『秋風』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
秋風。
最近は、秋もずーっと暑いし、寒い。つまり、変化が厳しい季節に吹く風なんてものも、きっと辛さがある。
私はこの時期関係なく、冷たい風が吹き始めた頃に感じる想いがある。それは、あなたへの恋心だ。僕と同じように、風の寒さで背筋がシャンとする様な、心臓をグッとする様な、吐く息にすがる様な思いを感じる人は、少なくないはずだ。
だから、この季節を好む人も多いのだと思う。
だけど、ここ数年で季節が移ろうという感覚がおかしくなっている。気温も、自然の装いも、会話の内容も、イベントも、服装も、何もかもが、さも自分は関係ないですと言わんばかりに佇み、吹き抜ける嵐のように、他方へと荒れてしまっている。
その分、心の気持ちの思いの感情がまとまらず、背中を押すモノも何も無い。
秋風よ。
早く背筋を伸ばして、足を踏み出させておくれ。
待っているから。
風ではありませんが
学生時代
わたしは美術科で
日本画を専攻していたことを思い出します
卒業制作として
80号の日本画を描くにあたり
アホなわたしは
山奥の湖畔の風景を選んでしまい
何度もそこに訪れることに
段々と辟易するように
そうこうしているうちに
忽ち紅葉に
出来上がった絵をみて
教授がタイトルを一言
「初秋やな」
秋の思い出でした
「秋風」
私が秋風を嫌うのは
何もかも、目を閉じている間に
あっという間に運び去ってしまうから
そうして秋風がその腕に囲みこんだものは
二度と戻ってこないから
だから今年の誕生日は 独りだから
だから私は秋風が嫌い
「秋風」
【秋風】
秋風で君の髪が揺れる
その横顔からは儚さを感じた
また秋の乾いた風が吹く
君にもいつか春風が吹くことを願っています
<気象庁は13日、東京地方で木枯らし1号が吹いたと発表しました。2020年以来、3年ぶりとなります>
2020年。もう3年も経つか。
季節が秋から冬に変わろうとしている、
祖母が死んだのはそんな時期だった。
当時の情勢の影響で最期を看取ることはできなかったし、
葬儀もずいぶんと簡素なものだった。
小さい頃、両親の墓参りの度に祖母と2人で歩いていた道。
1人で歩くのは気が滅入って、私の足は遠のいていた。
「風っていう漢字の中が虫みたいなのじゃなくて木……
これなんて読むの?」
「凩、こがらし。木枯らしとも書くのよ」
木枯らし1号という風の存在を教えてくれたのも祖母だった。
秋風と冬風の間で吹く風。
時期は10月半ば〜11月末。その他に気圧配置、風向き、風速が定められていて、その規定内の風が初めて吹くと木枯らし
1号とみなされる。
そんなに明確に条件を定めるなんて趣がないね
と言う僕に対し祖母は、
秋の終わりがはっきりわかるから好きなのよ
ずっと秋でいてほしいけど、秋風だと思ってたのが実は冬風でした、なんて一番悲しいもの
と言っていたのを思い出す。
3年ぶり。祖母がいなくなって初めて、秋の終わりを感じ取れた気がする。
祖母に今年の秋の話をしよう。
一緒に冬を迎える準備をしよう。
あそこのお花屋、まだ開いてるかな。
「秋どこ行った?」
今年の夏はアホみたいにいつまでも暑かった…と思いきや突然の気温低下。一気に冬だ。君はそのせいでただでさえ柔らかそうな頬をぷくぅと膨らませてる。
「おれさー、秋の風って好きなんだよねー。なんかきもちーじゃん」
「嫌いな人とかいないんじゃね」
俺がそう言うと君は確かに!ときゃっきゃっと笑った。
「それがすっかり冷たい風がぴゅーぴゅーだよー。秋なんて一瞬だっよー秋の風がこいしーよー」
「…なぁ知ってるか? 秋風が吹くって恋人関係が冷たくなるっていう意味なんだぜ」
ホントは立つだけど説明すんの面倒だから吹くって言って君の顔を覗き込む。君の頬からぷくぅがしおしおと消えていく。
「…秋、きらいになった」
▼秋風
君の横顔。
茶色の髪が
秋風に揺れて。
こちらを見て僕に笑いかける、
そんな君が好き。
秋風、
どの風よりも大好きで
どの風よりも寂しく感じる
秋風がどこから吹いてきているのか
叔父はいつも、秋になると言っていた
秋風は大好きだ
叔父が、叔父として私と接してくれる最期の訳
秋風が吹いている
どこから吹いているんだろうか
風が通りすぎる。
寒くてポケットに手をいれた。
コケないよう気おつけないと…
秋風
秋風が吹き始める頃は過ごしやすく大好きな時期。家の中も気持ちよく過ごせます。戸建てなので、窓を四方開けて風を通す。わたしには何よりの贅沢です。
長くマンション暮らしで、風が通り辛かったから嬉しいんです。
ところが今年は、秋になっても吹いてくる風が熱風みたい。秋風ではなく、夏の風でした。
このまま毎年こんなのだったらと、ゲンナリしています。
秋風
夏の熱い風にうんざりしていると、
すーっと、涼しい風になる。
そして、あっという間に、冷たい風になり、
短い秋が去っていく。
秋風…今年何回気が付いたかなぁ。
paki
7,秋風
そういえば、今年は秋くるの遅かったね。
で、やっときたーって思ったら一瞬で秋おわったね。
でもその一瞬に吹いた秋風は、やっぱり冷たくて、でもどこか、優しかった。
2023.11.14
秋風
秋の風
落ち葉が舞う
空中に大地に
すり抜けて
通り過ぎていく
秋の終わりを急ぐ様に
風に舞う
何処へ向かっているんだろう?
からかぜに 攫われたマスク 宙を舞う
ひろう幼子 取り上げる母
「秋風」20231114
誰かに呼ばれたような気がして振り返ると、大きな丸い夕陽が沈むところでした。
橙が群青に溶ける様をしばらく眺めていた私の頬を秋風がそっと撫でてゆきます。その感触はあなたの指に擽られたようで、思わず辺りを見回してしまいました。
誰も居る筈など無いのに。
『秋風』
#54 秋風
落ち葉を踏み歩いた、
粉々になった葉は風に
吹かれて宙を舞った。
あたしの夢とともに
粉々になって、
2023/11/15
秋ってなんだろう。最後に秋と逢ったのは去年のことなのでもう忘れてしまった。今年も秋に会えるのを楽しみにしていたのに今年は秋と逢うことが出来ないことにボクは心が沈んでいた。
そんな時頬に冷たい風が当たった。
秋の風はもう少し暖かかったなと思い出し、ボクは白い息を吐き出した。
#秋風
#101 秋風
立冬は過ぎたし、東京で木枯らし1号を観測したニュースも見たよ?
見かけによらず何か冬に関係が?と思ってネットで調べたけど関係性は見つからなかった。
が、知識は深まった。
(少々手直ししました。)
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いつもと同じように過ごしていたはずが、何故?
文字の海から無理やり引き上げられた僕には、訳がわからなかった。
交際のきっかけにもなった二人の共通の趣味は本。
さすがに好みは違ったが、逆にそれを利用して、本屋デートの時は購入したものを読み合いすることにした。2年前の付き合い始めたときに二人で決めたことだ。
なのに、彼女が突然怒り出したと思ったら去ってしまった。戸惑いで体が硬直し、引き留めることはおろか、立ち上がることも出来なかった。
気持ち良さで選んだ秋晴れのテラス席。
そのときの彼女は確かに笑っていた、はず。
空いた隣の席を吹き抜けていく風が、
今は妙に肌寒い。
屋内へと続くドアから視線を外し、彼女が座っていた席を見ると、
汚れるのを避ける為、本を読む時には注文しないはずのアイスクリームが置かれていた。
かなり溶けてしまっているが、量を見るに結構食べ進んでいたようだ。
更に視線を手元まで下げると、
手の中には僕が買った読みかけの本がある。
正直、彼女の変化を読み解くより、本の続きが気になると思ってしまった。
…ああ、原因は、これか。
そういえば、呼ばれていた気がする。
本を置いて欲しいやら、こっちを見てとか。
僕は、何と答えたんだっけ。
からん、ころんとレトロなベルの音がドア越しにくぐもって聞こえる。
本か、彼女か。
秋風が僕の心までも冷やしていく。
僕は座る姿勢を直して、本の文字に目を戻した。
いつも通りの時間を一人で過ごした後で会計に向かうと、二人して頼むコーヒー代だけが払われていた。
残されていたアイスの代金が意外と高く、
財布にまで秋風が吹いた。
彼女がそうした意味を、僕は一応考えたが、
も手遅れだろうし、もういいかと結論付けた。
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彼女は、付き合いを重ねていくうちに本屋デートの彼が塩対応になってきたことに不満を溜めていました。本を読み合うときのカフェ代は交代で出し合うルールで、今日は彼の番でした。
彼にアイスを買ってもらって嬉しい、
少し味見をしてもらって、彼の好みだったら。
次のデートは本を置いてアイスを一緒に食べながら、ゆっくり顔を見ながら話したい…
彼が本好きなのは承知の上、それでも以前のように本より自分を見てほしいとアピールしていましたが届かず。彼女の気持ちは秋風のごとく冷めてしまったようです。
立ち去ったのは衝動的でしたが、彼が追いかけなかったことで決定的となりました。
秋風とは、文字どおり秋に吹く(涼しい)風のこと。また、男女の仲が冷めることや懐の寂しさを表現するときにも使うようです。
ちなみに、秋風を送るという言葉には終わりの意味合いがあるようです。フーフー。
お題 秋風
秋風。単に秋に吹く風だと思っていたが、実は検索してみたら違う意味を見つけた。
それは「秋」を「飽き」とかけ、男女の恋が冷めていくさまという意味にもなるらしい。
「女心と秋の空」から通じていくような。
そう、俺は昨日フラレたばかり。一時の気の迷いとかなんとか言われて。
全く以って女心は解らない。突然木枯らしが吹き荒れるように、彼女は俺の元を去っていった。
彼女はこう言い放ったのだ。
「あなたは私の事なんてちっとも理解出来ないんだから」
理解なんて出来ないよ。俺は俺であって彼女じゃない。彼女だって俺じゃない。ましてや男と女なんだし、理解不能に決まってる。
彼女の飽きっぽさ、気の変わりようときたら、俺は常に振り回されっぱなしだった。
良く言えば天真爛漫、だが我儘し放題の悪女だった。
俺の見る目が悪かった。そうとしか思えない。
そんな事をぐだぐだ考える俺に、木枯らしが勢いよく吹きつけた。秋風な恋なんてたくさんだ。
秋風
ごみごみとした灰色の街に重たい雲が低く垂れ込めている。すれ違う人は皆疲れ切った顔をして、俯きぎみに歩いていく。私も例に漏れず、冷たい秋風に身を縮めながら足早に帰路を急いだ。
薄手のコートは今日になって突然下がった気温にまるで太刀打ちできず、私は寒さに思考を奪われたまま無心で足を進めるうちに、一つ曲がる道を間違えたことに気づいた。私は愛する家族の待つ我が家ではなく、独身時代に暮らした古いアパートのある路地に立っていた。
私は早く引き返すべきだと思いながらも、あのアパートを一目確認したい気持ちを抑えられなかった。私は夢遊病者のようにふらふらとアパートの下へ近づき、かつて帰った部屋の窓を見上げた。
カーテンのかかった窓から黄色い灯りが漏れ、背の高い男のシルエットが浮かんでいる。落ち着きなく行ったり来たりを繰り返す影に、「ああ、彼だ」と私は奇妙な感慨を覚えた。同時に、かつて一つ屋根の下で暮らした彼がひどく遠くへ行ってしまった気がして、侘しく辛い気持ちがじわじわと心を占めた。出て行ったのは私の方なのだから、明らかに身勝手な感情だった。
もし今すぐに階段を登って、あの部屋を訪ねたなら、彼は親しい友人として私を歓迎してくれるだろう。温かいコーヒーと趣味の良い茶菓子を供してくれさえするだろう。彼にはそのような健気な優しさがあって、しかし私は最早それに甘えることはできない。そんなことをするのはあまりにも不誠実だからだ。
私は後ろ髪を引かれながら踵を返し、本来の帰り道へ戻った。私が選んだ家が、あの窓の灯りよりも暖かく私を迎えてくれることを願いながら。