明永 弓月

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 何かが欠けているような感覚。少しの空虚。吹き込む秋風がそれを思い出させる。


 天高く馬肥ゆる秋というだけあって、過ごしやすい時期だ。酷暑も過ぎ去りその暑さを忘れ、食べ物も美味しい。食べ物はいつだっておいしいが、秋の誘惑となれば白旗を上げるばかりだ。
 仕事は忙しいが、休日が潰れることはない。休日は行楽を楽しみ、食を楽しむ。充実している。

 そんな中にあってふと冷たい風にさらされると、秋に高揚していた気分がすっと落ち着く。落ち着くだけなら良いが冷めてしまうこともある。そうすると、自分を俯瞰する自分がいる。
 楽しんでいたことを思い、そして、分かち合うひとがいないことに気付かされる。
 そのひとに別れを告げたのは自分だというのに。


11/14/2024, 2:13:22 PM