『秋風』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
さぁーっとひんやりとした風が吹いた。
「寒っ」
私は思わず身震いした。
もう、秋か・・・・・・
ふと、悲しくなった。
なぜだろう、秋になると何かが終わってしまったような、失くなってような喪失感に駆られる。
ただ単に、夏が終わって熱さが恋しいのだろうか。
──違う。
確かに、それも、ない・・・・わけじゃない。
でも、何か違う。
納得のいく理由が見つからない。
それが、なんだか、もどかしい・・・・・・。
「おはよう。」
「おはようって、もう、夕方でしょ。」
えっ・・・・・・、
私は誰と話しているの?
この人、誰?
「僕らにとっての夕方は、どっかの国の朝なんだから、いいんだよ。」
「本当、好きだよね。その【どっかの国では】って理屈。」
く、口が勝手にしゃべるぅ・・・・
どういう事?!
「ミカのツッコミも衰えることを知らないよね。」
・・・・・・ミカ?
私は、ミカじゃない・・・・。
ミカって、私だよね・・・・?
ミカ、ミカ、ミ・・・カ?
次の日
「珍しいなぁ、ユウキが集合時間に遅れるなんて。」
とりあえず、家行くか・・・・・・。
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「え・・・・・・家がない!?」
・・・・・・あぁ、これは
「ユウキ? ユウキ?? ユウキ???」
「ユウキ!!!!!!!!」
ユウキ・・・ユウキ・・・ュウキ・・・ゥキ・・・キ・・・
エコーだけが寂しく響いた。
秋風が、音もなく私の横を通り過ぎた。
・・・・・・あぁ、この記憶は
「はぁっ!」
あの記憶は
たぶん、
──私の前世の記憶だ。
私が秋が来ると寂しくなるのは、
昔の私の大好きだった人が
私の前を去った季節だからだ。
言葉にしないと秋風のように、音もなく私の横を通り過ぎてしまうんだ。
私は、秋風には、なりたくない。
#秋風
秋風。その風の感じ方は日によって違う。
嬉しい日には清々しく
悲しい日には冷たく私に当たってくる。
最近はどうだろう?
冷たく当たってくる日が多いと思うよ。
そんなつもりはないんだよ。
そう思えない。
君が下ばかり向いているから、上を向いてほしい。
だから風を強く当てるんだ。見てほしい。
この秋の空を、秋の木を、秋のすべてを。
こういう風に?
上を向くといつもより、澄んだ空があり
いつもより色とりどりの木々がある。
あぁ。気づいてなかった。気づかせてくれたんだね。
ありがとう。
今年ももう少しだからさ。下を向いてほしくないんだ。前をしっかり向いてほしい。前を向いて歩いて行ってほしい。
また教えてよ。私が下を向いているときに。
「こっちを向いて」って。
私の頬に優しい風がふいた。
秋風
秋風が吹くと冬が近ずいてきてる。
風が吹くと、寒さを感じ、季節を感じる。
季節を感じる事、大事。
一日一日ありがとう。
「口は災いの元」
「雉も鳴かずば撃たれまい」
「雄弁は銀、沈黙は金」
など、日本には昔からあまり話さないことを美徳とする習慣がある気がする。そういえば、あるビールメーカーの歴史に残る有名キャッチコピーは
「男は黙ってサッポロビール」だった。
関西出身で子供の頃から、アンタは口から生まれてきたんやで、と親に言われ、妻にも、アナタは常に何か喋ってて静かな時間がない、と言われるサントリー派の私には全く響かない言葉だ。おまけにへそ曲がりの私は、
「もの言えば 唇寒し 秋の風」という芭蕉の句、今の日本では上記同様に、喋りすぎないことが美徳だとされる言い回しも、全く私には響かない。
アホ、寒くなったら身体動かして暖をとるように、秋口になったら普段よりもっと喋って口まわりの筋肉を動かさんでどないすんねん!と滔々と説いていたら、また妻に言われた。
ホントにウルサイ!と。
外に出てからずっと清くも冷たい秋風に追いかけ回されている。ミルクティー色のコートをめくり上げ、適当にまとめた髪に思いっきりぶつかりながらも空に飛び上がった彼は、自転車で走る俺を追いつつ、未だ落ちることなく枝々にぽつりぽつりと残っていた銀杏の葉をむりやり散らしていく。
寒い。自然と吐き出される上がりきった息はまだ白くはならないが、冬に近づいているのが実感できる。
視界の端に、黄色の扇達が舞い踊るのが映る。どうやら彼はすぐ後ろまで迫ってきているようだ。
それにしても、家までついてくるつもりだろうか。このしつこい秋風は。
秋風
秋風に吹かれ
身体を縮める
温かい物が
食べたくなる
暖かい部屋が
恋しくなる
冬の足音が
近付いている
秋風
秋風がわたしのもとに遊びに来た。
「最近どう?」
「わたしもあなたみたいに、自由に飛び回れた
らいいなって思う毎日だよ」
「ふーん。
そんなに束縛されてるの?」
「いや、ただ単に、逃げたいっていうか」
「人間は気楽でいいね。
僕ら秋風は秋限定の風なんだよ。
だから存在できるうちに、沢山吹いておくん
だ。人間も同じでしょ?」
確かにそうかもしれないね…
とわたしが答える前に、秋風は去っていった。
秋風が頬を滑る。
枯れた涙もそのままでただ朝陽を見つめた。
君はいつだって僕の先をいくんだ。
風がひゅうって吹いた。
湖の水面が揺れる。
ふと目をやると、
水面が光を反射して、キラキラしていた。
今日は晴れていて、太陽がくれた光は、優しく湖を輝かせている。
ほとりにある木は紅葉していて、
風に吹かれてさわさわと揺れている。
赤い葉と水面がまぶしくて、思わず、
きれい、と呟いた。
歩いてきてみてよかった。まるで宝箱みたいにキラリと光る景色。
今日は気持ちのいい秋晴れ。秋風はさわやかに吹いていて、心地いい。
風からは少し冷ややかさを感じる。
もうすぐ冬になるのね。
秋風
冷たい秋風が私の頬を鋭く突いてくる。
「もう甘い事は言ってられない。現実を見なさい。」 と。
でも、私は諦めない。
春風が私の頬を優しく撫でてくれるまで。
秋風
それは第二次世界大戦で活躍した駆逐艦、、、
私は9月の末の生まれだ。
誕生日ごろになると、夜風に涼しさが混じりはじめ、ちょっとした散歩に出かけたくなる。
近所のコンビニでアイスコーヒーを買い、のんびりと飲みながら街灯の下を選んで適当に歩いていく。
脇道に入って堤防に向かいたい気もするし、その方が気持ちいいだろうとは思うものの、街灯もまばらな暗い道を一人で歩く勇気はない。
店の照明と忙しなく行き過ぎる車のライトを浴びながら夜を歩くのは贅沢なことだと思う。
夏の夜風は昼間の火照りをはらんでいるような、生ぬるい風だが、9月も終わろうとする頃には少し鋭くて、これから熱は失われて、おちおち散歩もできなくなるんだから、せいぜい短い今を楽しみなさいと言われているかのようだ。
私は春や秋の橋渡しのような季節が好きだ。どちらも短くて、前の季節と次の季節をはらんでいる。
その割合が変わっていくのを日々感じるのが好きだ。
夏が減って、冬が増えていく。
もうそろそろ、秋の橋を渡りきって冬に変わるだろう。
そうしたら、夜の散歩は次の春までお預けだ。
秋風
秋風漂う我が夫婦関係。
でも、別れない。
なんでたろね。
子どもがいるから、面倒臭いから、お金を取られるから…
だから別れられない人、たくさんいるよね。
そんな人がたくさんいるから世の中うまく行っている。
これからもそんな人がたくさんいる世の中でありますように。
『秋風さん』
秋風さん 秋風さん
何処に行ってしまったの?
気温は寒くはないけれど
朝の自転車通学路
氷が肌を撫でるよう
木枯らしびゅうびゅう吹き荒れる
本当に秋に吹く風が
この世界にあるのならば
紅葉の雨を連れてきて
きっと綺麗なことでしょう
夏が来て 冬が来て
秋が見えない昨今です
秋風さん 秋風さん
今年も冬が来ちゃったね
来年こそは会えるといいな
強い風が木々を揺らす。
「さむっ」
思わず女は声に出す。
ついこの前まで生暖かい風が吹いていたというのに。
再び冷たい風が彼女の肌を刺す。
「あーあっ、もう本当に寒いなっ」
彼女はやけくそになって大きな声を出す。
先日、付き合っていた相手から唐突に別れを告げられ、訳も解らぬまま振られてしまったのだ。
彼女が寒いのは体だけはでなく、心もだった。
――一人でいるのは寒いな。
彼女はそれまでの二人の温かい思い出を振り返っていた。
――だめだめ、せっかく落ち着いてきたのに、今思い出したら辛くなる。
そんな折、先程よりも一層強い風が吹く。
「あぁっ」
風が彼女の帽子を吹き飛ばした。
彼女は帽子を追いかる。
帽子は長身の男のもとに飛んで行った。
「大丈夫でしたか?風強かったですね」
そう言って男は笑顔で彼女に帽子を渡す。
彼女はその男の笑顔に見惚れ、ぽっかり口を開けている。
そう一目惚れだった。
秋の風、冷たい風の事を指すが、同時に男女の心の移ろいやすさも表す。
『秋風』
『秋風』
書きたくないことを
書くくらいなら
筆を置いてしまえばいい
秋風が紙をめくる
はたはたと誘うように
そのうちに
気持ちも変わっていくだろう
秋風が立つ
関係に嫌気がさしてひびがはいる
秋風索漠
秋風に吹かれるような寂しい心地
なんともさみしい
寂しさが埋められずますますさみしくなる
寂しい女は太ると言ったのは誰だったっけ
天高く馬肥ゆる秋
空気清々しく食欲が増す
私は元気です
秋風は寒い・・・と想像しかけたが、それでは冬と変わらない。思えば近年、急激に寒くなって急激に暑くなることばかりな気がする。秋とはどんなものだったか。
何をするにもちょうど良い気温と聞くが、趣味が室内で完結する私にはあまり関係がない。エアコンひとつでちょうど良くできるからだ。
ああでも、紅葉が風で散っていく光景は綺麗だ。桜とはまた違う風情がある。これなら秋風で間違いないだろう。
風自体は冷えて体に障るので好ましいとは感じないが、私は視覚的に綺麗と感じられるものは好む。自然の中でないと見られない景色を求めて出かけるのも悪くなさそうだ。これ以上寒くなる前に、秋風に吹かれておこう。
お題 秋風
秋風国立音楽学院の学園祭に、冬将軍がやってきた。強くなる北風に学生たちは身を屈める。いよいよこの学園祭も終わりのときか、と誰もが思っていたとき、どこからか軽快なリズムがやってきた。
北風のなか、ド派手な薄着の衣装でやってくるのは、夏空芸術大学サンバサークルのみなさんだ。
冬将軍は怯んだ。そしてサンバを踊りだした。
しばらくしてサンバサークルは過ぎ去って、冬将軍が息を吹き返した。冷たい北風が銀杏の葉を舞い落としている。
そこにやってきたのは、春色美術大学マーチングバンド部のみなさんだ。
冬将軍は再び怯んで、マーチングバンドの行進と一緒に行ってしまった。
学園祭はそうして終わりを迎えた。
ゆっくりゆっくりとやってくる冬の音楽が、遠くから微かに聞こえている。
どことない虚しさと寂しさを運んでゆく
私の気持ちもそのまま 一緒に乗って吹かれて
#秋風