外に出てからずっと清くも冷たい秋風に追いかけ回されている。ミルクティー色のコートをめくり上げ、適当にまとめた髪に思いっきりぶつかりながらも空に飛び上がった彼は、自転車で走る俺を追いつつ、未だ落ちることなく枝々にぽつりぽつりと残っていた銀杏の葉をむりやり散らしていく。
寒い。自然と吐き出される上がりきった息はまだ白くはならないが、冬に近づいているのが実感できる。
視界の端に、黄色の扇達が舞い踊るのが映る。どうやら彼はすぐ後ろまで迫ってきているようだ。
それにしても、家までついてくるつもりだろうか。このしつこい秋風は。
秋風
11/14/2022, 12:26:06 PM