秋風国立音楽学院の学園祭に、冬将軍がやってきた。強くなる北風に学生たちは身を屈める。いよいよこの学園祭も終わりのときか、と誰もが思っていたとき、どこからか軽快なリズムがやってきた。
北風のなか、ド派手な薄着の衣装でやってくるのは、夏空芸術大学サンバサークルのみなさんだ。
冬将軍は怯んだ。そしてサンバを踊りだした。
しばらくしてサンバサークルは過ぎ去って、冬将軍が息を吹き返した。冷たい北風が銀杏の葉を舞い落としている。
そこにやってきたのは、春色美術大学マーチングバンド部のみなさんだ。
冬将軍は再び怯んで、マーチングバンドの行進と一緒に行ってしまった。
学園祭はそうして終わりを迎えた。
ゆっくりゆっくりとやってくる冬の音楽が、遠くから微かに聞こえている。
11/14/2022, 11:28:30 AM