私は9月の末の生まれだ。
誕生日ごろになると、夜風に涼しさが混じりはじめ、ちょっとした散歩に出かけたくなる。
近所のコンビニでアイスコーヒーを買い、のんびりと飲みながら街灯の下を選んで適当に歩いていく。
脇道に入って堤防に向かいたい気もするし、その方が気持ちいいだろうとは思うものの、街灯もまばらな暗い道を一人で歩く勇気はない。
店の照明と忙しなく行き過ぎる車のライトを浴びながら夜を歩くのは贅沢なことだと思う。
夏の夜風は昼間の火照りをはらんでいるような、生ぬるい風だが、9月も終わろうとする頃には少し鋭くて、これから熱は失われて、おちおち散歩もできなくなるんだから、せいぜい短い今を楽しみなさいと言われているかのようだ。
私は春や秋の橋渡しのような季節が好きだ。どちらも短くて、前の季節と次の季節をはらんでいる。
その割合が変わっていくのを日々感じるのが好きだ。
夏が減って、冬が増えていく。
もうそろそろ、秋の橋を渡りきって冬に変わるだろう。
そうしたら、夜の散歩は次の春までお預けだ。
11/14/2022, 12:10:12 PM