出ればいいんです」
「…あのね、めずらしくいいこと言うね。でも、もうちょっとなんだよ」
くしくしと目をこする。力を入れて皮膚を引っ掻くから、そこに傷がついてゆく。
辞めさせようとも思ったが、いまだけは好きにさせることにした。
#空が泣く
「雨のお題はこれで5回目なんよ……」
過去の雨ネタで何書いたかは、8月27日投稿「雨に佇む」のお題冒頭でまとめてあるから、気になったら確認してくれや。某所在住物書きは今日も頭を抱え、重複ネタにどう立ち向かうか思考を巡らせた。
ここで折れてはいられない。きっと、あと2〜3回は対峙することになる「雨」である。
筆投げて、「もう雨は書けません」して、ではいずれ来るであろう次の雨を、どう乗り切るのか。
「……つっても思いつかねぇものは思いつかねぇわ」
秋雨、氷雨、通り雨に豪雨。まだ書いていない「雨」はどこだろう。物書きは思いつく限り、泣く空を表す言葉を挙げ続けた。
――――――
3連休2日目。東京は晴れて相変わらず気温が高い。
太陽が無駄にニッコリご機嫌で、9月中旬って何だっけって暑さをしてる。
もうちょっと落ち着いてくれて良いのよ(懇願)
ただ、ずっとずっと西の方、九州の一部では、空がギャン泣き、大雨が降ってるらしくて、
職場の先輩がスマホの防災アプリで、該当地域の情報をチェックしてる。
先輩がちょこちょこ淹れて飲んでる緑茶、その産地のひとつが朝、ギャン泣きの空の下だったんだって。
「これが、その産地の茶っ葉だ」
先輩が住むアパートの一室。
先輩が食材仕入れて、料理して、私が食費とガス代を半分現金で出すっていう、節約術としてのシェアランチの後。
食後のお茶タイムで、カラリ、氷とお茶の入った白いカップを出してくれた。
「今日は暑いし、冷茶……アイスティーにしてみた」
ちなみに今日はクラッシュタイプのオートミールでとろみをつけた、辛さ控えめの麻婆豆腐だった。
片栗粉使うより、こっちの方が糖質は少ないらしい。覚えた。
「明るい若草色してる」
「私が普段飲んでいる黄色い方より、確実に渋みが少ない。味も優しいから、飲みやすいと思う」
「先輩はどっち好き?黄色い方?」
「お前は、どっちが好きなんだ」
「『両方好きだから答えられない』ね。おけ把握」
お茶飲んで、先輩からお茶菓子としてのチョコチップクッキー貰って、ぱくり。
ペットボトルのお茶とは少し違う、鼻に抜けるお茶の甘さと、爽やかさが、クッキーのチョコに混じる。
「……生クリームどら焼き食べたくなってきた」
このお茶っ葉作ってるところが、今、大変なんだ。
今まさに、空が泣いて、大降りになってる最中だろう地域のあたりを思いながら、私はもうひとくち、お茶を含んだ。
「生クリームどら焼き?」
「どら焼きのあんこの甘さをね、お茶のサッパリがサッパリにしてくれるの。で、お茶のサッパリを生クリームがラテにしてくれるの」
「はぁ、……うん、想像は、できた。同意する」
「ちょっと買ってくる」
「は?」
「生クリームとチョコと、栗と苺あたり買ってくる。先輩お茶、リットルで淹れといて」
「待て。確実に糖質過多だ。ひとつにしておけ。
おい、待てと言ってる、待、おい……
……『お茶、リットルで』……?」
空が泣く、私も泣く。
雨に紛れて涙が見えなくなるから、ちょうどいい。
悲しい空はまるで私の心を映し出す。
空にいるキミと、私の涙雨。
いかにも泣きそうな空だ。
そんな空を見つめながら、遠くに住んでいる彼女のことを思う。
今、彼女は、笑っているだろうか? 楽しい時間を過ごしているだろうか? 哀しんでは、いないだろうか?
今、遠くに住んでいる私には、思うことしかできない。
よくて話しを聞くことしかできない。
昔のようには、毎日そばにいて、バカバカしい話しいして、笑って過ごして過ごすことはできない。
大人になったということだと思うだろう。
それでも、変わらない〈友情〉は変わらずにいたいと思う友人がいることは、幸せなのだろうと、泣きそう空を見上げて思った。
#泣きそうな空#
ソフィア
空が泣く。
空にいる龍が泣いているのだろうか。
そこに雷様が来たら大変な事になる気がする。
龍は水の神。
水の如く繊細。
だから、あまり泣かされては困るよ。
お題 空が泣く
1人の少女が友達の言葉に傷ついた。その場では笑って乗り切った。涙が滲んでいないか、少しの不安を残して。
家に帰り、階段を駆け上がる。ベッドにうつ伏せに倒れ込む。視界が湿っていく。
私の名前は空。今日、わたしは泣いた。
快晴を喜べない僕は、雨降りを恨むこともない。そうは言ってもやっぱり降らない方がいいのだと思う。だって今日の主役は僕じゃないから。姉は気の強い人だった。昔から僕と喧嘩ばかりして。誰にも頼らないくせして何にもできやしないの。そんな姉の披露宴だもんな。時間が人を変えたのだとしたら、それはそれは結構なことだと思う。何より彼女が幸せなら。信号が赤に変わって、シートベルトが僕を締め付けた。油絵のような曇り空を車窓から眺めていると、考え事がしたくなるのは何故だろうか。それも多少ばかりブルーなやつ。きっとそうは見えないと思うけど、僕だって、結婚願望ゼロってわけじゃない。所帯をもって人の温かみに触れて、穏やかに生活できたら何よりいいと願っている。でも相手がいないのでは仕方がない。本当は今、このときだって助手席で愛を振り撒いてただ僕のシニシズムを軽蔑してくれる女の子が欲しい。でも上手くいかない。こんな性格だから好かれないのか、好かれないのからこんな性格なのかは分からないけど。いや、多分前者なんだろうな。ああ、雨の一つでも降ればいいのに、なんて言葉が浮かんでしまった僕を誰か殺してくれ。そんなとき聞こえてきたのは馴染みのない誰かの歌声だった。
みんなが泣いているときに
上手く泣けなくてもいいのさ
みんなが笑っているときに
上手く笑えなくてもいいのさ
AMラジオからシンガーソングライターが、僕ではない誰かを慰めるために。信号がやっと青になって、僕は空から前方に視線を戻した。前の車はみな先を急いていく。フロントガラスにはたった今、大きな雨粒が落ちてきた。僕も鼻から息を一つ吸って口から吐き出し、ゆっくりとアクセルを踏んで加速を始める。
空が泣く Momの音楽よ永遠であれ
空が泣く
空が泣くと
私の心の中に雨が降る
モヤモヤとした雲を
くぐり抜けて
体が重くなる
そして
何もしたく無くなる
これが死にたいって事なのかな
空が泣いているね
って小さい子に言ったら
何言ってるのって顔されていた
私は、友達の隣でずっと笑っていました
今の子すげなあー現実的なやつだなって思いながら
まあ、友達はそのあともう
空が泣いてるねではなく
雨が降ってるねに変わりました
空が泣く
「ねぇねぇ!パパ!
明日のうんどうかいはママが晴れにしてくれるよね?
おそらにいるママがきっと雨をふらないようにしてくれるよね?」
明日の幼稚園の運動会のためのお弁当の下ごしらえをしにキッチンに立っている俺に息子は聞いてきた。
1年前、息子がまだ3歳の時
妻は病気で息を引き取った。
妻の香織が亡くなった時は人生で1番悲しかった。
けど、妻は最期まで笑顔で「光信(こうしん)をよろしく。ずっと見守ってるから。2人を愛してる。」と言っていた。
だから光信を立派に妻の分も愛情をたくさん込めて育てていきたいと思っている。
妻が亡くなった時息子には
「ママはお空にいるんだよ。
パパと光信を見守っているんだ。」
とそう言った。
だからママが晴れにしてくれると言う言葉が出たようだ。
「うん。そうだな。ママがきっと晴れにしてくれる。
でもな、光信。ちゃんと部屋を片付けないとママ怒って泣いて、明日晴れにしてくれないかもだぞ?」
「え〜、いやだ!こうしんおかたづけしてくる!」
そう言って部屋に戻っていった。
なあ、香織。光信は立派に育ってるよ。
だから見守っててな。
明日の運動会も晴れになるよな。
光信の頑張りを応援してて?
俺、もっと頑張るから。
心の中でそう言った時
ずっと見守ってるからね。
光信をよろしくね。パパ。
そんな声が聞こえた気がして、弁当をもっと豪華にして光信を喜ばれせてやろうと気合いをいれた。
えんど
【空が泣く】#1
「あぁ、今日は土砂降りか。」
突然だが、私は、空と会話することができる。
「空さん、今日は土砂降りみたいね、どうしたの?」
私が空に問いかける。
『もう辛いの、』
「どうして?昨日まで元気だったじゃない。」
『なんか、私、もう、みんなに嫌われてる感じがして』
「なんで?空さんは人気者でしょ?」
『前までは、地上に耳を澄ましたら、人の笑い声が沢山聞こえてきた。でも、今は違う、みんな、私の悪口を言っているの、』
「、、なんて、聞こえてきたの、?」
『ある晴れの日、[晴れの日は暑すぎて過ごしずらい]って言われた、ある曇りの日、[曇りはテンション下がるから嫌い]って言われた、ある雨の日、[雨って、めんどくさくて嫌い]って言われた。』
『私はどの天気でも嫌われてしまう。』
「そんなことがあったのね。大丈夫、無理はしなくていいわよ、私空さんのどの天気も好きだわ。」
そう空に伝え、私は学校に行った。
《お、__おはよー、》
「おはよー」
《いやー、土砂降りだねぇ?》
「だねー、」
《ほんっと、雨って髪もぐちゃぐちゃになっちゃうし、気分もどんよりしてテンション下がっちゃうから嫌いだわー、》
「、、」
私はいっつも、友達に合わせてばっかだった。
嫌われたくない、
そういう思いで、みんなと違うことを思ってても、必ず「そうだね」と言うようにしていた。
でも、今日の空の言葉を聞いて、頷いてはいられなかった、
《__?》
「空、、、にも、色々事情が、あると思うし、、」
「簡単に嫌い、って言っちゃだめ、、だと、思うな、」
「私は、どんな天気も、、好きだよ、?」
《、、え、w》
《どーした?w何?w遂に頭おかしくなったの?w》
「空、って、雨が降ってる時は必ず泣いてるんだよ、!」
《は?笑 __そんなことまだ信じてんの?wうけるんだけどw》
信じていた友達。
でも、あの子は私のことを信じてくれなかったみたい。
案の定、みんなからばかにされた。
でも、私はいつもみんなの意見に同意してばっかだったから、よかったかもしれない。
こういう人たちの言葉で、
" 空 が 泣 く 。"
/作者
自分でも意味わかんなくなっちゃってるんですが暖かい目で見ていただけると幸いです。
「止まない雨はない」と聞いたことはあるけれど、
こんなにも降り続くと、空が泣いているみたいだ。
空も、悲しかったりするのかな。
「空が泣く」
カレンダー
「だってそういうものじゃん。それが正しいじゃん」
「伝統より実用性を考えろよ。隣に並んでた方が諸々書きやすいだろ」
「別にまたぐような予定ないですぅ個別に書きますーう」
「ああ独り身には泊まりがけの予定なんかないよなぁ?」
「お前だって彼女いないだろ!」
「別に彼女いなくても泊まりの予定はあるし!」
「男だらけでむさ苦しいわ!」
「なにあれ」
「カレンダーのスタートは日曜か月曜か論争」
「後半関係なくないか?」
喪失感
「ない……?」
いやそんなはずない。いやいや絶対ある。あるって。あれよ。
ガチャガチャ引き出しを漁って、しまいにはひっくり返して、それでも見つからない。お気に入りの、先週も使ったはずの、髪留め。
「なんでないの〜!?」
絶対ここにしまったのに! うがががが!! 今日使いたかったのに!!
「やっば、もう出かけなきゃ!」
「ってことがあってさぁ」
「そういうの、私は妖精にあげたって思うことにしてる」
「ファンタジー」
世界に一つだけ
ずっと真っ暗だった。無味乾燥。色のない世界。ひとりぼっちの冷たさ。
それが変わったのは、たぶんあの瞬間から。
君の笑顔。柔らかい声。温かい日差し。
みんなとふざけあう放課後。一緒に食べたお菓子。くだらないことで笑って怒って泣いて。
難しいことにもつらいことにも、みんなとなら向き合うことができた。
支えて、支えられて。過ごす日常。
君はいつだって光り輝いて、道を照らしてくれた。
欲しいものは、この世界に一つだけ。
胸の鼓動
「あの、すみません! 私のこと知ってますか?」
「えっ……いえ、あの、知らないです」
じっと見つめると、彼は気まずそうに目を逸らした。
顔も声も身長も仕草も全部私の好みからは外れてる。四球だ。
なのに。
胸を押さえると、ドキドキと大きく鳴っている。
「あの、病院に戻った方が」
「何で病人って知ってるんですか?」
うっと詰まる。やっぱり。
私は記憶喪失ではない。乖離性同一性障害だ。
この人はたぶん、「わたし」の好きな人。
踊るように
「さあ、はじめましょう」
ジャラ、と大鎌に繋がれた鎖が鳴る。
痛む肩の傷を押さえながら必死に顔を上げると、腐った顔を崩しながら3体の食屍鬼が向かってくるところだった。
「ひっ」
1体が伸ばした腕の先、鎌が遮るように床に刺さる。柄を支点にブーツの踵が円を描き、その食屍鬼の首が脆くも飛んでいった。スカートとツインテールが追うようになびき、着地と同時に今度は鎌が残り2体の胴をまとめて真ん中から切断する。
静寂。