秋風』の作文集

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秋風』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど

11/14/2024, 2:17:34 PM

『色なき風』

 人は秋風を色なきと云う

 然れど吹く風実に柔らかく

 尾花を揺らし紅葉撫でる

 色なき風が色取る月よ

 あゝ秋風よ色なき風よ

 ──お題:秋風──

11/14/2024, 2:13:22 PM

何かが欠けているような感覚。少しの空虚。吹き込む秋風がそれを思い出させる。


 天高く馬肥ゆる秋というだけあって、過ごしやすい時期だ。酷暑も過ぎ去りその暑さを忘れ、食べ物も美味しい。食べ物はいつだっておいしいが、秋の誘惑となれば白旗を上げるばかりだ。
 仕事は忙しいが、休日が潰れることはない。休日は行楽を楽しみ、食を楽しむ。充実している。

 そんな中にあってふと冷たい風にさらされると、秋に高揚していた気分がすっと落ち着く。落ち着くだけなら良いが冷めてしまうこともある。そうすると、自分を俯瞰する自分がいる。
 楽しんでいたことを思い、そして、分かち合うひとがいないことに気付かされる。
 そのひとに別れを告げたのは自分だというのに。

11/14/2024, 2:10:44 PM

秋風は心地よい。一年で一番気持ちが良い。冬から春に変わった時に吹く風も同じくらいに素晴らしいが、同時に花粉症という悪夢も連れて来る。夏と冬は論ずるに及ばない。秋風が常に吹いているような土地があるならば、私はそこに住みたい。

11/14/2024, 2:08:06 PM

秋風

秋の風か吹き始めると僕らの部活は一旦終了となる。秋から春にかけては、体力づくりが基本となり、陸上のトレーニングが主なものだ。
公立の高校に通っているため、プールは屋外にあり、使用許可がおりるのはゴールデンウィーク明けから9月のシルバーウィークまでとされている。9月に入っても暑い日は続くが、部活の終了時間が近づくころになると秋の涼しい風が吹き、水に濡れた体を冷やす。水の冷たさを感じ始める季節だ。

今年もプールの使用が禁止され、陸上トレーニングが始まった。腿上げ、腕立て、腹筋、坂道ダッシュ。どれも水泳に必要な筋肉をつけるためには大事なものだ。分かってはいる。しかし、ふと思う。自分は何部だった?
私立の学校は室内に大きなプールを持っていて、季節を問わず練習している。ああ。人生ってなんて不平等。
そんなことを考えながら、朝のロードワークをしている自分。真面目すぎて悲しい。

陸上トレーニングを真面目にしていると走力がついてくるため、陸上部の顧問から陸上部に入らないかと誘われることがある。
陸上部も悪くないかも…。

来年の春、僕は何部に所属しているのだろうか?

11/14/2024, 2:05:52 PM

秋風吹き荒れる頃
私はきっと消える
だから私はあなたに会いたくなかった

11/14/2024, 2:04:04 PM

冬の冷徹な疾風の前。心地の良い冷気が暖かい体を撫でる。
心が冷え切る前の、秋の風。

11/14/2024, 2:04:02 PM

青々と茂る葉桜の下で、いじらしく咲く君を見た。
僕の春は、青嵐に乗ってやってきた。

桜の葉が落ちはじめ、風が色をさらう。
褪せた花びらを押し潰して、栞を作った。
二度と読まない本に挟んで。

あの桜の下で、花が咲くのを待つことにした。

春、桜が狂い咲く。美しく、疑わしい。



(梶井基次郎さんの「桜の樹の下には」より''桜の下には死体が埋まっている''に影響を受けています。)

秋風のことを''色なき風''って言うんだってさ。

11/14/2024, 2:04:00 PM

秋風が優しく髪を撫でる
少し冷たい風だが
今はそれが心地よい

これから冬が来る
雪国の冬は忍耐だ

ちゃんと秋を満喫しただろうか
やり残したことはないか
思い返してみる

11/14/2024, 2:02:40 PM

はあ、仕事行きたくないな⋯
そんなことを思いながら銀杏並木を散歩していた。
元気がない時にここを散歩すると、赤や黄色に染まった葉に元気をもらえる気がする。
この銀杏並木があるから私は頑張れてきた、と言っても過言ではないくらいだ。
「あの仕事、早く終わらせよう」
そう呟いた時、私を応援するように「秋風」が通りすぎた。

11/14/2024, 1:58:59 PM

目に見えないものばかりだ。季節はいつの間にか移ろうし、気圧なんかに気持ちが左右される。大切だったものはなにもかも、目に見えないところへ逃げていく。
1時間かけて巻いた髪を風に攫われる。どこに逃げたって、不自然なアイロンの熱を冷ますような、秋のにおいがする。
目に見えないものなんかに掬われたくない。落ち葉を風がくすぐって、舞い上がる。そうしてまた落ちる。
目に見えないものに左右されて、ただ生きているだけが悲しい。心の質量が大きすぎて、目に見えないものをひとつも信じられなかった。
秋風と冬のそれを切り分けられるようになったら、18年引きずった愛おしくて重たい体を預けよう。いつか燃え尽きる日、灰になって風に乗って、目に見えないくらい細かくなれたら。その日はたぶん、死ぬのにちょうどいい。


/秋風

11/14/2024, 1:57:41 PM

秋風 


さらりと吹けば
長く伸ばした髪を梳く爽やかさ

紅葉し色付く木々は
情熱的に写りさざめく

コスモスが
愛おしく咲いて微かに揺れる

景色をなぞる
風と瞳

11/14/2024, 1:55:42 PM

某所、街の真ん中で戦いを繰り広げる者たちがいた。
 正義の味方のジャスティーズと、世界征服を企むワルダクミン。

 ジャスティーズは、赤、青、ピンクのスーツを着た三人組。
 ワルダクミンは、軍服を着た女が一人であった。
 お互いの相容れない目的のため、両者は激突する。

 しかし三対一の戦力差。
 数の有利でジャスティーズに利があると思われたが、意外にもワルダクミン側である軍服の女性が圧倒していた。
 それもそのはず、軍服を着た女はワルダクミンの幹部。
 強さがステータスの組織で、五本の指に入る強者なのだ
 他の雑魚怪人とは比べ物にならないほど強く、ジャスティーズの三人を歯牙にもかけなかった。

「バカな!
 強すぎる!」
 赤色のスーツ男――レッドが悔しさをにじませながら、軍服女を睨みつける。
 そんなレッドを、軍服女は涼しい顔で見下す。

「こんなものですか、ジャスティーズ?
 拍子抜けもいいとこですね」
「くっ」
「ではトドメを差しましょうか?」
「くっ!」
「――といいたい所ですが、今日は見逃してあげましょう」
「どういうつもりだ?」
「もう少し遊んであげたいところですが、時間ですので……
 では皆さん、また会いましょう」

 女性がそう告げると同時に、迷彩柄の高級車が横付けする。
 ワルダクミン幹部専用の送迎者だ。
 女幹部は、ジャスティーズを振り返ることなく車に乗り、その場を去ったのであった。

 ◇

 20分後、電車にて。
 スーツの三人は、座席に座っていた。
 基地に戻るためだ。

 しかし誰も口を開く事は無く、みな下を向いている。
 女幹部との圧倒的差名を見せつけられ、三人は打ちのめされたのだ。

 三人が乗ってから3つの駅を通過したとき、ようやくブルーが口を開く。
「なんなんだよ、あれ」
 ブルーは、重く悲痛な感情を込めてつぶやく。
 思い出すのは、女幹部の去る姿。
 ブルーは悔しさで唇をかむ。

「……やめろ、ブルー」
 だがレッドはたしなめる。
 言葉にしたところで何も解決しないばかりか、余計に惨めになるからだ。
 しかしレッドの言葉は、ブルーには届かない。
 ブルーはさらなる怨嗟の言葉を吐く。

「俺たちは!
 経費削減で電車に乗っているって言うのに!」
「やめろ」
「なんでアイツ送迎があるんだよ!
 こっちは自腹だぞ!!」
「やめろと言ってるだろ!」
 レッドがブルーにつかみかかる。

「分かってんだよ、そんなこと!
 口に出すんじゃねえよ」
「お前悔しくないのかよ!
 こっちは正義なのに、なんでこんなひもじい思いをしないといけないんだよ」
「うるせえよ!
 金が欲しいなら銀行強盗でもすればいいだろ!」
「それ、正義の味方が言っていい言葉じゃねえぞ!
「喧嘩は止めて!」
 レッドとブルーの言い争いに、ピンクが割って入った

「仲間でしょ?
 仲良くしよう」
「「……」」
「私も同じ気持ちよ。
 でも仲間割れしては、敵の思うつぼ。
 こんなときこそ、力を合わせないとね」
 ピンクの言葉に二人はハッとする。
 ピンクの言葉通り、喧嘩している場合ではない。
 それよりも、女幹部に勝つための作戦を考えないといけないのだ。

「……悪い。
 頭に血が上っていた」
「……こっちこそ、怒鳴ったりして悪かったよ」
「うんうん、仲良しで行こうよ」
 レッドとブルーは、仲直りの握手をする。
 彼らの絆は、固く結ばれているのだ!
 
 ◇

 ジャスティーズが固い握手を交わしている間、電車は駅に着いた。
 開いたドアから客が乗ってくるが、その中にジャスティーズの知っている顔がある。
 レッドはその顔を見て、思わず叫ぶ。

「貴様、ワルダクミンの幹部!
 なぜこんなところに」
 さっさ戦った女幹部が電車に乗って来たのである。
 しかし今の彼女は軍服を着ておらず、オシャレな私服に着替えていた

「あら、誰かと思えばジャスティーズの皆さん。
 ごきげんよう」
「余裕だな?」
「そうでもありませんよ。
 あんなに優雅に去ったというのに、すぐに再会してしまいました。
 とても気まずいです」
「ふん、よく嘘をつけるものだ
 貴様何を企んでいる!」
「たくらみも何も、今から旅行に行くところです」
「旅行だと!
 ハッ、騙されんぞ」
「いえいえ、本当ですよ。
 現場から直帰で家に戻りましてね。
 着替えてきたんですよ」
「おいおい、まるで仕事が終わったかのようじゃないか。
 まだまだ戦いはこれからだろう?」
「いえ、ありません。
 勤務時間外、定時ですので」
「「「て、定時だと!?」」」
 レッドは――いやジャスティーズの三人は、驚愕の表情で女幹部を見る。

 ジャスティーズは正義の味方、助けを求められればいつでも駆けつけなければならない。
 そのため、定時越えどの残業はどころか、休日返上もあたりまえ。
 そしてこれから基地に帰っても、報告書を書くためにサービス残業をしなければいけない。
 そんな勤務実態なので、ジャスティーズの三人は、女幹部に嫉妬し始めた

「ふ、ふん。
 それは良かったな
 俺たちは仕事だ。
 お前のいない間、街を平和にしてやろう」
「がんばってください」
「他人事だな。
 しかし、分かっているぞ。
 お前は旅行先でも悪事を働くつもりだろう?
 どこに行くつもりだ!
 言え!」
「草津です
 リラックス休暇で、一週間ほど温泉を楽しむ予定です」
「「「くさつ、りらっくすきゅうか、おんせん?」」」

 聞きなれない言葉に、三人はオウム返しをする。
 女幹部から出てくる数々の新事実に、彼らは打ちのめされる。
 そして、戦いで負けた時よりも、心に深い傷を負った。

『次は、ツギノマチ、ツギノマチーー』
「すいません、次の駅で乗り換えなので失礼しますね」
「あ、ああ」
 レッドはもう食いかかったりしなかった。
 戦いでもプライベートでも、殺到的な差を見せつけられた彼に、そんな気力は残っていないのだ。

 そして電車は駅に着き、ドアが開く。
「では一週間後、また会いましょう」
 女幹部はペコリと頭を下げ、電車を降りていく。
 その様子を三人は、ただ黙って見つめるしかなかった

 ◇

 ついに暴かれた女幹部の秘密。
 圧倒的な強さに、三人は打ちのめされてしまう。
 でも大丈夫。
 三人ならきっと乗り越えられるはず。

 次回、ジャスティーズ

『辞表』

 来週また会いま――え、辞表って何?
 打ち切り!?
 聞いてないよ!

 まって話を―――

<お知らせ>
 この番組は打ち切りになりました。
 次回からは、ワルダクミンが始まります。
 第一話『草津温泉日記』
 お楽しみに

11/14/2024, 1:53:44 PM

少し冷たい秋風が頬を撫でる。
あなたの心地よい、体温を感じさせない冷えた指先を思い出させるように。

冷えた身体は徐々に心までも侵食する。

人肌恋しい秋のはじまり。

11/14/2024, 1:53:09 PM

ここ南国でも秋風は吹く。
暑苦しい夏がバタッといなくなる。

もうすぐ冬がやってくるよ。

そう言って私の肌の湿気を
さらっていく。
秋風はとてもスマートだ。
期待を持たせては時に裏切る。
爽やかで昔風に言うニヒルなやつ。

私は冬の前座だよ。

控え目なところもなおいい。
前座と言わず、
一年の主役になってよ。
私は秋風が好きだ。

11/14/2024, 1:51:52 PM

「秋風」

それは雪が降る前にやってくる

近くにいるが見れない

歌を歌うが声は出ない

触ってくるが触れない

あちらから一方的に寄ってくる

冷たくも暖かい秋風が

僕らの頭を撫でに来る

11/14/2024, 1:51:06 PM

「秋風」


季節の変わる時は

空気感で感じることが多い

どんなに気温は暖かくても

風に冷たさを感じる

あー、夏は終わったんだ


読書の秋

美味しいスイーツ

嬉しいこともあるけれど

秋の風は

夏の終わりを告げる

そしてなんだか

淋しさを感じる

11/14/2024, 1:47:06 PM

薄のごと 流る秋波は 多かれど 
    この文のみは 透垣の蔦

          蔦育ち 透垣ふみて 越え行けば
               蔦の頭は 秋風に向く


よのなかに 流る秋風 躱しつつ
   変わらぬものは 透垣の蔦

          秋風は 野分のごとく 吹き荒ぶ
           枯れた蔦取り いとさぶしもの


野分にも 勝ちし蔦には 寄る辺あり
     君の添木に 勝るものなし

         根の強し 蔦とや見るや 君が蔦
            我が木の下へ 居懸からんや


寄り合って 見る望月の 影優し
    冷たき秋風も 温き東風

         望月の 下寄り合った 蔦と木を
           誰か裂かるや 野分も秋風も


秋恋の 言葉思ひて 夜を明かす
    一人の蔦は 心許なし

         秋風の 便りのみ聞き 夜を明かす
              蔦のみぞ待つ 秋の長夜


今日の月 送れよ風よ 君がもと
   我が心根の あまた全てを

         君が来ず 文運びくる 風の音は
              冷たく柔く 秋風のごと


       秋風に 吹かれぬものなど あらざれば
              頼るべきなし 蔦も文も

11/14/2024, 1:45:39 PM

夕方…
双子の1人と一緒に愛犬の散歩に出た
時刻は、17時を指そうとしていた
日没は近い、何とか道が見える間に
さっさと1人でと考えていたが…
「ぼくも行く!」と…
後ろから元気な声が聞こえた
「じゃ、一緒に行く」
愛犬は、いきなりの乱入にちょっと
ソワソワしながら、私たち2人と
一匹は家をでた…
いつも定番の散歩コース約15分
歩数にして2000歩足らずだ
東→北→西→……夕焼けが綺麗だなぁ
「すごいね…見てみなよ、綺麗だね」
2人で立ち止まり西の空を仰いでいると
小3の彼が「ぼく、この感じ大好き
秋は良いなぁ〜」なんて…
いつの間にやら大きくなって、洒落た
会話が出来るようになったもんだ…
「さあ!早く帰らないと真っ暗になるよ」
秋風を感じながら一目散に自宅を
目指し急ぎ足でまた歩き出した。

11/14/2024, 1:40:25 PM

秋風。

いきなり何のことやらと、
調べてしまった。

秋口に吹く涼しい風だとか
日本海軍の駆逐艦の名前だとか

後ろに、送るという動詞をつけたら
女性が男性に媚を売る色目だとか

後ろに月をつけたら
8月の異名だとか。

秋が五行説の金にあたるので 金風 とか。
世間に出回ってる言葉を巡ると
なかなか乙なこと言ってくれたりしてくる。

個人の意見では 麦が実り、世界を金色に染めてくれたり
赤色に染めてくれたり
いつの間にやら雪が混じる白い風が強く吹く

着る服に悩む時期だと思いながら
いつだって着る服には悩んでる
風が吹くなら
いつだって膝丈くらいの長い裾を風に任せて

颯爽と歩きたいのだ。

いや、かっこいいだろ?

11/14/2024, 1:39:07 PM

【秋風】


ずっとこんな気温だったらいいのに、へらへらと笑いながらトワが言った。去年も一昨年も同じことを言っていて、でも今年はキンモクセイの匂いに混じって違う匂いが鼻をついていた。
「何この匂い」
「シャンプー変えた、友達に教えてもらったんよ。めっちゃいい匂いよな」
「うへえ」
昨夜のやりとりを思い出す。割とずっと、家の中でも外でも、ふわふわと甘ったるい香りが漂っている。異物感がすごくて、何とか誤魔化そうと同じやつを使ったらトワに怒られた。自腹だったのに、と言うのでじゃあ同じの買う、と返したらそれはそれで違ったようだ。

トワと同じ匂いになって、でもどこか異物感はずっとあって。それがやっぱり気持ち悪くて、風呂上がりにリビングのソファでだらけてたトワを抱き寄せた。猫がするみたいに、匂いを混ぜたらマシになるのでは、という苦肉の策だ。
「なに、離して、さすがにキモいて」
「うーん」
「聞いてる?」
「うるせえな、今話しかけんな」
「意味わからん、はーなーせー!」
「うーん」
もがくトワを腕の中に閉じ込めつつ、シャンプーやらいろんな匂いを吸う。腕の中の熱のかたまりが心地よくて、だんだん匂いとかどうでもよくなってきた。思っていた結果とは違ったけれど、これはこれで正解に近い。
「トワちゃん、ちゅーさして」
「はあ!?ちょ、マジでやめろ、おい!ナガヒサ!!」
弟に甘いトワも、さすがに全力で抵抗してきた。爪も立てられて若干痛い。気にはならないけれど。両手でトワの小さい頭を掴んで、そのまま力任せに口を近づけた。どこに触れたか不確かだが、柔らかかったので良しとしよう。
すっかり胸がいっぱいになって満たされたので、パッと手を離す。床をのたうちまわりながらトワは距離を取る。テーブルに思いっきりぶつかって痛そうだ。
「おま、さいあく!!」
「減るもんでもないし、いいだろ別に」
「減るわ!!初ちゅーが弟とかもう、何なん!!」
「いや今の初チューじゃねえし」
「えっ……」
ポカンと目を見開いて、トワがこちらを見上げてくる。顔も耳も真っ赤で、正直かわいい。叶うならもう一回抱きしめたい。ただ、今動くと絶対に逃げられる。
「トワひでーな、全部忘れてんの?」
「は?え?……まじ?」
「まじ。まあ全体の9割はトワ寝てたから、わからんのはしゃーない」
「死ね!!!!」
立ち上がったトワに叩かれた。べちりという音と共に視界が揺れる。そのままドタドタと音を立てて2階に行ってしまった。この調子だとしばらく口をきいてくれないかもしれない。
「……風呂入って寝るか」
のそりと立ち上がって、浴室へ向かう。あちこちに漂っていた匂いはすっかり気にならなくなっていた。残ったのは、窓から吹き込んだキンモクセイの匂いだけだった。


※※※


登場人物
ナガヒサ:姉に触れてもゾワゾワしない体質。お姉ちゃんがいればなんでもいいし、それ以外はどうでもいい。
トワ:弟に触れられるとゾワゾワする体質。弟に甘いので翌日以降も口をきいてくれる。

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